2012年 ボスニア・ヘルツェゴビナの労働事情

2012年11月2日 講演録

ボスニア・ヘルツェゴビナ独立労働組合総連合(KSBIH)
Mr. ヴェドラン・デディッチ (Mr. Vdran Dedic)

財政・経済・国際協力担当

 

1.全般的な労働情勢

 ボスニア・ヘルツェゴビナは、戦前・戦後と期間を分けて考えるのが正しいと思われる。戦前・戦後の重要な点、特徴点を挙げてみると、最も重要な点は、戦前は国有企業、戦後は民有企業ということである。戦後、全ての工場が民営化されている。国有企業の時代には、ほかの共産国と同じく、強い統制計画経済の下で、中産階級が力を持っていた。失業率も低かった。また、旧ユーゴスラビア連邦に属していたので大国でもあった。国内の需要は大きかった。
 民営化は階級間格差を拡大させ、中産階級が激減した。ボスニア・ヘルツェゴビナは旧ユーゴスラビア連邦の中心部に位置し、産業の中心は製鉄産業や石炭採掘産業などの重工業が中心である。地熱を使ったエネルギー生産も行なっている。旧ユーゴスラビア連邦時代は、これらの産業の雇用が大きな比重を占めていた。それらが戦争で破壊され、残りは戦後民営化され、その結果、多くの雇用が失われてしまった。

2.労働組合が直面する課題

 戦後、産業の復興に当たって、強大な海外投資家が進出し企業や工場を安く買いたたく状況になった。その結果、ヨーロッパで失業率が一番高い国になった。現在の失業率は政府発表によると44%である。この現実の中で、使用者が労働者を脅すのは簡単な状況にある。いつ辞めてもらってもいいよ、と言われてしまえばそれまでである。
 ストライキは日常的に行なわれている。そのため大きなニュースにはならない。ギリシャよりも悪い状況と言える。ゼネスト時のみメディアは扱う。過去2年の間に2回ゼネストが行なわれた。1つ目は、政府がIMFの借款を労働者権利の削減と引き換えに同意しようとした時である。2万人の労働者が抗議のストライキに参加した。2つ目は、今年5月のストライキで約8000人の労働者が参加した。

3.労働組合の取り組み

 労働組合は、低賃金の問題、賃金や手当の未払い問題を始めとして多くの問題を抱えている。問題解決のために政府と向き合う組織として社会経済審議会が、全国レベル、地域レベル、さらにその下のレベルに設置されている。各レベルで政府と労働者の問題について協議が行なわれている。

労働事情を聴く会