2010年 ドミニカ共和国の労働事情

2010年9月3日 講演録

ドミニカ共和国労働組合全国連合(CNTD)
ホルヘ・アルベルト・サンタナ・スエロ(Mr.Jorge Alberto Santana Suero)

ドミニカ労働組合全国センター 国際関係担当書記

 

1.労働情勢

 ドミニカ共和国は、900万人余の国民にのしかかる深刻な経済的、社会的問題を抱えている。人口の約60%が貧困や極貧の指数を下回っており、富は国民福祉に反映されず、国民の大半は自らの労働で貢献した利益から除外されている。富は少数の人口に集中し、社会的脆弱さを生んでいる。
 非正規労働が増加し、経済活動人口の56.5%を占めている。2007年には400万人を超え、失業率は15%となっている。雇用者の90%以上が月給20,000ペソ未満であり、月額約23,000ペソの最低生活費を賄うことができない。
 労働市場の特徴は、経済危機により雇用や労働条件が深刻な影響を受けていることである。労働者は不況でも好景気でも新自由主義モデルの被害に遭っている。様々な産業部門で雇用が減少し、その中には保税加工地域における繊維・縫製部門も含まれている。多くがシングルマザーの女性であり、家事手伝い、食堂、喫茶店、そして最悪のケースでは売春といった仕事に追いやられている。しかし、こうした影響を低減するための行政的な措置や政策は採られていない。

2.労働組合が現在直面している課題

(1)非正規雇用、下請け雇用と低賃金、失業と労働の不安定化
(2)不安定で質の悪い電力サービス(労働者は生活費の約17%を支払っている)
(3)社会保険制度の改善
(4)政府・労組間の関係の再定義
(5)市民生活の安全保障
(6)男女平等問題
(7)児童労働の根絶

3.課題解決に向けた取り組み

(1)我々は生産性の高い雇用、自由な労働条件や組合加盟の自由のある雇用、平等、安全、そして働きがいのある雇用を含むディーセントワークのための提案や闘争計画を実行しており、また組合活動の自由の蹂躙をILOに告発している。
(2)社会保障の面では、第87-01号法を男女労働者のために、金融的な性格を減らしてより社会的な法律に改正するための闘争計画を実施している。
(3)政府・労組間関係を再定義するために、協調・対話路線を採ると同時に、それらの対話から生まれた合意が守られるよう要求するため、労働者による街頭デモを計画している。
(4)本当の市民生活の安全を保証するための司法制度の強化、および犯罪と汚職を追求するために作られた各組織の再編を要求している。
(5)男女平等の意識付けプログラムを実行している。
(6)最悪な形での児童労働の根絶においては、ILO第182号条約の完全実施を目指し、労働省と協力して活動を行っている。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 ドミニカ共和国政府はCNTDに対しスムーズな関係と前向きな態度を取っているが、男女労働者のために我々が行っている主要な要求事項は解決していない。

5.多国籍企業の進出状況

 多国籍企業は我が国の産業を占有し、観光、製造、鉱業そして建設部門の主要勢力となっている。これらの企業は外資であることを口実に男女労働者の組合加入と団体交渉の権利を侵害している。例として次の3つのケースが挙げられる。
(1)ELSAMEX-CODACSA社(建設業)で1つの労組が結成されたが、多くの組合員が解雇された。その後、我々は団体交渉を求めて労働裁判所に訴えたが、それでもなお組合員への虐待が続いており、これに加担する政府当局者も何人かいる。
(2)TIMBERLAND社(製造業)で1つの労組が結成されたが、組合員を解雇し、肉体的、精神的な虐待を与えた。それだけでなく、これらの組合員が他の企業でも働けないように、彼らをブラックリストに載せ、様々な経営者団体に配布した。これにも何人かの政府当局者が加担している。
(3)SIRAMIR社(造船業)でも同じような組合加入と団体交渉権の侵害が起きており、組合員の解雇と政府関係者の加担が行われている。