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No.494(2018/3/2)
アメリカの労働事情

【エール大学の大学院生 労働組合の組織化取りやめに】

 アメリカ有数の大学、エール大学でも大学院生が準教授や助手として一般講義や研究室で働いており、過去数年にわたり労働組合の結成努力が続けられてきた。
 しかし、組織化を支援してきたUNITE-HERE(縫製・繊維・ホテル・レストラン労働組合)がこのほど全国労働関係委員会(NLRB)への申請を取り下げることを決定した。
 理由はトランプ政権および共和党任命判事が多数を占めるにいたったNLRBに申請を受け付ける可能性が皆無になったためと言う。エール大学では56学部の内の8学部の大学院生が労働組合賛成に投票したが、大学は全学部の賛成でなければ認められないとしてきた。

 NLRBは民主党任命判事が多数を占めた2016年に、一般講義や研究室に働く大学院生に労働組合結成の権利があると判定し、以来コロンビア大学、エール大学、ハーバード大学、シカゴ大学など多くの大学で労働組合結成の申請が提出されてきた。しかし、コロンビア大学では大学院生は労働者ではなく学生だとして労使交渉を拒否してきた。トランプ政権下では申請受理の可能性は極めて小さい。

【大リーグ野球のFA選手、100選手がいまだ未契約】

 大リーグ球団のフロリダ及びアリゾナでのトレーニング・キャンプが間もなく始まるが、166名のFA(フリー・エイジェント)選手の内、未だ100名以上が契約出来ない状況にある。
 今までのFA契約金の総額も2016年の$25億3,000万、2017年の$14億5,000万に比べて、$7億8,000万に過ぎない。ダルビッシュ(先日シカゴ・カブスと契約終了)など著名選手の契約が済めば金額は増えると思えるが。

 こうした中でMLBPA(大リーグ野球選手会)のトニー・クラーク代表は「今シーズン、多くの球団が"タンキング"に向かって走っているが、これは労使の信頼とファンの期待を裏切るものだ」と言明した。タンキングとは、中低位チームによる負け試合覚悟の経費節減戦略で、選手数や給与を削減しながら6年間は自由になれない若手選手集めに数年をかけて力を蓄える事を言い、この戦略で2016年にシカゴ・カブス、2017年にヒューストン・アストロズがワールド・シリーズ優勝を掴んだ。

 MLBPAの非難に対してMLB(大リーグ野球)は「FA選手と代理人は変化する市場、及び現行労働協約による影響をよく把握してほしい。球団に責任を負わせるのは不公平だ」と述べ、「球団オーナーがチームを持つ理由は優勝したいからだ。それには数年かけたサイクル戦略も必要になる」と指摘する。
 しかし代理人側は、2017年に記録的な$100億以上の利益を上げながら選手報酬を縮小している球団について「球団側は給与抑制を共謀している。怒った選手の中にはストライキを叫ぶ者も出ている」と言う。共謀が発覚した1980年代の事例では球団側が$2億8,000万の賠償金を支払った。

 他方、ヤンキースやドジャースなどの大球団が支出を抑えている理由には、一定の契約総額を超えた場合の罰金制度(ラクジュアリー・タックス)がある。
 MLBPAは現在の労働協約(2017年―2021年)の交渉で、試合日程や選手の移動について改善を加えたが、FA契約総額については2014年の$1億8,900万から2017年の$1億9,500万、2018年は$1億9,700万と上限を微増に抑え、同時にアマチュア選手のドラフトにも新たな罰金を設けて契約上限を抑えた。
 ある選手は「協約の些細な勝利で、球団側が共謀して穴を突く現状を造りだした。後悔している」と語り、別の選手は「FAは古い選手のことだ。高すぎたFA選手への報酬の調整とも思える」と語り、選手会への批判をにじませる。

 こうした中で、MLBPAは未契約のFA選手のトレーニングに向けて、フロリダで3月4日まで自主キャンプを開くが、これは1995年以来のことである。キャンプには今30名程度のFA選手が参加している。

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