国際労働財団(JILAF)は、8月20日(水)~9月4日(木)の16日間、シンガポールにおいて、国際労働組合総連合アジア太平洋地域組織(ITUC-AP)、オン・テン・チョン労働研究所(OTCi)との共催により、第7回ユースリーダーシップコースを開催した。
本コースは、ITUC-APが結成される前に「上級指導者コース(Advanced Leadership Course)」として、当時の国際自由労連アジア太平洋地域組織(ICFTU-APRO)とOTCiと共催により実施されていたものを引き継いで開催しているもので、第1回目は1992年に開催され、それらを併せると今回で23回目の開催となる。
今コースには、先頃国際労働組合総連合(ITUC)、およびITUC-APに加盟を果たしたアフガニスタン労働者全国組合(NUAWE)、オマーン労働組合総同盟(GFOTU)、フィリピンSENTROの他、友好的組織であるベトナム労働総同盟(VGCL)、ラオス労働組合連盟(LFTU)を含む、25か国・地域34組織より41名の参加があった。女性の参加率は48.7%であった。JILAFからは團野専務理事、若月現地支援GLが初日、2日目に出席した。
初日の開会式では、鈴木・ITUC-AP書記長、ティアガラジャン・OTCi事務局長、團野専務理事から共催3組織を代表して挨拶があった。鈴木書記長は挨拶の中で、参加者に対して積極的な参加を求め、ICFTU-APRO時代から事業に協力をしてきたJILAFに対して謝辞を述べた。ティアガラジャン事務局長は、リーダーとしてどうふるまうべきかを考え、明るい態度で臨み、友人をたくさん作ってほしいと挨拶した。團野専務理事は、世界の現状を踏まえつつ、交流を通じて相互に学び、充実した滞在としてほしいと参加者を激励した。
続いて、鈴木ITUC-AP書記長より、「グローバル化の中での労働組合の対応」と称し、経済は成長したが賃金は下がり続け、格差が拡大し、公平な分配のゆがみを自覚し、そうした中でどのように生活向上を図るかなど、今後2週間続く本コースの全体的な問題提起がされた。
初日の午後は、JILAFより團野専務理事が「経済社会の発展と労働運動の社会的役割」、「戦後の日本の労働運動の形成と労使関係の特質」と題して二つのプレゼンテーションを行なった。最初のプレゼンテーションでは、グローバル化の中での構造変化の中に自分たちが置かれた状況を分析し、労働組合も経営的センスも持ち合わせながら、要求することと協力することを同時に考え、使用者と信頼関係を作る必要性もあることを強調した。後段では、日本の労働運動の経験を紹介しつつ、建設的な労使関係構築の重要性が示された。参加者からは、日本の青年雇用がどういった状況にあるか、市場経済主義が進み過ぎた現状をどう考えるか、などの積極的な質問が出された。
2日目は、ITUC-APのスタッフが総動員され、参加者が16日間のコースでどのように議論を展開していくかを指導するセッションが主に行なわれた。参加者は、「社会・経済問題」と、「労働問題」の二つのセッションでそれぞれ自国にどのような課題があるかを出し合い、APのスタッフが議論の内容をまとめて発表した。明確に手法が示されたことで、初日に緊張気味であった参加者も徐々に自信をつけていく様子がうかがわれた。
3日目以降も順調にコースは行なわれ、参加者の発表の際には、これらの経験を活かし、国の労働運動の建設的発展に努めたい、といった力強い意志表明がされた。
月日 | 内容 | |
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08月20日 | 水 | 開講式、オリエンテーション グローバル化と労働組合の対応 日本の労働運動の経験・労使関係の特質 |
08月21日 | 木 | コースガイド プレゼンテーション技術 |
08月22日 | 金 | 差別の撤廃とILO111号条約 ナショナルセンター訪問 |
08月23日 | 土 | チームワークビルディング |
08月24日 | 日 | オプショナルアクティビティ |
08月25日 | 月 | ジェンダー平等① リーダーシップ① |
08月26日 | 火 | ジェンダー平等② リーダーシップ② |
08月27日 | 水 | 労働組合の戦略立案 指導者としての目標設定 |
08月28日 | 木 | 青年雇用問題 労働条件 |
08月29日 | 金 | 移民労働、職場環境改善 社会的セーフティーネット |
08月30日 | 土 | 雇用保護政策 ヤングNTUCとの対話 |
08月31日 | 日 | 休日 |
09月01日 | 月 | 組織化と労働者の権利 ILOと国際労働基準 |
09月02日 | 火 | レビューセッション |
09月03日 | 水 | これまでの総括 参加者発表 |
09月04日 | 木 | ITUCの組合主義について |