2012年 フィジーの労働事情

2012年6月29日 講演録

フィジー労働組合会議(FTUC)
パーレイス ジョンレア アントオニオ
Ms.Pearllace Jonnrea Antonio

フィジー労働組合会議(FTUC)青年委員会副書記長

 

1.当該国の労働情勢(全般)

軍事政権の政令

 フィジーには軍事政権が2006年に誕生した。政権は、労働者と労働組合の権利を制限する政令を下した。労働者の基本的な権利、集会の自由や結社の自由、表現の自由や報道の自由を制限している。

労働者は貧困線を下回る賃金しか支払われていない-フィジー衣料産業事情

 フィジー織物・衣料・履物協議会(TCF)のカルペシュ・ソランキ会長とA. S. カユーム産業貿易大臣は、衣料産業は1億ドルの好況を迎えようとしていると述べている。他方、賃金評議会令による現在の賃金率は、初心者で1時間当たり1.65ドル、その他の衣料産業の他のすべての範疇の労働者で1.96ドルである。これが長年にわたる闘争を経た結果である。フィジーのすべての衣料産業労働者は、貧困線の下で収入を得て生活している。

雇用主は労働者を搾取-スーパーマーケット従業員

 スーパーマーケットの従業員は、わずか30分の昼食時間しか与えられていない。しかも、繁忙期の昼食時間は15分である。さらに、勤務時間帯が午後2~8時までの労働者は、6時間の勤務時間中、休憩が与えられず、適正な超過勤務手当も支払われていない。

フィジーにおける児童労働

 国際労働機関(ILO)が実施した児童労働調査研究により、最悪の形態の児童労働に携わった児童500人の窮状が浮き彫りにされている。それには、営利目的の性的搾取や麻薬取引、物乞い、スクラップ金属などの危険な仕事、最低雇用年齢未満の子どもの労働が含まれる。フィジーで児童労働が行なわれる主な要因は、貧困、家族の崩壊、教育事情、失業、国内移動、危機状況その他である。

2.労働組合が現在直面している課題

  1. フィジーでは労働組合の存続が脅かされていること。
  2. 政令により制限が課されていること。
  3. 団体交渉が存在しないこと。
  4. 基幹産業の協約に該当するすべての労働者に団体交渉の権利が無く、従って一部の基本的な権利(争議を起こしたり救済を求めたりする権利)などを享受していないこと。
  5. 労働組合の新聞発表が公にされていないこと。まともな労働、労働権、国際行動デーに関する問題について労働組合が出す記事やコメントはメディアから退けられており、公にされていない。
  6. 労働組合支持者たちが個人的に弾圧を受けていること。不当に拘留され殴打されている。
  7. 政府が労働組合の運動や行動に制限を課していること。
  8. 被害者や労働者との集会を持つことが困難なこと。フィジーの法律は、このような形の集会に制限を課している(最大3人まで、4人以上は政府の許可が必要)こと。
  9. 被害を被った労働者の弁護を労働組合が代表することは最近、認められなくなっていること。弁護士費用は高すぎるので、これにより労働者は何もできないままになっている。

3.その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか

 現時点において、労働組合が問題解決のために国内的な措置をとることは不可能である。
 われわれは政府によるILOの主要条約の違反に関してILOに苦情を申し立てた。主として、1987年および1998年の結社および団体交渉に関する条約についてであった。
 労働者の基本権について働きかけを行ない、これを回復するために、ITUCから国際的支援を求めた。
 労働組合支持者は、拷問監視や、オーストラリアやニュージーランドのメディアを通じ、問題点や状況について声をあげ続けている。しかし今年初めに出してきた政令『治安改正政令』ではテロリズムの定義が拡大され、フィジーの労働組合が国際支援を要請することが、軍事政権にテロリズムと定義されてしまうのではないかという懸念もある。
 フィジーの労働組合は、フィジーの労働者の生活を改善するために、制限措置にもかかわらず、許された範囲内で努力している。

4.あなたのナショナルセンターと政府との関係について説明してください

 私たちのナショナルセンターと政府との関係は良くない。政令が施行されて以来、制限措置がとられている。政府が反組合的であることにより、困難な状況になっている。

5.あなたの国の多国籍企業の進出状況について、また多国籍企業における労使紛争があればその内容についてお知らせください

 多国籍企業としては、銀行や石油会社、鉱業会社、製菓会社、電気通信会社(ヴォーダフォン/英国およびテレソース/米国 建設会社)、また、フィジーで操業を開始した主として鉱物探査や建設に携わる中国の他の会社がある。FTUCと多国籍企業の従業員との間にはあまり良い関係がない。というのも、石油会社や鉱業会社、電気通信会社といった多国籍企業の大半は労働組合を持っていないからである。これらの会社は労働組合の結成に抵抗する。その1つの例はフィジーの銀行である。2011年まで、労働組合は銀行とかなり良好な関係を保っていたが、基幹国内産業令が施行された際、労働組合と銀行との間の協約は無効になった。従業員が団体交渉権を持たないため、現在私たちは銀行との間で困難に直面している。労働者の権利の面で数多くの紛争が生じている。雇用条件に一方的な変更が加えられている。これらの会社はENIの傘下にあるので、このような紛争が裁判所で審理される可能性はない。