2014年 アルゼンチンの労働事情

2015年1月23日 講演録

アルゼンチン労働総同盟(CGT)
アルゼンチン建設労働組合連合(UOCRA)
顧問弁護士 モニカ・テプフェル
中央選挙管理委員会委員 クリスチャン・ヴァラス

 

1. アルゼンチンの労働情勢(全般)

 アルゼンチン統計センサス局(INDEC)の最新の公式データによると、2014年の失業率は7.5%(2013年は6.4%)、未登録労働の割合が33%となっている。また、最低賃金は、法定労働時間は1日8時間、週48時間となっている。
 これらの指標から、昨年、世界的に貿易が減速し、多くの国で経済が減速しているにもかかわらず、アルゼンチンでは民間企業に登録されている雇用水準を維持することができていることがわかる。登録労働とは、社会保障付きの正規雇用のことで、未登録労働とインフォーマル労働とは、ほぼ同じ意味合いである。
 現在、アルゼンチンの最低賃金(SMVM)は域内で最も高い水準にあり、2004年から現在まで、名目上昇率は2200パーセントを超えている。現在の最低賃金は、月額4716ペソ(約円6万5317)で2015年1月から適用されている。最低賃金は賃金審議会が決定される。賃金審議会には、経営者団体やアルゼンチン労働総同盟(CGT-RA)、アルゼンチン中央労働組合 (CTA)などが参加しており、労働省の下で活動している。

2. 労働組合の直面する課題

 アルゼンチンではすでに10年前から継続して団体交渉が推進され、雇用の増加、最低賃金の引き上げ、インフォーマル労働の削減、児童手当の設置、年金権などの要求が団体交渉で扱われてきた。実際に、包括的で効果のある社会保護制度の適用範囲が広がっている。
 しかしながら、成果を得ているとはいえ、解決すべき大きな課題が残っている。例えば、質の高い雇用の創出、労働者への減税、連帯的な医療制度の強化、所得再分配の改善や課税の平等化により貧困と疎外の撲滅、インフォーマル労働と児童労働の撲滅、安全・衛生基準の遵守、男女平等の推進である。

3. 解決に向けた取組み

 この意味から、CGT-RAは『登録労働推進・不正労働予防法』の制定に向けて活動を進めた。この法律では、未登録労働者を雇用する経営者や給与不払い経営者を罰するという新たな要素が加わった。
また、アルゼンチン建設労働組合連合(UOCRA)は、建設業関係の早期退職法を求める活動を推進し、肉体労働で肉体的に負荷の大きいこの産業の労働者に55歳で早期退職できるようにする成果(『建設業早期退職法』制定)を勝ち取った。一般的な定年は女性60歳、男性65歳である。
 CGT-RAが提案して新たにつくられたものとして、ディーセントワークの学際チームであるEMTDという技術チームがある。この経験を他の国々にも広く普及していきたいと考えている。
所得の再配分、失業者への支援、正規雇用やディーセントワーク創出へのコミットメント、未登録労働との闘いなどを目的に、労働社会保障省内に設置された賃金審議会へ活発に参加している。
 様々な団体や政府、企業との対話は非常にスムーズに継続的に行なわれている。長い間の努力が実って、労働リスク委員会に働きかけ、補償を受けられる職業病の種類を増やすことができた。
 私たちは全国ネットの放送局として政府の認可を得た労働組合のテレビ局を持ち、テレビ放送を通じ、ラテンアメリカや世界の労働者だけではなく、社会全体に対して様々な意識向上活動を行なっている。
 特にUOCRAは、このような放送を通じ、ディーセントワークの推進、労働者の権利確保を目標に「5本の指を下さい(dame esos cinco)」キャンペーンなどの周知活動を行なっている。これはそれぞれの組合の中で、組織率の50%アップ、青年組合活動の50%アップをめざす活動である。

4. その他

 登録労働推進・不正労働予防法の制定により、アルゼンチンにインフォーマル労働が存在して以来、初めてこの問題と闘うための包括的かつ効果的な法的手段を持つことになった。罰則を伴う経営者公共登録制度を整備し、法的制限を外れて児童や未成年との契約や、強制労働のために人身売買を行なった企業や労働者を登録しないすべての企業が登録される。
 アルゼンチンは2003年以降、危機に見舞われる中、最初のディーセントワーク国家計画を推進している。2006年に、CGTは執行部を通じて、ディーセントワーク学際チーム (EMTD) が設立された。その目的は、ディーセントワークの様々な側面に関する、政策・労働組合の基盤の構築である。そのためにILO労働者活動局(ACTRAV)からの支援を受けている。
 政府との関係に関して、CGT-RA、特にUOCRAは過去10年間、国の政策を支持してきた。それは、政府が労働者のために多くの進歩的な政策を採ったからである。今年2015年は選挙が行なわれる年で、政府の政策が労働者の権利を守るかどうか良く見極めて、支持するかどうかを決めている。

*1ペソ=119.65円(2015年3月12日現在)