2008年 コロンビアの労働事情

2008年12月3日 講演録

コロンビア労働組合連盟(CTC)
ネイラ・ジョハンナ・ピンソン・プエンテス

 

 コロンビアの失業率は高く労組としては大きな懸念を持ってみているが、政府は失業率が一定の割合で減少しており、前向きな成果だと言っている。しかし、実際には数百万のコロンビア国民が職を得ておらず、これは貧困と飢えている労働者が増えていることでもわかることである。貧困と飢えは、充分な社会保障制度がないことと諸権利を有している常用労働者が減少していることにある。
 我々は、現政権に対して経済、政治、社会面で労働者の参画の場を求めているが、最近労働法の改正により諸手当が削減され、労働者の家計を直撃することとなった。
 最近の調査では、コロンビアの若年労働者の失業率は16%。成年労働者の3倍になっている。
 女性若年労働者の賃金を男性労働者の賃金と比較してみると、その差は非常に大きく依然として格差の問題が存在していることを示している。
 しかし、問題は失業だけではなく、若年労働者がインフォーマルセクターの不安定な雇用状態の中で働き、さまざまな労働条件が一般の労働者に比べると低く、社会保障もなく、団体交渉もできず、労働組合に加入することもできないでいることもあげられる。
 若者が労働力として組み込まれる方法、仕事の質、そして失業期間の長さが労働市場における彼らの未来を決定し、彼らの可能性と福祉に取り返しのつかない悪影響を与えていると考えている。
 これらの問題に対して我々は、現政権での経済、政治、社会状況を詳しく監視するよう若者に働きかけている。若者たちを教育し、彼らが我々の国で起きているあらゆる出来事に関する知識を得ることができれば、基本的な権利、労働者の権利、経済、政治、社会的な面について自分たちを守り、要求するための基礎を持つことができる。
 我々は、若者の雇用の創出を考え、労働条件を高める体制を作らなくてはならない。また若者たちが自分の受けた教育・自分の持っている仕事に対しての誇りや自尊心を失う事のない教育の普及活動を実行し、実践しなければならない。
 我々が最終的に望んでいるものは、すべての人間にとっての公正さ、公平さである。若者、年配者、豊かな人も貧しい人も、すべての人々が等しい扱いを受けられるような世の中を目指して努力している。我々は機械の一部ではない。経済的、社会的、政治的な違いがあれども、一人ひとりの価値を大切にして、社会を良くしていかなければならないと考えている。

2008年2月6日 講演録

コロンビア労働組合連盟(CTC)
ジョン ハイロ カイセド ヴィジュハス

コロンビナ社労働組合委員長兼CTC労務関係書記

 

 コロンビアの人口は4,560万人、一人当たりGNIは2,760ドル、経済成長率は6.0%、失業率は13%(いずれも2006年)である。天然資源が豊富で、石油、石炭、エメラルド、コーヒー、花などが主要な輸出品である。
 ネオリベラルなグローバル化が、数百万人の貧困層である女性、若者、未成年者達を襲っている。果実関連の収穫から加工までを行う産業や、衣類の縫製、花の収穫などの産業で働く労働者の大半は最も貧しい人たちである。アメリカで売られている花の3本のうちの1本はコロンビア産である。花の栽培に従事する労働者の65%が女性であり、その多くが若い母親で、最低賃金で働いている。最低賃金では生活必需品の45%しか手に入れることが出来ない。
 コロンビアには現在、麻薬や民兵組織の利権が入り込んだ政治プロセスがあり、何十人もの国会議員が犯罪ともみなされる政治活動を行っている。これにより国家に合法性がなくなり、国の規制監督メカニズムが大きく弱体化し(例えば、司法が機能しないことが、民兵組織や麻薬利権政治が存在する原因となっている)、暴力事件が急激に増え、労働者に不利な法律が多く作られ、和平交渉プロセスの効果が限定されることになっている。
 次に、コロンビアの労働者の権利の状況について述べる。コロンビアでは90年代から、ネオリベラルモデルの枠組みの中で、労働の柔軟化が起きている。経済は投機的なロジックを脱却できず、労働改革や年金改革を行い、特区設立法が施行された。賃金と社会保障の権利についても改革が行われ、年金制度に加入している労働者の50%が保険料を払っていないため、老後に年金を受け取ることができなくなる可能性がある。
 労働環境は、条件が悪化、差別が深刻化し、所得格差が拡大している。経済発展は正規雇用に寄与せず、多くの労働者が非正規雇用になっている。労働市場の傾向は、雇用崩壊、不安定化、派遣化である。金融部門では、労働組合に反対するような政策を採っている多国籍銀行(サンタンデール銀行、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)等による買収が行われている。同様に流通業や大規模小売店舗チェーン(Carrefur Falabella Exitosなど)でも、請負組合制度や、出来高制、派遣制度などにより、反組合の方針がとられている。こうしたやり方は労働者の福祉を悪化させ、組合運動に直接的な影響を与える。つまり、団結権と団体交渉権に関するILOの87号と98号条約の権利が侵害されている。
 2000年には労働者派遣請負組合が732存在したが、2006年には3,296に増加した。1998年に法律78号が施行されたことにより、労働崩壊への道を歩むことになった。つまり、派遣請負組合の会員や請負会社を通じて労働を提供するものは、派遣請負組合の会員とみなされ、会社の従業員としては扱われない。そのため、労働者の持つ権利が全て剥奪されるのである。
 コロンビアの就業人口は1,720万人、このうちインフォーマルセクターの労働者が1,100万人でフォーマルセクターの労働者は700万人に過ぎない。しかもこのフォーマルセクターの内訳は正規雇用が400万人で、一時雇用が300万人を占めている。また、労働組合に組織されているのは110万に過ぎないのである。いかに多くの労働者が不安定な雇用関係のもとで労働しているかが分かる数字である。
 労働環境の変化の結果として、収入の減少、労働時間の増加、社会保障サービスの低下、職場での嫌がらせの増加、セクハラの増加、国の規制と監督の欠如、団結権の低下などが起こっている。団体協約の減少、労働組合運動における労働者の権利を擁護するための政治的な影響力の低下は、交渉の場での組合の力を弱め、組合存続の可能性を危うくしている。
 このようなことから、組織化し、参加し、提案を行うには、時間がかかるだけでなく、経営側は組合結成に反対するので、民主的な組合運動に参加し労働者を代表することが出来なくなる。民主化に向かう社会では、労働者が公の場で活動し発言できることを保証するが、このような可能性をなくす社会は、社会の正義と平等を放棄していると言える。
 女性や若年労働者は差別され、収入に差があり、専門教育を受けることが制限され、医療保健サービスや社会保障が不十分であり、労働関係における男女差別の問題への対応が不適切であり、団体交渉の委員会での女性や若者の代表が非常に少ないのが実態である。
 次に、労働組合運動の今後の課題について述べる。コロンビアの労働組合運動は、刑事、司法、経済、組織面での作業を開始した。刑事部門では、組合幹部が殺されたことの犯人が摘発されない問題と闘っていく。司法の部門では、労働組合運動を刷新し、労働組合が真に保証されるよう、共和国議会に法律を提出する。上院の第7委員会で労働法規が審議されており、組合側も職場の安全や健康がILO条約および勧告にのっとって見直され、保証されるような法律が出来るよう検討している。
 経済部門では、憲法にうたわれているように、労働者の収入で家庭が最低限維持できるようにする。こうすることで、今日コロンビアの多くの子供達が患っている栄養失調の状況を緩和することが出来る。組織部門では、コロンビアの労働運動の統一のために尽力する。CTCは最初に設立されたナショナルセンターとして、統一と団結をナショナルセンナタ-の原則とする。過去3回の大会では、毎回統一の提案が各組織で検討され、実行に移されるよう承認されている。世界はIUCTで統一、08年3月には、OLITとCLATが統合される。これにより、コロンビアに唯一のナショナルセンターが生まれる道が開かれる。このナショナルセンターには、年金生活者の加入するCPC(コロンビア年金生活者連合)が参加する可能性がある。
 終わりにCTCの活動について述べる。コロンビアで最初に設立されたナショナルセンターであり、国の社会政治分野に参加し、70年以上の歴史を刻んでいる。CTCはリーダーとして発言し、不公正と不平等の克服を目指し、団結の力を基盤に組織を形成する必要性を強調する。
 CTCはITUC(CSI)とその汎米組織ORIT/CSIの路線に従い、若者との共同作業を提案してきた。これにより、大会では次のようなナショナルセンターの強化方針が決定した。[1]直接参加。労働者が自発的に自由に参加できるようにする。[2]地方組織の再構成。国内全域で合法化されるような組織を作る[3]組合の教育を強化し、ナショナルセンターの組織に貢献し、組織を強化するための組織拡大グループを作る。特に若者の参加に力を入れる。