2010年 チェコの労働事情

2010年10月22日 講演録

チェコ・モラヴィア労働組合連盟(CMKOS)
ハナ・ポペルコヴァ (Ms. Hana Popelkova)

上級アドバイザー  

 

1.チェコ・モラヴィア労働組合連盟(CMKOS)の組織概要

 チェコ・モラヴィア労働組合連盟(CMKOS)は、1990年4月に結成されたチェコ共和国最大の労働組合連盟であり、自由意志による開放的で独立した民主的連盟で、被雇用者の賃金、労働条件、生活条件、権利の保護に取り組んでいる。
 32の加盟産別があり、組織人員は40万人を超える。主な加盟産別業種は、金属、教育、建設、医療・介護、公務員、エネルギー・化学、銀行・保険である。
CMKOSは、チェコ共和国経済社会協定評議会の枠組み内の三者交渉における重要な社会的パートナーである。
 また、CMKOSは国際労働組合総連合(ITUC)、欧州労連(ETUC)、経済開発協力機構労働組合諮問委員会(OECD-TUAC)の加盟組織でもある。

2.活動の主要原則

  • 政府および国家諸機関、政党、使用者団体、その他企業からの独立
  • 意思決定と政策策定には厳格な民主的手法をとる
  • 加盟組合の利益と相互連帯のために共同行動をとる
  • 共通目標の尊重と支援

3.主要目標

 CMKOSの基本的使命は、加盟組織の労働組合権、経済的権利、労働者の権利、社会的権利その他の権利を調整して擁護し、国レベルで加盟組織の利益を促進し、海外の労働組合連盟との協力を発展させ、労働組合国際組織や、欧州組織においてチェコの労働組合を代表することである。
 具体的には、グローバル化や経済の自由化が進む中で、加盟組合員およびすべての被雇用者のディーセントな雇用条件を要求し守ることであると同時に、被雇用者に対する適切な社会的保護、労働条件等の擁護、そして生み出された社会の価値および企業の経済的利益の公正な分配を被雇用者が賃金・給与で受け取れるよう懸命に努力することである。

4.目標の達成方法

 一般に労働組合の最も有効な手段の1つは団体交渉と労働協約である。CMKOSはこの手段を用いて、加盟組合とともに組合員に公正な賃金・給与だけでなく、ディーセントな労働条件と人材開発を確保するよう努めている。
 労働法では、経済・生産・報酬・文化・社会的条件における被雇用者の重要な利益に関する法案は当該労働組合団体および使用者団体と協議しなければならないことになっている。この規定に基づき、CMKOSは労働・社会・課税その他の政策に関する考え方を法案に反映させるよう影響力を行使しようと努めている。
 必要とあれば、CMKOSは抗議行動を通じて強力に要求を主張する。社会保障予算が削減される深刻な状況の中で、今年9月には公務員労組が賃金削減に反対する大規模なデモを組織した。

5.チェコ共和国労働運動の主な課題

 最大の課題は現政府が右派政権であることから生じる問題である。現政府の政策は労働組合の推進する価値観、考え方と一致せず、労働組合を重要な社会的パートナーとみなしていない。
 またもう1つの長期的問題として、継続的に組合員数が減少していることが挙げられる。現在の失業率は9%だが、2011年にはさらに失業者が増えるのではないかと懸念している。チェコ労働運動の最大の課題は、特に若者にとっての魅力を増すことである。

チェコ・モラヴィア労働組合連盟(CMKOS)
フランティシェク・フプカ (Mr. Frantisek Hupka)

銀行保険労働組合執行委員

 

1.銀行保険労働組合(OS PPP)の組織概要

 銀行保険路同組合(OS PPP)は、CMKOS加盟産別の1つで、1990年にプラハに設立された新しい組合であり、国際産別UNIの金融部門の加盟組合でもある。
組合員の職場は銀行(チェコ国立銀行を含む)、保険会社(民間保険、健康保険)、証券代理店、銀行子会社などである。
 優先取り組み課題は、賃金、労働時間、社会保障、安全衛生に関する団体交渉、多国籍銀行のEWC(欧州従業員代表委員会)活動である。
 組合の最高決議機関は大会で、5年に1回開催される。その下に代表者会議(年4回以上開催)、評議会(執行機関で月1回開催)、地方組織(基本単位)がある。
 企業別に1組合があり、小規模組合が多く、最少組合員は3人である。1企業内の小規模地方組合をまとめる組織として企業別労組委員会がつくられることもある。どの組織も組合員減の問題を抱えている。
 組合費は税引き後所得の1%で、最高月額250コルナ(約10ユーロ)となっている。組合費の配分は、企業別組合が70%、企業別労組委員会がある場合は10%、産別労組が20%である。

2.団体交渉の概要

 団体交渉は、産別レベルと企業レベルで行われる。産別レベルでは、銀行保険部門の唯一の組合である銀行保険労働組合(OS PPP)と使用者側の唯一の団体である銀行保険協会(SBP)との間で行われる。
 通常、労働協約の有効期間は2~3年で、現在の協約の有効期間は2008年7月1日~2012年6月30日となっている。賃金と社会基金の協約は例外で、1年ごとに合意する。銀行部門の被雇用者の75%以上が部門レベルの労働協約の対象となっている。

3.労働組合の活動

  • 法律相談
    労働法(CMKOS費用負担)、住宅法(企業レベル組合の費用負担)、民法(企業レベル組合の負担額最高50%まで)の法律相談
  • セミナー
  • 情報・協議 - 顔を合わせることが何よりも重要!
    ウェブ、労組内イントラネット、週1回eメールによる労働組合情報提供、産別との定期会議など
  • 予防的ケア
  • レクリエーションとスポーツ

4.多国籍企業

 ベルギーを母国とする多国籍銀行KBCがチェコCSOBおよび近隣中欧諸国の銀行の株主である。KBCのEWC(欧州労使協議会)にはメンバー諸国から36人の委員が出ている。EWCは毎年ベルギーで会議を開催している。EWCの執行委員会がメンバー諸国を訪問し、現地の現状を把握し、問題の解決に当たっている。

労働事情を聴く会