2012年 トルコの労働事情

2012年12月14日 講演録

トルコ労働組合連盟TURK-IS
Mr.エユップ・アラバシ

 

1.労働情勢(全般)

 労働生活を改善するための法律第6356号、『労働組合および団体労働契約法 団体協約法』が2012年11月7日に施行された。しかし、この法律により労働組合の組織化に関する障害は解消されず、組織化を促進させる改善もされなかった。
 また、この法律により個人を受け入れる産業別労働組合以外の労働組合の設立権が与えられた。産業別労働組合の堰が段階的に高められた。

2.労働組合が現在直面している課題

 30人以下の労働者が働く職場で、労働組合組織化を理由に解雇された労働者が裁判によって得ることのできた組合補償が法改正によって廃止された。これによって国内全般をみると、勤労者の60%以上が労働組合において組織化されることが困難になった。
 0~3%に達する段階的産業別労働組合の堰は、既存の労働組合の権限を喪失させる危険性をはらんでいる。
 産業別組合数が28から20に減少させられたことは、労働組合の間に混乱を引き起こした。この改善はNace- 2の評価基準に適合しないばかりか、トルコの現状にもそぐわない。
 組織化に参加する労働者は解雇されている。裁判は長期にわたり、法的調整は事実上不可能になっている。経営者は何ら圧力を感じていない。
 労働組合は政治活動が出来ない、政治に直接関与出来ない状態にある。組合員が国会議員になると組合員資格は抹消される。

3.課題解決に向けた取り組み

 トルコ労働組合連盟(TURK-IS)は、組合員や他の労働組織が共に行動できる能力を拡大させながら、政治的決定を行使する者や雇用者組織に対して圧力をかけるよう努めている。また、国際的な連帯を発展させ、その影響力を強化させるよう努力している。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 TURK-ISと政府の間に直接的関係はない。一つの圧力団体として相互会談や交渉を通じ、当面の諸問題の解決に当たっている。
 国や公に属する職場での団体労働契約・協約は、協議においては雇用者を代表する労働組合であったとしても、その最終決定は関係大臣と政府で協議されて決められる。

5.多国籍企業の進出状況と労使紛争

 トルコでは多数の多国籍企業が活動している。その活動形態には、関係企業が直接トルコに支店を開設し、販売や市場開発、サービス業務を行ないながら商業方針を見極める場合と、多国籍企業がトルコにおける仲介業者と共に事業する場合とがある。例えばIKEA、Real、 Zara、 H&M、 UPS、 DHL、 TOYOTAなどは、トルコで直接、製品・サービス業務の提供を実現化した多国籍企業の例である。これらの企業は、国際市場に提供する製品のために、トルコで労働力を駆使した生産を実現化したことは特筆に値する。しかしこのような状況の中で、労働生活において不協和が生じることは不可避である。
 トルコで活動する多国籍企業は、企業の本社が存在する国の労働者が受けている良好な労働水準を、トルコの営業所に対して適用することに積極的ではない。例えば最近トルコの労働生活で重要な位置を占めるようになったIKEAの経営者は、トルコにおいて労働組合が組織されることを阻止する態度を示している。この態度は、IKEAの中で組織化されているKOOP-IS 組合からも、またこの労働組合が所属している上部組織であるUNIからも批判されている。KOOP-IS組合は、2012年9月8日イスタンブールで、組織化に反対するIKEA・トルコの経営者の態度に抗議するために、抗議行動を実施した。
 同様な事例として、DHL流通会社の関連部署は、TURK-IS に属するTUMTIS(トルコ機動運送労働者組合)に所属しているということを理由に22人の労働者を解雇した。
 多国籍企業におけるトルコの営業所は、ILOの中核的労働基準に適合し、労働者を保護する対策に意欲的ではない。また多国籍企業におけるトルコの営業所での不当な実施行為に対し、これまでに多国籍企業本社から、上記のようなネガティヴな進展を阻止する強力な批判が発信されたとは言えない。