2009年 パナマの労働事情

2009年9月4日 講演録

パナマ労働組合連合会(CS)
ラファエル・エンリケ・サラサール(Mr. Rafael Enrique Salazar)

プラスティック関連産業労働組合 組織担当執行委員兼CS青年部委員

 

 パナマは、中南米の中でも非常に小さな国で人口も少ない。観光、サービス業や建設業によって成り立っているが、このような産業は、世界不況になると非常に影響を受けやすい。パナマには2つの大洋を結ぶパナマ運河があり、銀行業なども盛んな国である。しかし、大きな社会的・経済的格差があり、一握りの金持ちが国の富の大半を所有し、大半の労働者は最低賃金ぎりぎりの給料(月給で350ドル前後、1ドル=約89円・11月18日現在)で生活している。それは、生活を保障するのに必要最低限な金額であり、賃金が富の分配の一つの手段とみられることは決してなく、ましてや社会移転の要素や発展の推進者とみられることはない。最低賃金も1959年から現在までに、時給40セントから1ドル50セントに上がったにすぎず、この50年間でおよそ1.10ドル、年額で2セントしか増加していない。最低賃金の推移は、購買力の後退を示している。これは、2008年だけで11%上昇したインフレ率が考慮されていないからである。
 一方で、労働法制が雇用の不安定さに拍車をかけるような形で存在している。スト権を阻み、移民労働者に対する差別措置を定め、組合活動の自由を阻み、経営者側に理由の如何を問わず解雇を許している。長期に渡る係争や官僚的な手続きが労働・雇用開発省により下される判断を実行するかの選択権を会社側に与え、会社側と労働者との直接的な調整を助長し、それが労働者にとって不利益な結果を生み、企業の労組リーダー迫害の方針を隠蔽している。御用組合の助長がパナマで一般的な慣行となっている。
 労働協約は、70年代初めにパナマにも導入されたが、政府は認めたがらず、導入以来規制に縛られ、労働組合は定められた方法で労働協約の交渉を行うことができない。
 現在の課題は、最低賃金の引き上げ、労働時間短縮、組織拡大、そして労働組合運動の統一を図ることである。CSは最低賃金に関する三者協議に参加している。その中でわれわれが提案しているのは、最低賃金の上昇率をインフレ率で計算し、加味したものにすることである。以前にも三者協議で同様の要求を提出したが、結果としてそれを考慮した金額にはならなかった。こうした状況から、労働者の購買力は年々減少し、労働者の生活の不安定化につながっている。
 また、労働組合運動の統一に関しては、CSが最重項目として組織内で論議しているところである。現在パナマには9つのナショナルセンターがあるが、これをぜひ統一して一つの組織にしたいと考えている。現在3つのナショナルセンターを統一して「CUTパナマ」という組織を作ろうとしている。いまや大詰めの段階まで来ており、4つ目の組織にも加盟するように働きかけを行っている。
 最初にもふれたが、政府との関係は、いつもながら政府が企業側についてしまうことから、必ずしも良いものとは言えない。そのため、ナショナルセンターの統一を実現して、政府と互角に闘っていける力を持った組織をつくりたいと思っている。