2013年 ハンガリーの労働事情

2013年11月29日 講演録

ハンガリー労働組合全国総同盟(MSZOSZ)
ハンガリー独立労働民主同盟(LIGA)
バラッツ・コバクス、 エルノ・ピンチェズ

 

 ハンガリーの人口は1000万人で、経済活動に従事している労働者は380万~400万人近くいる。失業率は10%で、特に若者の失業率が27%と高いことが問題となっている。定年は65歳。インフレ率は、2013年の予測で年率2.5%となっているが、現在のところは2%となっている。また所得税率は16%である。
 ハンガリーには、ハンガリー労働組合全国総同盟(MSZOSZ)、ハンガリー独立労働民主同盟(LIGA)、ハンガリー自主労働組合総連合(ATUC)の3つのナショナルセンターがある。その中でMSZOSZは、1900年3月に設立されたハンガリー最大のナショナルセンターである。もともとは社会主義系のナショナルセンターであったが、その体制を引き継ぐ形で現在に至っている。組合員数は18万6000人で、加盟組合数は連盟という形で32ある。この加盟組織のうち、金属産業労働組合連盟が最大である。
 MSZOSZは、欧州労連 (ETUF)、国際労働組合総連合(ITUC)、ITUC汎欧州地域評議会(PERC)、経済協力開発機構 労働組合諮問委員会(OECD-TUAC)に加盟している。女性委員会、青年委員会、退職者連盟があり、地域別組織として西部地域に3ヵ所、東部地域に3ヵ所、そして首都ブダペストに1ヵ所の合計7ヵ所にある。また、それぞれの地域の3つの郡に地域事務所を設置している。
 ハンガリー独立労働民主同盟(LIGA)は、1988年に設立された政治的に独立したナショナルセンターである。LIGAは、ハンガリー国内において、11万2000人の組合員を代表しており、民間部門、公共部門、そして両者におけるすべての地域、全国的な産業部門を網羅する99の加盟労働組合または連盟が加盟している。中でも、運輸、電気、水道、金属産業、教師、警察ならびに公共部門の労働組合は大きな組織である。また各郡で新しく設立された地域ごとの労働組合も存在している。
 LIGAは、ETUC、ITUC、OECD-TUACに加盟しており、平等に関する委員会、青年委員会、退職者会の3つの委員会を設置している。
 全国的な社会的対話については、2011年までは全国社会的対話協議会が存在していたが、2010年に選挙で選ばれた新しい政府は、この協議会の活動をやめ、代わりの協議会を設立した。以前の協議会は、政労使三者で構成され、最低賃金や法案などに関して交渉し、一定の機能を果たしていた。また、労働組合の代表として6組織からそれぞれ代表を出していた。しかし、新たな全国経済社会協議会には、商工会議所も含む経済界や、NGO、科学部門を代表する組織も入ることになった。また労働組合側からは、もともと参加していた6組織を一つにまとめて、1人の代表者を出すことになった。この協議会は、単に協議の場を提供するに過ぎず、交渉権がある訳ではない。2011年以来、政府はこれまでに最低賃金や『労働法』の改正など、一方的に決めてきている。他のいかなる者がどういう意見をしようが、政府は関係ないという態度を示している。
 労働組合に関するデータでは、団体交渉のできる労働組合が34%。組織率が11~12%程度で、団体交渉は企業別労働組合で行なわれている。職場の代表としては、労働組合とワークカウンシル(従業員代表制)がある。全国一律の最低賃金は、月額9万8000ハンガリアン・フォリント、日本円にして約4万3000円(1ハンガリアン・フォリント=約0.4387円)で、ほぼルーマニアと同じである。平均寿命は男性が71.45歳、女性が78.38歳となっている。
 労働組合の課題としては、まず『労働法』の労働規制についてである。昨年の半ばごろ政府が新しいイデオロギーを導入して、労働者や労働組合の権利が大幅に失われた。現政権は議会で多数を占めており、ストライキに関する法律も改正され、労働組合はほとんどストライキが打てない状況になっている。定年は65歳であるが、以前は厳しい肉体労働者や軍関係・軍人、消防士などは職種によって定年が定められていた。彼らは、これまで早く定年を迎えることができたが、今日では65歳まで働かなければならなくなった。
 今後の取り組みについて、労働組合としては、多くの労働者に労働組合活動に参加して欲しいということである。その為には、活動をより促進し、労働者の要求に応えていくことである。また、若い労働者の組織率を上げていくための戦略にも注力しなければならない。
 政府は、これまで以上に雇用創出策を打ち出して欲しい。選挙中には100万人の新規雇用を創出すると約束したにもかかわらず、選挙後、目に見える雇用の創出がないのが現状である。
 労働組合としては、さまざまなITツールを使って、より一層コミュニケーションを良くしていかなければならない。Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアを有効に活用したいと考えている。

労働事情を聴く会