2014年 チェコの労働事情

2014年7月11日 講演録

チェコ・モラヴィア労働組合連盟(CMKOS)
ミハエル・ヴォタヴァ

UNIOS労働組合 国際、教育、IT担当執行委員

カテリナ・カヴァリロヴァ
商業労働者連盟(OSPO)会長書記、国際担当

ヤン・ホレツキー
CMKOS法律アドバイザー件青年委員会委員長

 

1. チェコ共和国の労働情勢(全般)

 2007年から最低賃金の引き上げに消極的な右派政権が続いてきたが、最近、左派政権が誕生し状況が変わりつつある。現在、失業給付金が最低賃金よりも高い状況にあり、最低賃金の引き上げが労働組合の重要課題となっている。現時点の合意では、現在月額8500コルナ(約4万2075円)である最低賃金を、2015年から9000 コルナ(約4万4550円)、2016年からは9500 コルナ(約4万7025円)に引き上げることになった。チェコ・モラヴィア労働組合連盟としては、最低賃金を平均賃金2万6637コルナ(約13万1853円)の50%の水準にまで引き上げることを目標としており、合意した額について満足しているわけではない。
 労働協約の対象となっている労働者の賃金は、平均賃金の26637コルナ(約13万1853円)に対し、協約賃金は2万9163コルナ(約14万4357円)、中央値は2万2288コルナ(約11万326円)に対し協約賃金が2万4604コルナ(約12万1790円)と高くなっている。
 2013年のGDPはマイナス0.87%、2014年の第1四半期は2.5%となっている。
 2014年5月時点での失業率は7.5%で、これは前年よりも少し上昇した。主な理由は季節労働に変化があったためである。失業率は地域によって大きな違いがある。北部モラヴィア地方は炭鉱や重工業が多く、経済不況の波を大きく受け、失業率が高くなっている。それに対し失業率が一番低いのは、首都プラハに働きに出られる首都周辺地域である。若年層(15~25歳)の失業率は18.8%(2013年末現在)となっている。主な問題は技能教育を受けた学生の不足と、見習い制度の不人気によって労働力に対する需要が満たされない状況を招いていることである。
 チェコにおいては、2つのレベルで団体交渉が行なわれる。1つは企業別の団体交渉で、これにより会社と組合間で労働協約が結ばれる。労働組合は複数の場合もある。この労働協約は組合員であるか否かに関わらず、すべての従業員に適用される。もう1つ、高いレベルで労働協約を結ぶ場もある。これは産別と産業別経営者団体との協約である。この産別労働協約が締結されると、労働社会省が部門全体に適用されることを発表する。かつては産業レベルの協約が15あったが、現在では木材・林業・水産部門の1協約のみとなっている。その理由は、産業が国営企業中心で、中央集権的な状況から変化してきたこと、産別組合が部門の経営者団体との団体交渉の権利を放棄してしまったことなどがある。

2. 労働組合の直面する課題

 前右派政権下で民法の改定が行なわれ、2014年1月1日から発効した。この民法の中には、労働組合に影響の大きい条項がたくさん含まれている。中でも重要なのは組合設立手続きで、これまでは労働組合として適正である証拠があれば良かったが、これからは政府に登録しなければならない。しかも、労働組合は大会の役員選挙などがあるたびに登録管理費を支払わなくてはならない。チェコ・モラヴィア労働組合連盟は、これはILO第87号条約に対する重大な侵害であると考える。
 規制緩和の問題もある。特にエネルギー産業では安全基準の規制が緩和され、保守点検の頻度が下がり、危険な状況が出ている。その結果、必要な人員も減り、雇用面でも余剰人員の削減圧力が高まっている。
 商業分野では、現在チェコでは店舗営業時間の規制が全くない。他のEU諸国同様、営業時間を6時~22時までとし、年7日を休業日と規制する法律の採択を求めるキャンペーン中である。

3. 解決に向けた取り組み

 チェコ・モラヴィア労働組合連盟は加盟するすべての組織と緊密な連携を図りながら、民法を改正して「労働組合の登録」を削除し、政府と組合双方にとって不必要な事務処理負担を抑える必要性について政府・議会と交渉を行なっている。
 使用者が多国籍企業である場合が多いため、ヨーロッパ全体で従業員代表の連携を強化することが必要である。連携手段の一つは欧州従業員代表委員会(EWC)の設立であり、私たちはこの分野において非常に積極的である。
 組合員減少に対する一つの対策として、「労働組合はあなたの味方」キャンペーンを実施している。組合のイメージを変えて、新しい組合員に魅力あるものにしようと努めている。組合員を対象にした法律相談や特典などいくつかのサービスを開始した。新たなコミュニケーション・チャンネルとして、ソーシャルネットワークも試している。

4. 政府との関係

新たな政権との良好な関係を模索中。

*1コルナ=4.95円(2014年8月22日現在)

労働事情を聴く会