2005年 メキシコの労働事情

2005年7月6日 講演録

メキシコ労働組合連盟(CTM)
エドゥアルド レカンダ パヤン

メキシコ電力労働組合 教育・社会対話担当

 

発電プラントの合理化・雇用の創出が課題

 現在メキシコの電力産業では、外国企業による発電プラントの問題がある。メキシコの発電の26%が民間によって行われている。この民間投資の発電プラントというものは本当に自動化されており、ユニットなどもすべて組み立てられた形で持ってきて、設置するという状態である。例えば、電力公社の発電プラントでは200人以上が働いていたものが、民間投資のプラントでは20人程度で操業するという状態である。従って、このように自動化されている産業のなかでの労働組合の仕事は、新しい雇用をいかに創出するか、これが大きな課題となっている。

発電所閉鎖、電力公社の民営化反対闘争とその成果

 現在メキシコの電力労働組合が直面している闘争としては、[1]発電所の閉鎖反対、[2]電力公社の民営化阻止がある。そのひとつは、電力公社は全国23ヶ所の発電所をコストに見合わないとして閉鎖した。労働組合は直ちに反対闘争を展開するなかで、電力公社と団体交渉を開催した結果、[1]解雇は一切しない、[2]発電力閉鎖の場合の労働者は配置転換をする、[3]長期勤務者で退職を希望するものには優遇措置をとるなどで合意した。
 また、電力公社の民営化反対闘争では、現在のところ、ナショナルセンターと電力労働組合は、政府と交渉を行い電力公社は民営化しない、と合意を取りつけた。

メキシコ全国労働組合(UNT)
ユーヘ二ア デル カルメン モタ ベセリル

メキシコ電力労働組合 教育・社会対話担当

 

2006年の大統領選挙が注目

 現在メキシコでは、次期大統領を誰にするかいうことに国民の大きな関心が集まっている。2006年7月には大統領選挙が実施される。大統領の任期は6年間である。メキシコは大統領制で、立法府は3年ごとに更新される下院と、6年ごとに更新される上院とで成り立っている。現在、さまざまな政党がいろいろな社会グループとの利害の一致を試み、それを通して選挙に勝利しようとしている。UNTは各候補者の提案を聞くことにおいてはオープンでいるが、組合員の特定政党への投票を確約したり、強いたりはしないことにしている。

政策提起とその成果

 UNTは、現在中南米やヨーロッパ諸国のあるような社会経済審議会というものの設立運動に力を入れている。この提案はさまざまな経営者団体や労働組合から支持されており、あとは政府がこのプロセスに加わるのを待つのみとなっている。
 また、UNTは、社会・民衆・農民・先住民労働戦線というものを作ろうとしている。これは名前が示すとおり、実質的には殆どの国の、殆どの国のセクターをまとめるものである。UNTの考え方としては、全体的に、社会全体として積極的に国の発展に参加すべきだと思っているからである。
 さらに、UNTは各国の労働組合との同盟を模索している。グローバル化した経済に対応するため、国際自由労連やUNI国際ユニオンネットワーク、そしてTUAC、OECDの労働問題諮問委員会に積極的に参加している。
 UNTの運動の成果としては、労働者の権利を保持し、ジェンダーも視野に入れた連邦労働法の改正案を議会に提出したことである。議会はこの法案審議を遅らせている。

新しい課税方針に苦しむ労組

 現在、労働組合は厳しい課題に直面しようとしている。それは、議会が2006年会計年度から、労働者の受け取る手当て、給与とは別の手当てにも課税しようと考えているからである。もしそれが実現されると労働者の賃金などは35%減少するという試算が出ている。メキシコ全体の所得配分は、国民の20%が国全体の所得の50%を持っており、残りの50%を80%の国民で分け合っているというのが実態である。
 残念なことに、メキシコの労働運動は社会的な均衡に十分な力を発揮できていないだけに、厳しい状況に追い込まれようとしている。