2000年 ベトナムの労働事情

2000年6月21日 講演録

グエン・ホア・ビン
ベトナム労働総同盟常任幹事兼法律部門部長

 

 ベトナムの経済社会状況についてまずお話しします。1986年からベトナムでは、ドイモイ(刷新)路線が始まりました。その路線を通じて多くの経済セクターが発展、成長しました。もちろんそれは、政府の指導の下で行われたのですけれども、どの経済セクターも平等に発展しています。べトナムでは、常に政治が安定しています。このことは、国内の潜在力を発揮させると同時に、外国資本の誘致を進める上で、重要なファクターであると考ています。
 ベトナム政府は、1999年6月までに、62地域700社から申請が出されていましたプロジェクトのうち、2,175件について許可しました。もちろん日本もその中に含まれています。日本の場合、88年からベトナムに投資を始めており、今日における投資案件の総額は36億7,800万ドルになります。これはシンガポール、台湾についで3位となります。
 1999年のGDP成長率は、4.8%になりました。しかし、この数値は98年度と比べて1.2%の減少です。食糧生産は、3,430万トンを達成し、一人当りの食糧自給率も440キロにまでなりました。工業生産額は、前年度比で10.4%増、そして、輸出額も115億4,000万ドルになりました。これは、98年度比で23.3%増です。また、輸入額も116億2,000万米ドルになり、98年度比で1%増です。1999年からベトナムでは、週40時間労働が実施されました。しかしながら、ベトナムの経済的な困難は打ち続く自然災害です。この自然災害によって何百億ドンという損失をこうむっています。また、経済成長率もプラスの方向ではありますが、これもおそらく減り続けると思われます。行政改革のテンポも非常に遅れています。農産物の国内消費がなされず、競争力も低下しています。
 総人口は、およそ7,600万人余りですが、その中で労働力人口の占める割合は、56%です。しかし、全国平均の都市部における失業8率は、6.74%です。そのような状況の中で、毎年100万人余りが新規労働力として加算されていくわけです。
 次に、私どもの組合について説明させていただきます。ベトナムの労働組合は、1929年から活動を始めました。私どもの労働組合は、61の省・市レベルの組合、および、18の中央産別労組から成っています。組合員数は400万人、そのうち7,000人が役員です。
 私どもの労働組合もさまざまな困難に直面しています。例えば、1人当たりの年間収入が非常に低い状況が続いており、現在、1人当たりの収入は、約300ドル程度です。また、貧困層をこれからもっと減らして行かなければなりませんし、一部の産業、例えば、石炭、交通分野では、労働条件をより改善していく必要があります。そして、雇用の創出と失業率の低下にも歯止めをかけなければなりません。さらに、労働組合自身も新しい企業の所有形態の刷新を進めるという事業にも参加しつつあります。
 そのような状況の中で、ベトナムの労働組合は、工業化、近代化、雇用の確保、生活の安定、そして社会の民主的公平さを保つことを目指して活動を展開しています。私達の主要な任務の1つ目は、労働者に対する啓蒙、教育、そして組合への参加を働きかけることです。2つ目は、社会的経済的発展のために労働運動を教化することです。3つ目は、労働者も積極的に労働政策の決定に参加し、労働者の権利を保護していこうというものです。
また、中央から地方に至るまでの各レベルの政府の機構を清潔なものにしていくために、労働者も参加していこうというものです。そして、基礎レベルから組合員を拡大し、組合の体力そのものを強化していこうというものです。
 さらに、組合自身が国際交流を拡大し、世界中のさまざまな組合との関係を築いて行くという任務を抱えています。ベトナムの政府自身の目標は、すべての国が友人であるというものです。事実、私どもベトナム労働総同盟は、世界100カ国の組合と交流関係を持っています。そして、これから一層各国の組合の経験や知識を収集し、学んで行くために、引き続き対外交流を進めていこうとしています。