2008年 パナマの労働事情

2008年11月12日 講演録

パナマ共和国労働組合連盟(CTRP)
ギジェルモ アントニオ ドミンゲス ロドリゲス

 

 世界的経済危機のなか、現在パナマの経済は良好である。2007年には経済成長率が最高になり、11.2%を記録した。パナマは、ラテンアメリカ・カリブ地域を含めても経済成長率が一番高い国となっている。この順調なままでいけば、2015年には国連のミレニアム目標を果たすことができ、貧困の人たちを半分にするという目標を達成できるのではないかと考えている。
 統計局の資料によると、失業者数も減少している。しかし、パナマは貧富の差の大きい国の一つであり、富の配分が国内で均等になされていない。
 経済成長は、直接的には雇用増大をもたらす。雇用も増えており、年間4.4%の雇用増加率になっている。1年間に31万人の新規雇用が生まれ、特に商業セクターで6万人、建設部門で5万4,000人の新規雇用が生まれている。建設部門が増えている理由としては、パナマ運河の拡張計画があり、投資額が50億ドルといわれているように、この拡張計画があることにより建設業が有望だといわれている。そして、社会サービス部門では4万3,000人の雇用、農牧業と製造業、両方で5万4,000人の雇用が生まれている。
 経済成長がもたらしたものとして、消費者物価の上昇があげられる。消費者物価指数が年間2%程度上がっており、特に2007年には6.6%もあがっていることは問題である。経済成長は続いているが、賃金は成長率に見合った伸びを示さず、平均賃金は14%下がっている。このような状況になると最低賃金以下で働く人たちが25%と増加している。
 パナマでは富の分配の不均衡が問題で、人口の40%が貧困層にあり、その人たちが受ける富はすべての富の10.4%に過ぎず、その反対に富裕層は人口の10%程度にもかかわらず、38.6%の富を占有しているという問題がある。
 CTRPは、現在の好景気が全てのセクターに波及し、富が少数の手に握られるのではなく、インフレにスライドした尊厳ある賃金を受ける雇用の供給を増やしていくよう活動している。
 また、短期的な提案として行っているものは、需給関係を整理し、価格の調整を行うことである。それと同時に賃金を上昇させ、必要最低限のものが買えるようにすることである。今われわれは、生産部門や経営部門、また労働者も集まり、どのような社会問題、経済問題があるかという提案をしているところである。
 このように話し合いがもたれたのは、パナマの歴史では今までは無かったことだ。われわれは、対話を求めて絶対対立しないようにしたいと思っている。

 対話の場や委員会、更には、組合独自のイニシアチブを通じて、政府となるべく協調的に協力し、政治経済社会的に豊かな社会の実現をめざすよう努力していきたい。
 また、どの発展途上国でも多国籍企業の影響を逃れることはできず、パナマも例外ではない。こうした企業の進出は、新規雇用の創出、より良い賃金、国への高額納税など、多くのメリットをもたらすと考えられているが、残念ながら現実はそうではなく、われわれは結果を考えずに目の前にあるものを何でもむさぼり食うサメのなすがままになっている。