2015年 パナマの労働事情

2016年1月22日講演録

パナマ共和国労働組合連盟(CTRP)
カロル・ジャスミン・モレノ・ベガ(Ms.Carol Jazmin Moreno Vega)

トロピカルサービス労働組合(清掃)労働者保護担当書記兼パナマサービス一般労働組合連合労働者保護担当書記

 

1.労働情勢

(1)実質GDP・物価上昇率・賃上げ率・労使紛争の動向
 パナマの国内総生産(GDP)の成長率は、2013年が8.4%、2014年は6.2%、2015年の見通しで5.8%となっており、物価上昇率は、2013年が4.6%、2014年は5.1%、2015年の見通しで0.4%となっている。賃上げ率は、2013年が12.9%で、これは前政権下での結果である。新政権になった2014年に賃上げはなく、2015年の見通しは8.5%となっている。
 労使紛争の件数は、2013年が65件、2014年は89件となっている。法定労働時間は、1日8時間、週の労働時間は40時間から48時間で、これは職種によって違いがある。また、時間外割増率は、25%から75%で、休日割増率は150%である。

(2)雇用政策の欠如が生む不安定雇用
 不安定雇用やインフォーマルセクター労働者の状況はやや改善しているものの、収入はやっと生活できる水準の域を出ていない。インフォーマルセクター労働は、建設業や農業、林業、特に行商などの小売業、家事手伝いなどに多くなっている。これは政府にきちんとした雇用政策がないことに起因している。一方で、こうしたセクターに流れ込む人の多くは、教育制度に恵まれておらず、職業教育がしっかりと施されていないこともあり、その結果として生産性の低い労働しかできない。

2.労働組合が現在直面している課題(最大の課題は組織率の低さ)

パナマの労働組合運動にとって一番の課題は組織率の低さであり、この原因はいくつかある。
[1] 労働組合運動の分散化。
[2] 労働組合活動の制限。
[3] 組織的な戦略がない。
[4] 組合員や労働組合のリーダーの団結意識や役割意識が脆弱。
[5] 労働法制の未整備。
[6] 使用者や政府による反労働組合活動。
[7] 政府の労働・雇用開発省がきちんと役割を果たしていない。

3.その課題に向けた取り組み(組織化戦略の実践・運動環境の整備)

 CTRPでは、こうした問題や課題への対応策として、多くの労働組合を結成し、新しい組合員を増やすための組織化戦略を進めている。この戦略を意味あるものとするため、他の労働組合組織と連帯しながら多角的なテーマを掲げて活動を行い、未組織労働者の組織化に繋げようと努力している。
 また、CTRPは三者構成委員会に参加し、この会議を通じて労働運動にとって基本的な労働環境の整備を図るべく、ILOの条約、特に第87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)、第98号条約(団結権及び団体交渉権条約)に労働法制を適合させるための取り組みを行っている。さらに、労働組合のリーダーたちの能力の向上、また参加意欲を向上させるための組合員教育の集中プログラムの開発も進めている。