理事長挨拶

理事長挨拶

開発途上国の自由にして民主的な労働運動の発展と社会・経済開発に貢献することをめざしています。

JILAFの設立から30年余りが経ちますが、この間、グローバル経済の拡大のもとで、開発途上国経済は発展を遂げつつあるものの、国民・労働者には十分な配分が行き届いておらず、経済格差の拡大・二極化に伴う分断が、国際社会の大きな課題となっています。そうした環境下、国際労働運動の役割、及び、私たちが担う様々な国際交流事業は、一段と重要性が増しています。私たちの労働分野における国際協力や社会開発事業は、開発途上国の健全な労使関係構築と産業発展に貢献するだけでなく、それは私たち自身の雇用安定にも大いに寄与するとともに、多くの親日的指導者を輩出するなど、日本外交の一翼も担っていると考えられます。

これからも、たゆまぬ努力のもと事業を推進していく所存ですので、今後とも、皆さまの格段のご支援・ご協力を心からお願い申し上げます。

公益財団法人国際労働財団 理事長 相原 康伸

JILAFの理念(設立趣意書)

国際社会における相互依存・協力関係の深化につれて、我が国の国際社会における役割への期待は高まりつつある。一方、我が国も諸外国と協調的に共存していくためには、その役割を積極的に果たしていく必要があることはつとに指摘されているところである。これまでにも、我が国は様々な方法で国際協力の拡充を図ってきたが、量的側面に重点が置かれていたばかりでなく分野別にみても偏りがあるため、協力の成果を高めていくためには、協力の質および分野の是正を図っていく必要がある。 特に、途上国おいては、我が国の経済協力が相手国の社会国民生活向上に末永く貢献していけるような社会システム造りを幅広く支援していくことが求められているため、有力な社会勢力である労勧組合を窓口として、労働分野における国際協力を深めていく必要がある。その際、重要な視点は、政府ベースとは異なった国際ネットワークおよび問題意識を持ったNGO(民間援助団体)を積極的に活用していくことである。

しかしながら、現状をみると、NGOの活用において我が国は先進諸国に著しく遅れているばかりでなく既存団体がばらばらに諸活動を実施しているため、労働分野全般の視点からの整合性を持った国際協力推進基盤の整備が求められている。かかる見地から、我々は全日本民間労働組合連合会(略称「連合」)を中心にし、連合加盟全組織の参加と協力のもとに新財団を設立し、労働分野における民間レベルの交流および各種援助の推進母体とすることを決定した。各国労働関係団体および関係者への各種支援を通して相互理解を深めると同時に、相手国の社会開発に協力し、ひいては社会国民生活の向上に協力していくことが責務であると確信している。

幸い、我々は国際自由労連に一括加盟しており、さらにはI T s (国際産業別組織)との関係も深いため、この国際ネットワークを最大限に活用していく。また、加盟産別がこれまでに築きあげてきた海外組織との関係も大きな財産としてある。 各国労働関係者の我が国への招聘、現地セミナー、日常資材提供、さらには人材育成のための留学制度、現地教育施設の充実などの援助を行い、諸外国における労働運動がその国のN G Oの一翼として社会国民生活の発展に寄与できるよう支援していくことを目的と 『財団法人 国際労働財団』を設立するものである。