2007年 イギリスの労働事情

2007年2月21日 講演録

イギリス労働組合会議(TUC)
ジョン・ファーガス・ウォルシュ

青年委員会委員長

 

労働市場

 労働人口は3730万人、経済活動人口2950万人、就労者2780万人(74.6%)、失業率5.6%でヨーロッパの基準からいえばイギリスの雇用率、就業率は高く、失業率は低いといえます。
 就業の内訳は男性が51%、女性49%で男女の差はあまりありません。
 この5年間、就業率は74~75%で推移し安定していますが若干低下の兆候が2006年の後半に見られました。若年者の失業と長期失業者が増加傾向にあります。労働市場の統計は2006年9月~11月の16歳から64歳(女性59歳)までのものです。

パートタイム労働

 フルタイマーの65%を男性が占めパートタイマーの77%は女性が占めています。女性就労者の半分近くがパートタイマーです。パートタイム労働者のフルタイマーへの希望をみると男性パートタイマーの48%がフルタイムの仕事は望まないという結果がでています。一方、女性の場合はフルタイマーを望まない人は79%と高い割合になっています。これは子どもの面倒をかわりに見てくれる人がいないなどといったような理由でパートを選ばざるを得ないという状況があるのではないかと考えられます。このような理由が、パートタイム雇用に大きな男女間の割合が出ているものとみられます。
 最近は働きながら勉強をする学生が増えていますがこの学生の労働力をあてにしている大手企業もあります。

派遣社員

 労働力に関する統計はあまりしっかりしていませが貿易産業省の2003年の報告によると、派遣社員は100万から150万の倍ではないかというものです。ただ一つ、ある程度確信を持って言えることとしては、派遣が近年急増しているということです。これはヨーロッパの基準に照らしてみますと、イギリスではかなり派遣の仕事が増えています。これは2003年に貿易産業省が出したおよそ60万人という推定値を信頼すればの話ですけれども、派遣の急増ということが言えます。
 EUの調査では派遣労度者が若年者の傾向が強い結果がでていますがイギリスの派遣労働者の平均年齢は32歳ですがその31%は25歳未満です。派遣労働者の26%は正規の仕事がないために派遣労働だけに従事しています。30%は派遣労働を優先しています。
 現在の最低賃金(全国)は時間当たり16歳+17歳=3.2ポンド(約736円@230),18~21歳=4.45英ポンド、22歳以上=5.35ポンド(約1,230円)です。

労働組合と政党

 イギリス労組会議(TUC)と労働党政権との関係は複雑ですがどう複雑なのか5月初めに行われた2日間のイベントで要約することができます。5月2日にゴードン・ブラウン財務相と当時のルース・ケリー教育技能相がTUC本部で開催された会議に出席しています。約600人の来賓が出席していましたがこれは「union lean(組合学習)」という活動の発表会でした。財務相も当時の教育技能相とも、労働組合が技能と学習の機会提供に大きな貢献をしていると組合の関与を高く評価して全面的な支持を表明しています。

ユニオンラーン

 この「ユニオンラーン」は、組合員に技能向上と学習の機会を提供していこうという取り組みです。労働組合の活動のあり方としても、これまでにはなかったような新しい形で組合員にサービスを提供していくというものです。そして組合の学習基金は現在1,540万ポンドになっています。今後数年間にわたり数百万ポンドの助成金によって「ユニオンラーン」の取り組みをすすめていきます。

不当解雇問題

 「メーデー・バンクホリデー」は一世代前の組合の運動によって勝ち取った休日です。メーデーでは公正で平等な職場を実現しようというスローガンを掲げてロンドンや各都市で集会、抗議行動を行いました。多くの労働者が職場で不平等・不公正な処遇に不満を抱いています。日本にも進出している「ゲートグルメ社」や「ブジョウ」の不当解雇問題で法的規制の強化を政府に要求していますが今のところ取り上げることを拒否しています。
 このように政府とうまくいっている部分もありますが他方では対照的な状況があるわけです。そのために従来以上に関係閣僚との接触を密にしています。また総評議会委員のチームが首相と何回か会談をもっています。選挙によって選ばれた政府が、政策決定の過程でさまざまな利害関係を考慮するというのは当然のことですが、政府・閣僚はどちらかといえば労働者よりビジネスの視点をより重視しているという感じがします。

EU指令と政府の対応

 労働時間とサービスに関するEU指令がそのいい例です。この問題をめぐって労働組合と政府の間に緊張が生まれています。イギリス政府の立場に対してヨーロッパの労働組合運動やイギリス以外の各国政府は組合と同じような立場を取るということで緊張が生まれています。

労働事情を聴く会