2012年 ペルーの労働事情

2012年10月19日 講演録

ペルー統一労働組合同盟(CUT-PERU)
オスカル・ラファエル・ブランカス・チャウカ

法務局部長

 

1. ペルーの労働事情(全般)

 ペルーでは経済活動人口の60%が賃金労働者ではなく、インフォーマルセクターで働いている。つまり、雇用主がおらず、自分の力によって仕事を探し、収入を得ている。残りの40%は工業、鉱業、農産業に分かれており、彼らは低い賃金と限定的な労働者の権利に甘んじている。これは法律が不安定な条件にある労働を許す、もしくは規制をしていないためである。ペルーは経済的には改善しているが、この改善は労働者の賃金に反映されていない。富の適切な分配がない。
 2011年の国勢調査によると、ペルーの総人口は2980万人、経済活動人口は1594万6千人で、この経済活動人口のうち、4%しか労働組合に加入していない。それを、現在、ペルー労働組合連盟(CTP)、ペルー統一労働組合同盟(CUT-PERU)、ペルー労働者連合、ペルー独立労組連合の4つのナショナルセンターで分け合っている。
 最低賃金は月額280米ドル。ペルー全人口の60%しか社会保険に加入していない。社会保険と言っても医療保険と年金保険で、失業保険や労災保険の対象にはなっていない。つまり、ILO第102号条約にある9つの社会保障の項目のうち、5つしか網羅されていないということになる。

2. 労働組合が直面している課題

 労働組合が現在直面している課題を大きく分けると5つにまとめることができる。
 まず1つ目は低い組織率が挙げられる。労働省のデータによると、年0.2%の割合で減っている。
 2つ目の問題は、法律によってすべての業種で団体交渉が保障されているわけではない。この法律があるために労働組合活動に参加しようという意識が削がれている。団体交渉が行なえないということは、自分たちの条件を良くする意欲を高めない。労働人口の60%の人が、何らかの形で団体交渉ができない状態にある。
 3つ目の問題は、労使関係モデルの変化である。以前のように雇用者、被雇用者という関係だけではなく、下に圧倒的多数のインフォーマル労働者、自営、個人事業の労働者がおり、さらにその上に雇用労働者がいるという、逆ピラミッドのような状況になっている今、雇用労働者が全労働者を代表して労働条件の向上などの交渉を行なうことが難しくなっている。
 もう一つの問題は、労働組合活動文化の普及が足りないということである。1つ大きな転換点はフジモリ大統領が就任した90年代で、大きな社会経済危機が起き、国家財政は破綻状態で、ペルーが世界の金融システムから疎外されていた。フジモリ大統領が就任してまずやったことは、ネオリベラリズム、新自由主義のモデルを国に適用することだった。彼が任命した経済大臣が導入した外資により、ペルーの労働者の人権が大きく侵害され、それに関連して経営者側の利益になり労働組合活動を弱体化させるよう法改正が行なわれた。
 最後の問題は、非常に重要な問題で、ペルーでは経済モデルが非常に不平等な形で実行されている点である。富の分配が非常に偏った形で行なわれ、個人消費、労働者の賃金などに悪影響を与えている。そして、富を作り出しているはずの労働者が、自分たちで富を作り出せば出すほど、どんどん貧しくなっていくという状況が生み出されている。

3. 課題解決に向けた取り組み

 CUTとして提案したいのは、ペルーの経済モデルを変えることである。現在のペルーの経済モデルは国にとっても労働者にとっても良くないものであり、これを変えて労働者にとっても国にとっても公平な富の分配ができるようなモデルを作らなくてはいけない。
 そのためには労働組合組織の強化というものが2番目に重要になってくる。労働組合があって、労働者が本来持っている権利が行使されなければ、十分な貢献ができない。労働組合結成の自由も団体交渉も保証していない法律を改正し、労働者の法的な定義の中に個人事業労働者、1人経営者または「インフォーマル経済」労働者も含める。労働組合組織を、労働者のより小さな組織形態にも開放する。

4. ナショナルセンターと政府との関係

 関係は法的な性格のもの。ペルーCUT は、ペルーの法律に従って国家からの介入や資金・便宜供与なしに活動を行なっている。

5. 多国籍企業の進出状況と労使紛争

 ペルーでは、多国籍企業が増加中で、労働者の利益を認めず、低い賃金を払い、低いレベルの労働契約状態を維持するために、労働力を企業に下請けさせている。

具体例:
ペルー・テレフォニカ(電話)
ITETE(通信)
Prosesur
Barrickのような鉱山会社