2004年 ヨルダンの労働事情

2004年11月10日 講演録

ヨルダン労働組合総連盟(GFJTU)
サイド アブデルカデル ヤシン

ヨルダン労働組合総連盟 理事

 

GFJTUの成り立ち

 1925年来、ヨルダン川西岸地区にはアンマンに事務所を置くパレスチナ・アラブ労働者組合という組織がありました。その後、1948年にパレスチナが国を追われたため、それを受けてヨルダンの労働組合が誕生しました。その組合はヨルダン労働者組合と改称されましたが、当時その組合の存在を認める法律がなかったため、事務所は閉鎖されてしまいました。
 1952年にヨルダン憲法が改正され、労働者の自由な労働組合活動が始まり、1954年に現在のヨルダン労働組合総連盟(GFJTU)が結成されました。これが本当の意味でのヨルダンにおける組合活動のはじまりです。

目的と活動内容

 GFJTUの目的は労働者の生活水準の向上と労働条件の改善です。この目的を果たすため、GFJTUは労働者相互の連帯を強め、労働者教育を図っています。また使用者との関係を法律にもとづいて改善し、公正、協調的、かつ相互補完的なものにすることをめざしています。これによって労働者が貧困や失業といった経済的な問題に対処できるようになるものと考えています。
 GFJTUの組織について申し上げます。ヨルダンには17の産業別労働組合――たとえば銀行で働く労働者の労働組合である銀行労働組合連盟、建設業に従事している労働者の労働組合である建設産業労働組合連盟が――があります。それぞれの産業別組織は執行委員会を持ち、7人から11人の執行委員で構成されています。各産別から1名ずつが選ばれて、GFJTUの執行委員会を構成しています。
 GFJTUは設立の当初より民主的プロセスを重視し、労働者の権利が国際的な基準に合致した形で擁護されるように努めてきました。また使用者側と協調的な関係を築きながら、国の経済発展のために貢献してまいりました。
 グローバライゼーションや民営化などの問題についても、前向きに対応していくよう努6めています。民営化が行われる場合は労働者の権利が守られるように努め、すべての産業部門において労働者の積極的参画を促し、新しい技術の導入には意欲的に取り組んできました。国の経済の発展に労働者は大きな役割を果たしてきました。

国内の状況

 ヨルダンの経済状況について申し上げます。80年代前半に経済状況が悪化し、債務が大幅に膨れ上がりました。80年代後半には数々の改革が行われましたが、いまだに多大な累積債務を抱えており、現在の累積債務はおよそ70億ドルと言われています。今年の経済成長率は4%程度と予想されていますが、これは人口増加率よりも高い数字です。なお失業率は15%です。
 ヨルダンは市場の小ささを克服することを目的に世界貿易機関(WTO)へ加盟しています。公企業を中心とする経済から私企業を中心とする経済への移行も経験しました。基本的に政府の果たす役割はどんどん小さくなっています。経済の自由化という世界経済の流れのなかで、ヨルダンの企業は生き残るための方法を模索をしています。
 今後、大きな経済成長を遂げるには国内及び海外からの投資が必要になります。そのため、投資促進のための良い環境づくり、また雇用創出のための努力がなされています。