2019年 ナイジェリアの労働事情
ナイジェリア労働会議(NLC)
ベンジャミン アンソニィ(Mr. Benjamin Anthony)
ナイジェリア労働会議(NLC) 監査役
イノセント ルカ アジジ(Mr. Innocent Luka Ajiji)
ナイジェリア鉄道組合 会長
1.労働情勢
実質GDP(対前年増減率)は、2018年が15.5%であった。
インフレ率は、2018年が11.61%であった。
2018年の最低賃金は、時間額で75ナイラ、日額で600ナイラである。
失業率は、2018年が23.13%であった。
2017年 | 2018年 | 2019年(見通し) | |
---|---|---|---|
実質GDP(%) | 10.98 | 15.5 | 10.59 |
物価上昇率(%) | 16.5 | 11.61 | 11.37 |
最低賃金(時間額) (日 額) |
75.00 600.00 |
75.00 |
75.00 |
失業率(%) | 20.42 | 23.13 | 22.70 |
2.社会保障制度
社会保障制度としては、①拠出型の年金制度、②医療保険制度がある。拠出型年金制度の拠出(負担割合)は、政府が10%、労働者が10.5%の負担である。一方、医療保険制度の拠出は政府が5%、労働者が2.5%である。
それから、住宅ファンド(住宅基金)も全国的な制度としてあり、この拠出は、政府が5%、労働者が5%である。
この他に、民間企業で働く非正規雇用労働者のためのファンドもある。
3.非正規雇用をめぐる問題
雇用をめぐる問題としては、特に非正規雇用や労働組合のない企業では、雇用の安定がはかられていないばかりか、賃金も使用者によって恣意的なものになる場合がある。こうした分野では労働時間も長く、強制的に時間外労働をさせられることもある。また、賃金未払いのまま、解雇される状況もみられる。
4.労働組合が直面している課題と取り組み
1)組合結成の自由の欠如と経営側による抑圧
労働組合結成の自由が無いという実態がある。特に民間企業と非正規労働者では組合結成の自由が制限されている。民間企業の約5割では労働組合が組織されているが、非正規労働者の労働組合組織率は1割程度だ。
こうした中、ナイジェリア労働会議(NLC)は、今年、非正規労働者の組織化に力を入れている。非正規の中でも、特に家事労働者(メイドなど)やレストランや食堂で働く労働者については、そのカテゴリー(グループ)ごとに組織化できるような体制で推進している。
2)職場での不利益な扱い
組合員が職場において不利益な扱いを受けるといった問題もある。特に、使用者側にに対して文句をいったり、立ち向かったりした組合リーダーが不利益を被ることがある。
3)汚職の問題
政府側と企業側が手を組んでしまう汚職がある。不当労働行為に関して提訴しても、裁判官が政府や企業側と手を組んでしまっていることがある。また、公共部門では労働協約がきちんと尊重されないケースも見受けられる。
ナイジェリア労働会議(NLC)は、労働組合結成の自由、結社の自由については、ILO87号条約・98号条約、およびナイジェリアの憲法40条を遵守するよう働きかけを強めている。また、政府に対しては公共部門において労働協約を尊重するよう働きかけを強めている。