2006年 アルバニアの労働事情

2006年11月15日 講演録

アルバニア独立労働組合連盟(BSPsh)
オルザ・ビラ

国際局長

アルバニア労働組合連盟(KSSH)
アニサ・スバシ

アルバニア労働教育センター長

 

 ヨーロッパの南東部に位置する共和国アルバニアは人口約350万の小さな国である。第二次世界大戦後から90年代の初頭まで、アルバニアは共産主義国で中央の計画経済下にあった。90年より東欧改革の影響を受け民主化が始まり90年代の初めに、市場経済に移行した。

労働市場

 市場経済移行下の多くの国々と同じように、労働力率が大幅に下がった。90年の初めに実施された構造改革によって官公部門と民間部門の二つのセクターができた。初期の段階では国が労働市場の46%を占めていたが徐々に官公部門の雇用割合が減少し民間部門の雇用が増えていった。今日においては官公部門の雇用率が19%、民間部門が81%と激変している。官公部門の雇用減の原因は、主に国営企業が民営化によるものであるが倒産状態の不採算企業や閉鎖企業が雇用減に加わった。
 構造改革で最も影響を受けたセクターは鉱物の採掘業、冶金、設備、化学、鉱業、繊維、製紙業などである。最大の雇用者数は農業である。その他のセクターで、雇用の割合が低くなっているのはインフォーマルセクター、あるいはブラックマーケットの存在が大きいことを示している。実はこのインフォーマルセクターのために、雇用率や就業率、あるいは失業率といった指標の信頼性を損なっている。
 労働監督当局によるフォーマルの企業に対する査察の結果、建設業においては、いわゆるブラックマーケットで働いている労働者が、2000年には30%にも及んでいることが判明した。2004年は20%に減少はしているが、このインフォーマルレイバーがあまりにも多いために失業水準の実態把握を難しくしている。さらに、91年には多くのアルバニア人が移民をしている。さらに、隠れた多くの失業者が農業部門に存在する。公共の職業紹介サービス機関に登録をされていない多くの失業者がいるということである。
 91年に26%の上った失業率は年々減少しているが現在も14.4%を記録している。登録全失業者のうち、45.5%を女性が占めている。女性の多くが食品や軽工業のセクターに雇用されていたが民営化ないし閉鎖によって仕事を失った人が多い。
 年齢別では15歳~35歳の失業者が一番高く教育水準別では初等教育(8年間の義務教育)のみが53.5%(2004年)を占めている。中等教育(44.7%)、大学(1.8%)のように教育水準が高いほど失業率が低い。地域的には北部の失業率が、南部及び中部に比べて高くなっている。中小企業が非常に多いということと、事業の発展レベルが低いこともあげられる。企業活動では地方から大都市へ移動する傾向が見られる。首都ティラナなど大都市およびその周辺地域に、地方の農村部から大量の労働者が流入しているという問題もある。男女別では失業者全体のうちの66%が長期の失業者でその大半を男が占める(女性32%)。長期失業者のうち54%が35歳以上である。高い失業率はアルバニアが抱える深刻な問題である。

労働運動

 主な全国組織として2つのナショナルセンターがある。いずれも91年結成でICFTU(現ITUC=国際労働組合総連合)加盟は2002年。欧州労連(ETUC)の加盟組織でもある。
 三者構成の全国労働審議会のメンバーである両組織間にはコモンアグリーメントと呼ばれる共闘に関する2つの合意書が結ばれている。

アルバニア独立労働組合連盟(BSPSH)
組織人員約85,000人(女性35%)、17加盟組織、12地域組織。主な加盟産別は鉱山、冶金、建設、観光、貿易など。当面の活動は全国労働審議会対策、教育・医療・テレコム部門の労働協約締結にある。

アルバニア労働組合連盟(KSSH)
組織人員約105,000人(女性35%)、12加盟組織、33地域組織。主な産別はエレルギー、鉱山、繊維、建設。当面の重要取り組み課題は組織化、地域組織の統合、女性・青年労働者の活動指針の策定などである。
正常な労使関係の構築のために、あらゆるレベルでの社会的対話をすすめるとともに三者構成機関の充実強化が重要になっている。

労働事情を聴く会