2017年 トルコの労働事情

2017年7月28日 講演録

【トルコ労働組合連盟(TURK-IS)】

オメル チャーリジ(Mr.Omer Cagirici)
(トルコ警備労働者組合 会長)

ディルシャ アシーハン(Ms.Dilsah Asilhan)
(トルコ労働者共同組合 会長補佐)

ファトマ カラマン(Ms.Fatma Karaman)
(トルコ航空関連労働者組合 執行委員)

 

1.労働情勢

 実質GDPは、2015年が11.7%、2016年が13.7%、2017年の第1四半期が14.3%となっている。
 物価上昇率は、2015年が8.81%、2016年が8.53%、2017年(見通し)が9.36%となっている。
 失業率は、2015年が10.3%、2016年が10.9%、2017年(見通し)が11.7%である。
 最低賃金(月額)は、2015年が1,000.54トルコリラ、2016年が1,177.46トルコリラ、2017年が1,404.06トルコリラとなっている。なお、1トルコリラは現在の為替レートで概ね31.4円である。
 法定労働時間は、1日7.5時間、週45時間である。

2.トルコの労働法制の特徴

 トルコの労働法は、1936年に制定されたが、労働組合の設立が自由になったのは1946年である。そして、労働組合法、団体交渉やストライキに関する法律(団体交渉・ストライキおよびロックアウト法)は1963年に採択されている。加えて、労働生活を取り巻く様々な法律の整備がなされている。これらの中には、社会保障法、労働保障法、労働衛生安全法などの制定も含まれる。
 なお、労働者および使用者の権利と義務に関する最も基本的な法律は「第4857号労働法」である。但し、この「第4857号労働法」の枠組みにおいて、雇用保障に関するいくつかの基本的義務は、30人以下の労働者を雇用する場合には適用されないという問題がある。

3.非正規雇用など不安定雇用に関する問題

 「第4857号労働法」は30人以下の労働者を雇用する場合には適用されないため、使用者は特定の業務は下請け業者に発注し、従業員を削減することによってコスト削減を図る傾向がある。一方、下請けの労働者は労働組合の団体交渉から疎外され、有期雇用契約を行うことで退職金などの権利を奪われ、かつ、雇用保障の欠如という結果が生まれている。
 こうして、下請け労働者数は2002年の38万7千人から、2013年には170万人に達した。下請け労働者を雇用する企業は3万3,788社、下請け労働者を採用する公的機関は275機関となっている。
 なお、退職一時金は働いた年数に応じて相当する金額をもらうことができる制度であり、賃金の一部としての権利でもあるが、こうした雇用環境の変化によって退職一時金を受給する権利が失われている労働者が増えている。
 また、労働災害の90%は下請けの作業現場で発生し、2002年~2013年の間に労働災害によって1万3,442人の労働者が死亡している。

4.ナショナルセンターが直面している課題

(1)退職基金設立に関する課題
 上記3.で述べた「退職一時金」に関して、退職一時金をもらえない労働者が増えていることから、政府はこの制度の代替として退職基金らしきものを設立しようという動きがある。この基金設立が退職一時金の受給権喪失問題の根本的解決策になるとは考えにくい。トルコ労働組合連盟(TURK-IS)としては、労働者が退職一時金をきちんと受給できるように取り組んでいく。また、下請労働者が正規雇用として働けるよう取り組んでいく。

(2)組織化の課題
 今日のトルコにおいて労働組合の観点からみて深刻な問題は組織化にあたっての困難な状況である。民間企業の組織化は難しい課題も多く、組織化によって組合員は解雇の脅威や深刻なモラルハラスメントに直面している。こんな状況の中でも労働組合は長年にわたり、組織化のための重要な闘いを続けている。

5.参加者の産別等における特徴的課題

(1)警備会社の組織化をめぐる課題
 トルコにおいても、多国籍の警備会社がある。これらの多国籍警備会社のほとんどでは雇用している労働者の組合加入を妨害している。そのため組織化ができず、組織化ができた場合でも問題解決が相互の対話ではなく裁判所に持ち込まれるケースが多い。

(2)航空関連産業の組織化をめぐる課題
 「トルコ航空関連労働者組合」は、2万1千人以上の組合員を有する組織である。ターキッシュエアラインズ(トルコ航空)の場合、全正規雇用職員が組合員であるが、他の航空会社および関連輸送会社においては使用者による組織化への妨害が行われている。また、低賃金で残業代が払われない困難な条件下での労働を余儀なくされるなど深刻なモラルハラスメントが行われている実情にある。