2007年 メキシコの労働事情

2007年10月10日 講演録

メキシコ労働組合連盟(CTM)
アルヴァロ フローレス パロモ

国営企業労働組合事務局長兼ネエボレオン州書記長

メキシコ全国労働組合(UNT)
ホセ ノエ アベル ロザノ アルヴァレス

農業従事者中央独立本部 クエブラ州事務局長

 

北米自由貿易協定とその影響

 人口1億300万人、労働人口約4400万、就業者約2400万。メキシコは国家目標として雇用創出、貧困撲滅、治安の確保をあげている。1994年の北米自由貿易協定調印以来、メキシコは産業と貿易の新たな段階に入り、国内の労使関係は決定的な影響を受けることとなった。保護主義的な経済が70年代終わりまで続いた後、世界市場の新しい動きがその後のメキシコ政権に発展型の経済モデルの道を進ませた。メキシコの組合運動は、そこで生まれた変化に取り組んできた。この経験から、改革にもかかわらず保たれて来たものは、労働者の生活保障のための努力である。しかしこの労働者の生活保障も、市場からの要求に沿って形を変えて来なければならなかった。

労使関係

 メキシコの労働運動は、競争が益々激化してゆく世界市場において競争力のある生産システムを持つことを第一の目標に定めた。このシステムの延長線上には国の富の公正な分配と、特に労使関係において法治国家としての効力の保証にある。

社会的対話と企業の競争力

 メキシコ労働運動は長年、様々な労働者組織の間の対話と合意形成に基づいた労使関係を維持してきた。メキシコ労働組合連盟その他の全国規模の労働運動組織だけでなく、国内外の企業も加わってメキシコの近代化と競争力向上を自分たちの必要不可欠な課題と捉えている。生産プロセスの両当事者である労働者と企業は、競争力を得るためにはいくつかの基本要素が必須条件である点で見解が一致している。その中には労使対話も含まれている。企業の生産水準を向上させ、その結果として労働者の収入も向上していくという理解をベースにしている。

多国籍企業

 近年、自動車や電器産業といった生産部門の成長と投資が増えている。メキシコが世界で最も大きな消費市場の一つである国と国境を接していることにある。そして産業の確立に不可欠な条件である、労働力の質の継続的な向上努力と政治の安定などによるものである。現在、ヌエボレオン州は外資にとってメキシコへの直接投資の魅力を感じる第二の都市になっている。2007年6月までの外資による投資は前年比48.7%増を記録している。ヌエボレオン州は雇用増大のリーダー的な州とみなされている。最近、ヌエボレオン州の経済発展相がアジア地域の歴訪の際にも日本の企業数社と投資契約の締結を行った。産業と経済の発展に不可欠なノウハウを得るために、ヌエボレオン州では、中南米で初めての工業団地の建設も始めている。

国境を越えた地域市場

 世界市場の新たな課題は、市場の地域分散化における新たな市場作りに集中している。ヌエボレオン州政府は、4年前から、アメリカに隣接するチワワ州、コアウイラ州、タマウリーパス州、ヌエボレオン州とアメリカでも最大規模の市場の一つであるテキサス州との間で市場統合を形成しようという計画をすすめている。
 今世紀のメキシコは世界市場の新たな動きに突きつけられた課題に立ち向かおうとしている。メキシコの労働運動はこの努力の一端を担おうとしている。この厳しい競争社会でメキシコが生き残るために労働組合組織間の協力、能力向上や近代化をさらにおしすすめることが求められている。

憲法および連邦労働法改正問題

 メキシコの労働運動はさまざまな問題に取り組むなかで公正な社会的側面を重視した社会の発展のために憲法や連邦労働法の改正を求め運動している。それは政党と労働運動との関係から労働組合の組織運営まで多岐にわたっている。職場においては40時間労働、差別のない公平で働きがいのある労働へのアクセスと労働条件、女性労働者、未成年労働者にとって働きがいのある労働条件、賃金では全国統一の最低賃金の制定。全国最低賃金委員会に代えて、最低賃金・生産性・利益分配のための全国機関の設置。政党との関係では、強制的な政党加盟の禁止など。労働組合の組織運営では直接無記名投票による役員選挙、明確な会計処理などがあげられている。