2004年 メキシコの労働事情

2004年6月30日 講演録

メキシコ労働組合連盟(CTM)
マリア クラウディア エスケダ ジャネス

メキシコシティ電気機械機器工場労働組合連盟
書記長兼CTM労使関係担当副事務局長

 

 私が所属している単位労組は電気製品工場の労組で、その連邦区電気製品工場労組の書記長をしています。所属する労働組合の規約により、その労働組合を代表し、組合員を代表する立場にあります。そして、書記長としての任務は、いろいろな会社と結んでいる団体協約を1年に1度は賃金について見直し、2年に1度は協約全体を見直すことです。私は労働組合の書記長として、同僚の労働者の権利が守られているかを見守る立場にあります。
 私が所属する電気関係の労働組合は、ナショナルセンターとしてメキシコ労働組合連盟(CTM)に加盟しています。私はCTMで労使関係全国委員会に属し、その委員会の副委員長として、労働省やその他の関係省庁とかけ合っています。私がこのような組合活動をしているということで、組合からメキシコシティーの連邦自治区議会の議員として推薦を受け、現在私はその議会の議員をしています。この議会の議員職ですが、私がいるのはメキシコの1つの州ではなく、メキシコシティーという特別な連邦自治区ですので、連邦自治区の中での地方議員としての役割を果たしています。メキシコシティーにこのような地方議会ができたのはわずか15年前です。私はこの地方議会の労働委員会の議長をしており、私の所属する労働組合だけでなく、労働者全体の作業をしています。私としては労働者のために、市民のために、そしてメキシコシティーの市民のために働いていきたいと思います。私は弁護士でもありますが、以前メキシコシティーの地方議会の議員を2回していたことがあります。つまり、下院のようなものでしょうか。これが私の日常の仕事です。

メキシコの経済情勢・労働市場

 現在、メキシコでは1910年のメキシコ革命以来初めての右派政権が政権を担当しています。しかし、15年ぐらい前から既にネオリベラル的な政策が追求されており、それを巡って様々な対立がありました。このネオリベラル構造については、メキシコだけではなく中央アメリカ、ラテンアメリカ諸国も反対しています。その結果、新政権になって既に3年になりますが、この右派政権の間の年間経済成長率はわずか1%です。
 メキシコはさまざまな国と貿易協定を結んでいます。例えば、北米とはNAFTAを結んでおり、ほかにもいろいろと国際的な貿易協定を結んでいるわけですが、こういった協定が私どもの国内に問題を生じさせています。自由貿易協定は、輸入を増やすことには寄与しているのですが、国の産業の発展に見合った経済発展というものをもたらしてくれてはいません。そして、長年にわたったインフレに対してはある程度規制がかかっていますが生産性は上がっておらず、一方では毎年失業者が増えています。また、最近の波として民営化が行われており、これは戦略的な産業である石油産業、エネルギー産業などで行われています。そして、このような民営化に対してはいろいろな分野からの反対があります。これはただ単に労働組合からの反対だけでなく、議会も反対をしています。そして、現在メキシコでは政府に対する反対の動きが強まっています。

メキシコの経済

 経済的なことを申し上げますと、まず現在のメキシコではなかなか雇用が見出せないために、多くのメキシコ人がアメリカに雇用を求めて移動しています。したがって、CTMとしてはメキシコ国内で雇用を生み出すために投資が不可欠であり、経済を強化していくことが大事だと考えています。統計によると、メキシコの労働力人口は4,400万人で、その中で実際に仕事をしている人は2,400万人です。しかし、4,400万人の労働力人口のうち、フォーマルセクターにいる労働力人口は1,500万人だけで、残りはインフォーマルセクターで働いています。フォーマルセクターで働く1,500万人の人口のうちの35%が女性です。メキシコでは女性は平等に扱われています。女性に対する平等な処遇は1917年に憲法が制定されて以来続いています。女性にはいろいろな社会的権利が与えられています。女性の権利はいろいろな形で改正されて、特に1970年以降、女性の平等というものが強化され、女性がいろいろなところに平等にアクセスできるようになりました。そうは言いながら女性が参政権を得たのはわずか50年前です。

メキシコの労働組合組織

 メキシコでは労働組合の連盟(フェデレーション)を名のる組織が全国5,539組織あります。しかし、地区レベルや地方レベルにどのくらいの労働組合があるのかということは、データがないのでよくわかりません。
 メキシコの場合は、企業内組合が存在する場合にはそれらが産業別に組織されています。そして、産業別に集まった組織が連盟(フェデレーション)という連合体をつくります。次に、このフェデレーションがナショナルセンターである総連盟(コンフェデレーション)という形をつくります。そして、このコンフェデレーション・ナショナルセンターが労働会議所という1つの組織に集約されます。
 労働組合の考え方も90年以降は変わってきました。特に政治的な政策面や、社会面での政策では組合員の中には大きな意見の違いがあります。そのような状況から、1997年には今回このプログラムに参加しているUNT(メキシコ全国労働組合)という組織が生まれました。メキシコ労働組合連盟CTMには500万人の組合員がいます。メキシコで一番大きな組織です。

メキシコ全国労働組合(UNT)
マルコ アントニオ セハ ペレス

メキシコ電話労働組合 全国レベル生産性部門責任者

 

 私はメキシコの通信関係の電話労働組合に属し、全国執行委員をしています。執行委員として生産性の向上と競争力の強化に向けてのインセンティブの与え方について労働組合としてどう対応するか、労働組合としてそれらをどうチェックするかについて監視を行っています。
 まず、電話労働組合が加盟するメキシコ全国組合(UNT)の政治的、経済的な活動について申し上げます。UNTにはいろいろな産業の労働組合が加盟しています。その中でも通信、大学、自動車、航空機関係、金属機械関係などの産業の労働組合が主要な加盟組織です。現在、UNTは労働法の改正と闘っています。労働法をグローバル化と近代化に合ったものにするためです。UNTはメキシコでCTMに次いで2番目に大きな労働団体で、200万人の加盟組合員がいます。私どもは特に賃金関係で政府の財政政策に影響を与えてきました。そして、UNTはメキシコ革命民主党(PRD)という政党とともに、政府が意図している労働法の改正を阻止するために闘ってきました。UNTは雇用が破壊されるから労働法の改正に反対しているわけではありません。労働市場にはバランスが必要だと考えています。
 これまで労働組合は社会の平等に対してあまり寄与していませんでした。そのためメキシコは、富の分配において世界でも一番ひどい水準になっています。人口の20%が所得の50%を得ており、残りの80%が残りの50%の所得を分け合っている状況です。インフォーマルセクターで働いている労働力は労働人口の40%に達します。IMSS社会保険庁に登録されている労働者の30%しか労働組合には参加していません。そして、完全失業率は2.71%になっています。メキシコが必要としている近代化は労働力を安価にすることではなく、労働者の生活の質を上げることだと思います。UNTは現在11の政党と協定を結んでいます。そのほかにもいろいろな政党の政治家と協力関係にあります。政治家は当選したならば労働組合の要求のために力を貸してくれることになっています。
 UNTの今年の活動目標ですが、まず労働法の改正に対処することが第一です。次に三者構成の社会経済審議会を設立する要求です。三番目は労働者の労働組合への組織化を推進し、UNTをメキシコ最大の労働団体にすること。更に農民やいろいろな団体が参加している全国農民人民団体との連携活動を進めていくことです。こういった目標を達成するために、メキシコの上・下院の議員やいろいろな市民団体、そして経営者団体と話し合いを行っています。やはりイニシアチブというものは社会から、組織から来なければいけないと思います。そして闘争の能力と気概を持って様々な提起をしていくこと。こういったことが私たちの社会を改善できると思います。
 UNTは今、戦略的な戦線をつくって組織の強化をしています。また、UNTは国際的な連帯が必要だと思います。現在、世界はいろいろな難しい状況にあります。この連帯を結ぶということが、私どもがこの難しい状況を克服できる唯一の手段だと考えています。