活動報告 労使関係開発

カンボジアITUC-CC/JILAF労使関係・労働政策(IR)セミナーの開催

開催: 2022.08.09 2022.08.10
集合写真

国際労働財団(JILAF)は、8月9日~10日にプノンペンにおいて、ITUCカンボジア協議会(ITUC-CC)との共催による「労使関係・労働政策(IR)セミナー」を開催しました。本セミナーには、合計64名が参加しました。

1日目(8月9日)
開会式では、①ILOソポーン氏、②使用者団体(CAMFEBA)ソポーン氏、③CLCアットーン会長、④CCUロン・チュン会長、⑤CCTUワンナリー会長、⑥JILAF斉藤副事務長、⑦労働職業訓練省(MLVT)チュオン・モントル長官(前CCTU会長)、⑧労働職業訓練省(MLVT)H.E.バンナロット長官(挨拶順)よりそれぞれ挨拶があり、一様に労使間の信頼関係に基づいた協議あるいは政労使による社会的対話の積極的な推進の必要性について言及がありました。

ITUC-CCを構成するCLC、CCU、CCTUそれぞれから「労使関係と労働政策」に関する取組事例として、①COVID-19による影響を最小限に止めるために政労使三者協議を実施している、②ITUC・GUF・TUSSOと連携しながら多国籍企業と対応している、③「カンボジアビジョン」(2030年までに高中所得国、2050年までに先進国・高所得国となる)を達成すべく労働組合の役割を検討していく、等の発表がありました。

JILAF斉藤副事務長より、日本の労働法制と社会保障制度について、①労働組合法の特徴点、②労働紛争の解決システム(集団的・個別)、③社会保険制度の概要を中心とした共有がありました。参加者からは、①紛争解決システムにおける労働委員会、労働審判制度の役割・仕組み、②国民年金(基礎年金)、厚生年金の加入年数と給付額の関係、③インフォーマル労働者の社会保険加入の条件、等に関して深堀り質問が出されました。なお、2022年10月よりカンボジアで年金制度が導入される予定であることもあり、日本の年金制度に関する関心の高さがうかがえました。

続いて、日本の労働運動の役割と課題について、①建設的労使関係が構築されるまでの歴史的経過、②日本の労使関係の特徴点(春闘、政策・制度要求、労使協議制、生産性運動等)、③現在の日本の労働運動を取り巻く諸課題、等について共有がありました。

2日目(8月10日)
元ILO職員であるヌオン・リティ氏より、建設的な労使関係構築のために労働組合役員として必要なソフトスキル(リーダーシップ、コミュニケーション力、礼儀正しさ、誠実さ、問題解決能力、判断力、協調性等)について、画像や動画を用いながら参加者にとってわかりやすい共有がありました。

その後、3グループ(ITUC-CC3組織をシャッフルした混成グループ)に分かれて、①グローバリゼーションの中での労働組合の役割、②より良い労使関係を構築するために労働組合は何をすべきか、をテーマにグループ討議が行われ、
・組織率を上げ、組合員の声をすくい上げること
・経営者・行政との仲介役としての機能を発揮すること
・労働組合役員として労働法制の内容をしっかり把握すること
・労使協議会を設置し定期的に協議すること
等の重要性・必要性について発表がありました。

JILAF斉藤副事務長から、グローバリゼーションが進展する一方で格差が拡大する中、今こそ労働組合の存在意義が問われており、カンボジアにおいても各ナショナルセンター同士が更に連携を強化することで、社会的な存在感が高まることを期待するとの挨拶があり、それに続き、CCTUワンナリー会長から参加者やJILAFへ感謝の意が表され、2日間のセミナーが終了しました。

参加者の様子

  • 会場の様子
  • ナショナルセンター(CLC)からの発表
  • ③ グループ発表の準備