2014年 ミャンマーの労働事情

2014年6月26日 講演録

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
ミョ ミン (Mr.Myo Myint)

ラインターヤー地区家庭用品(プラスティック)労働組合委員長

 

1. 労働情勢(全般)

 ミャンマーの多くの労働者は、収入が非常に低い状況に置かれている。時代に即した最低賃金規定が無く、工場や作業場のほとんどで、事業主が支払いたいと思う賃金だけが支払われるとともに、長時間労働を強いられている。労使関係においても平等な権利は無い。教育の有無に関係なく、失業者の数は増加している。

2. 労働組合が現在直面している課題

 労働組合結成は、憲法やILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)によって認められているにもかかわらず、実際には結成が困難になるよう、政府がさまざまな法律を制定して、労働組合の結成を妨害している。事業主も、工場内や作業場内で労働組合が結成されないよう、さまざまな手段を講じて妨害してくる。そのため、組織の力を増大させるためにはさまざまな困難に直面せざるを得ない。

3.課題解決に向けた取り組み

 労働組合とその組合員の力を強化して、直面している困難を解決するためには、まず法律を改正しなければならない。そのためには、労働組合と組合員すべてが団結する必要がある。そうして初めて、労働組合に対するあらゆる障害を取り除くことができる。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 ミャンマーの労働者は、作業場での危険に最も多くさらされている。それは、[1]仕事、作業に関する講習や危険性に対する知識を付与する冊子やポスターが無い[2]危険防止のためのヘルメットや手袋、マスクなどの保護具が作業員に十分に配布されていない[3]危険防止のための保護具が配布されていても品質が不十分である[4]毎年あるいは業種ごとの健康診断が無いこと――などが理由である。
 例えば、ミャンマー経済コーポレーション*1の所有する鉄工所では、非常に危険な石綿を使用している。空気中に飛散した石綿繊維を長期間大量に吸うと、身体に多大な影響を及ぼすが、このような状態で業務を行なっている労働者には何の保障も無い。

*1:ミャンマー経済コーポレーション会社(MEC)は軍の下部組織として1997年に創設された。

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
ウィン ゾウ(Mr. Win Zaw)

モビ地区家庭用品(ダンボール)労働組合委員長

 

1. 労働情勢(全般)

現在のミャンマーにおける労働情勢
 『労働組合法』は2011年10月11日に制定され、労働組合を結成することが可能となった。その後、労働組合が全国で結成され、現在までに1099組織となった。われわれが所属するFTUMは、520組合で組合員数は3万3000人以上にのぼる。別のナショナルセンターに200組合ほど加盟し、その他は無所属となっている。
 ミャンマーには、日本の労働基準法のように労働基準に関して定める労働法が存在していない。以前は、労働者の基本的な権利義務を定める法律があったが2011年12月に廃止され、現在は、多くの個別法が労働に関する一定の事項を規定している。
労働者にかかわる法律は以下の通りである。

(1)労働組合法(Trade Unions Act, 2011)
(2)労働紛争解決法(Trade Disputes Act, 1929)
(3)最低賃金法(Minimum Wages Act, 2013)
(4)労働および技術向上法(Employment and Training Act , 1950)
(5)社会保障法(Social Security Act ,1954)
(6)労働者災害補償法(Workmen's Compensation Act, 1923)
(7)休暇および休日法(Leave and Holidays Act, 1951)
(8)店舗および商業施設法(Shops and Establishments Act ,1951)
(9)油田(労働および福利厚生)法(Oilfields (Labor and Welfare) Act, 1951)
(10)雇用制限法(Employment Restriction Act, 1959)
(11)工場法(Factories Act, 1951)
(12)賃金支払法(Payment of Wages Act ,1936)
(13)雇用統計法(Employment Statistics Act, 1948)

 また、労働者に関する事項を容易に進めるために、委員会を設置して協議することもある。現在、最低賃金制定国民委員会(構成は公労使各5人、政府大臣含め12人の計27人)と社会福祉国民委員会の二つがある。

労働現場の状況
 労働組合の結成が可能ではなかった時期は、事業主やマネージャーが労働者に対して乱暴な言葉づかいで抑圧し、賃金を低く抑え、長時間にわたって働かせた。また、作業現場の危険防止は行なわれず、法律に基づく労働者の権利を与えない状況にあった。
 労働組合結成が可能になってからは、事業主やマネージャーからの抑圧、差別的な扱いは明らかに減少し、一部の事業主は労働組合と協議するようになっている。
 事業主は、低賃金と長時間労働、作業現場での危険防止などを改善するようになった。このような労働組合の成功は、ミャンマー労働組合連盟(FTUM)が労働者に対して、自分たちの権利と法律を理解するよう研修会を実施したことや、世界各地の労働関係の団体から講師や指導者を招へいして研修を行ない、ともに議論することで労働者自身の意識を高めていることからもたらされている。現在、FTUMのメンバーが最低賃金制定国民委員会において委員として参加する権利を得るまでになった。

現在の農民の作業現場の状況
 現在、政府による農地接収のために、農業に従事していた労働者が他の場所に移って違う仕事に就かざるを得なくなっている。『農地法』および『空地、荒地、休耕地法』が制定されたが、政府の広報も無いため農業従事者はこれらの法律をよく知らない。ミャンマーは農業国であるために、農地接収が続く場合、農業労働者が仕事を失い失業者が増加する状況にある。

事業主と労働者間の争議状況
 以前は、事業主と労働者の間で多くの争議が発生していたが、現在は減少している。争議が多発したのは、労働者の法律に関する理解不足と、事業主側が法律に従わず、政府も労使紛争を処理する能力が不足していたためである。現在では争いがあっても解決に至ることが多い。労働者側も法律をよりよく知るようになり、法律に基づいて労働者の権利を事業主と話し合い、協議することで争いを減らすことが可能となった。

事業主の労働組合に対する見方
 事業主は、労働組合が結成されると自分たちの権利が損なわれると考え、労働組合が結成できないよう、さまざまな方法で妨害している。しかし、国際的な経験を持つ事業主は労働組合が敵であるという見方はせず、企業の議論、協議の相手として、協力していくこともある。
 

2. 労働組合が現在直面している課題

 現在直面している主な課題は、労働組合を結成する際に困難に直面せざるを得ないことである。労働組合を組織するためには、労働者の10%の加盟が必要であることが問題点の1つである。法律では30人集め、さらに労働者の10%の組織化が必要であるため、1000人以上の工場では、100人以上の労働者の組織化が必要となり、少なくとも6カ月程度の時間を要するなど時間がかかる。2番目の課題は、組合結成の権利は得たが、自由に勧誘する権利を得られていないことである。
 ミャンマーにいる労働者は事業主とも協力し、事業主と労働者の権利が発展していくよう努力していきたいと思っている。

(注)
 『工場法』は、「10人以上(動力を用いない施設の場合は20人以上)の従業員を雇用する加工業を運営するすべての施設」が適用対象となり、労働者の安全、保険、福祉、労働時間などについて規定している。
 『油田(労働、福祉)法』は、油田施設にのみ適用される法律で、油田施設で就労する労働者の健康、安全、福利厚生、終業時間、休日に関して規定しているものである。
 『商店・事業所法』は、商店、事業所で働く労働者の労働時間、休暇の適正化を目的に定められている。外資企業の現地法人、駐在員事務所、外国企業の支店は通常この法律が適用される。

各法律に基づく労働基準

『工場法』 
労働時間 1日8時間 週44時間(連続操業工場の場合 最大48時間)
休憩時間 連続5時間勤務後30分(就業時間と休憩時間の合計が1日10時間を超えてはならない)
就業日 週6日
週休日 日曜日
残業時間 最大週16時間(連続操業の工場では12時間)
残業手当は通常賃金の2倍の手当
残業手当を課す場合は工場および一般労働法検査局から事前承認を受けなければならない
休日労働 通常賃金の2倍の手当と2ヵ月以内に代休を与えなければならない
深夜残業・休日の残業については特に記載なし
『商店・事業所法』
労働時間 1日8時間 週48時間
休憩時間 連続5時間勤務後30分(労働時間と休憩時間の合計が1日11時間を超えてはならない)
就業日 週6日
週休日 週のいずれかの曜日
閉店時間 午後9時から午前5時
残業時間・休日労働等については『工場法』と同じ
『休暇・休日法(1951)』
有給休暇 12ヵ月以上勤務し1ヵ月の勤務日数が24日以上の労働者に対し年間10日間の有給休暇が付与される
臨時休暇 個人的な休暇(慶弔など)の場合、1年間に6日間まで使用できる。ただし連続での取得は3日間までで、翌年度への繰越はできない
祝祭日 事業所で勤務するすべての労働者に有給の祝祭日日が与えられる

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
イェ ミン チョウ (Mr. Ye Min Kyaw)

インセン鉄道労働組合委員長

 

1. 労働情勢(全般)

 ミャンマーの人口は6000万人以上で、現在の労働力人口は3300万人である。そのうち政府公務員は30万人を超える程度であり、鉄道関係の公務員は約2~3万人いるが、組織されている労働者の数は非常に少ない。鉄道関係の労働組合の数は私たちの組合を含め7つしかない。残りの3000万人は失業者およびインフォーマルセクター労働者など、仕事が不安定な人たちである。現在の賃金の最低水準は、工業部門で月額2万5000チャット(約2500円)であり、また所定労働時間は8時間と規定されているが、10時間から12時間働かざるを得ない人もいる。健康については、生活福祉の新しい法律を制定したが、現状ではその法律に則って実施されているものはない。

2. 労働組合が現在直面している課題

 ミャンマーでは、2011年に『労働組合法』が公布され、2012年から労働組合を結成する権利を得た。労働組合の数は現在1099組織である。この1099組織には、農民組合が900組織、工場、作業場、工業団地にある組合が約100組織である。工業団地にある労働組合の数が少ないのは、労働組合活動に関与したことで組合役員が解雇されているからである。また、組合員に対して差別的に接し、政府も組合役員に勤務中の労働組合活動を一切認めていないことなどにより、工業団地の労働組合の数は少なくならざるを得ないからである。そのほか、経済特区の労働組合と事業主との間で発生している最も多い問題は、賃上げ要求である。
運輸労働者の間で今一番の問題は、労働現場の安全の確保と福祉(共済)についての方策が足りないことである。現在、海運や陸運、内陸水運も含めた運送、運輸労働者と連携し、活動を展開しようと考えている。
  労働者が損失を受けて困っているのは、健康保険制度が不十分で労働災害に関する補償が十分ではないことである。工場の現場では、安全衛生についての配慮がほとんど無いところで働かなければならないという状況を改善していく活動に取り組んでいる。
 『労働福祉法』は、制定されたが、その法律は条文どおりに実施されていない。労働者も、法律があることすら知ないし、自分たちに認められた権利がどのようなものかも知らない。

3.課題解決に向けた取り組み

 現在発生している困難を解決できる現実的な方法が二つある。第一の方法は、労働組合と事業主で会議を開催し、協議することである。第二の方法は、労働者、事業主、そして政府との三者会議を行ない意見交換することで、解決していく。このほか、『労働組合法』の規定を必要に応じて改正することも必要である。

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
チョウ ソウ モウ (Mr. Kyaw Soe Moe)

バゴー管区ダイウー地区荷役労働者組合

 

1.労働組合

(1)労働組合はそれぞれが法律に従って組織されているのは同じであるが、郡あるいは管区域ごとに統制権が異なるため、容易に労働組合を組織できる一方で、一部の郡においては困難な状況に直面している。

(2)定職の無い労働者
 失業者は、工場、作業所、労働組合などの組織に所属して仕事をする機会も無く、船着き場、郡の電車の駅、遠距離輸送車や遠距離バスの発着所、町の中央市場など、それぞれの場所で仕事をせざるを得ない。定職の無い労働者は、組織されている労働者よりも多く存在する。複数政党制民主主義となった時に、事業主は、法律の範囲内では自由に労働させる権利があると言い始めたが、事業主の圧力のために定職の無い労働者が増加した。

(3)労働者の収入
 労働者の賃金と収入は、事業主の事業内容が不安定なために労賃の一定しない収入に甘んじなければならなかった。ゆえに、労働者の収入、賃金、月給が同じであることはない。事業主の勝手なやり方、階級差別、偏見のために、月給、日給、出来高払いの労働者、また日雇い労働者の収入は一定ではない。そのため、家族を養っていくことは大変困難な状況にある。

(4)労働者の健康
 労働者がきちんとした治療を受けられることは非常に少ない。一部の地域では、負傷したり、障害を負ったり、亡くなったりする人が多く、非常に悪い状況に直面している。負傷に始まり、身体の一部を切断せざるを得なくなった労働者は、幸せな人生を享受する権利も無く、わずかなお金を受け取るのみで、人間としての生活を送ることさえ支障がある。私たちは、緊急に対応が必要なけがなどを負った場合、近くの診療所で料金を払って治療してもらわなければならない。無料診療所においても十分な薬が無いため、労働者の健康は不安定な状況にあるといわざるを得ない。

2. 労使間の問題

 事業主と労働者との争いは、労働者の多くが直面している問題である。多くの事業主による不当な解雇、お金を払っての解雇、労働場所の変更、負傷による解雇、差別的な扱い、労賃の搾取、不当に圧力をかけての労働など、多くの争いがある。それらは事業主と直接対決して解決したり、事業主と労働者、政府による三者協議によって解決したりしている。

3.労働組合が直面している困難

 労働組合が直面している困難として、[1]事業主の差別的な扱い[2]権力を持つ組織の圧力[3]労働者の負傷時の治療費用確保の困難[4]労働者の生活困難[5]労働組合の再結成の困難[6]労働場所が一定しないこと[7]賃金の不平等[8]最低賃金が統一していないこと[9]差別的扱いのために家族の生活に困難があることなど――があげられる。われわれは、多くの困難に直面しているが、これらのことが解決されるよう必死に努力している。

4.解決策

 労働組合は、上述のような困難に連日直面しており、労働組合の基金設置、健康のための無料診療、労働者の家族のための教育費支援、失業者対策、不安定な労働者および失業者の生活などの問題を解決するため、それぞれの労働組合で基金を設置するため、国内外からの支援を得ることが必要となっている。
 事業主の平等な扱い、労働者が自らの責任を果たすことなど、事業主と労働者間の問題を解決するために、自分の利益だけではなく多くの人の利益をともに考えることができるような組織を設立することが重要であり、必要とされている。また、基金が不足している労働組合のためには、他からの支援も非常に重要である。

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
キン ニーラー ソウ(Ms. Khin Nilar Soe)

ラインターヤー地区Yes-1 衣料品工場労働組合委員長

 

1. 労働情勢(全般)

 労働組合が認められていなかった時代の縫製業の作業場の労働者は、最も強く抑圧されていた。自分の希望を言う権利も無く、上司の指示に従い、半ば強制的に仕事をさせられてきた。ミャンマーの労働者たちは、知識・技術面ともに教育が不十分であったために、失業者が多かった。外国人資本家が少ない賃金で働かせても、知識が無いためそれを受け入れざるを得なかった。朝7時半から夜9時まで仕事をしなければならなかったので、労働者は一般常識を得ることもできなかった。

2. 労働組合が現在直面している課題

 現在直面している課題は、賃金が低く、長時間労働であり、労働者の権利が守られていないことである。そのため、食べるものも十分ではなく、健康をも害する大きな負担を労働者は背負わされている。
 基本的な賃金が非常に低いため、生計を立てることが難しい。土地、家屋を所有しない労働者が多く、7フィート(約2.1メートル)四方の狭い部屋に貧しく暮らしている。賃金が非常に安いので、健康、医療に関しては、治療する費用が無いために命を落とすこともある。お金が十分ではないために、気持ちも落ち込まざるを得ず、職場でも楽しいとは思わない。  
 政府が最低賃金の改善に動いているが、現状ではミャンマーの労働者すべてが日割り賃金で月一回払い(日給月給)の労働者として、夜が明けてから日が暮れるまで仕事をしなければならない。
 すべての事業主は、労働組合が組織されることを好まない。組織しても、さまざまな策を講じて組織を崩壊させる。労働組合リーダーは、精神が堅固で、自分自身のためだけではなく、多くの労働者のことを考え行動することで、労働組合として存続することができる。

3.課題解決に向けた取り組み

 基本的な賃金の増額要求については、工場で紛争を解決する委員会(労使各2人で構成)で協議する。使用者側は、輸出するだけの品質の高い製品になっていないので、損失が出ていると主張して賃上げに応じないため、労使の話し合いでは解決しない状況だ。組合の無い一部の工場でストライキが発生した時は、組合のある工場の組合員などが応援に出向いている。そして、彼らの得るべき権利、要求する権利、その他の権利がどのようなものであるかを説明して活動を支援し、事業主と交渉を行なった。郡の仲裁所がストライキを行なっていた労働者側にたって解決にあたったため、ストライキが成功裏に終了することが多くなってきている。

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
ウィン エイ (Ms. Win Aye)

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)組織担当

 

1. 労働情勢(全般)

 ミャンマー労働者の生活は低レベルである。多くの労働者は家を借りて住んでおり、賃金で生活費が賄えず、労働者は多くの困難に直面して生活せざるを得ない。
 また、現在仕事をしている作業場での賃金に差別があり、意思に関わらず残業せざるを得ない状況にある。
 失業者の多くが地方に暮らす女性である。安定した仕事を持たない労働者は約35%で、賃金、給料も平等ではなく、一部の人たちは労働と賃金が見合っていない。政府が規定している労働時間は8時間と、残業2時間から3時間である。しかし、事業主は労働時間を7時から18時と延長して仕事を募集している。社会保障においても、労働者に権利はあるものの、一部の労働者は社会保障制度が利用できる登録カードが配布されていない。

2. 労働組合が現在直面している課題

 労働組合では、労働者の生活を向上させるために、食費が十分に賄える程度の基本給、あるいはその他のサービスを受けられるよう要求している状況である。事業主は給料増額が難しいと言って、労働組合役員に対して仕事を辞めさせる(解雇)こともある。

3.課題解決に向けた取り組み

 事業主と労働者の間での争いが発生した時には、2012年の労働法により事業主と労働者、政府の三者が解決に動くようになっている。

(注)労働争議法(2012年)によれば、30人以上の事業場では、労使各2人で職場調整委員会が設置され、紛争の解決にあたる。この調整員会で処理できない場合は、調停官に申し立てを行ない、解決を図る。そこでも解決できない場合は、州、郡レベルの紛争処理仲裁機関、国レベルの紛争処理仲裁委員会で解決を図ることになっている。

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
ウィンウィンカイン (Ms. Win Win Khaing)

ラインターヤー地区マイダス衣料品工場労働組合委員長

 

1. 労働情勢(全般)

 ミャンマーでは2011年以降、テインセイン大統領により進められた民主化政策の中で、労働組合を結成する権利を得た。労働組合を結成する権利を得た工場がある一方で、権利を得られなかった工場も存在する。組織結成の権利を得た工場は、事業主との間に争いがあれば、事業主、あるいは事業主の代理人と折衝して困難な状況下にある労働者の状態について話し合い、解決している。労働者の給料は低く、労働時間が長いという状況にある。

2. 労働組合が現在直面している課題

 私たちの工場では、労働者の要求すべてを事業主または事業主の代理人と折衝して、話し合いで解決している。また、組合員の力が拡大するよう努力しており、労働者の権利、教育、健康などの知識付与をFTUMと協力して実施している。

3.課題解決に向けた取り組み

 事業主あるいは事業主の代理人に対して、工場で働く労働者の要求すべてを、文書あるいは自分たち自身で提示し協議して解決する。工場内で解決できない問題については労働局に行き、両者間で同意文書を交わし解決するようにしている。事業主に提示しても事業主だけで解決できない問題は、労働者も協力の上協議し、同意文書を作成し解決している。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 労働者の生活困難を解決できるように、工場ごとに組織を結成する権利を得られるようになった。こうして初めて、工場や作業所の労働者すべての生産力が増大し、順調に物事を運べるようになった。その結果、事業主、労働者間の問題も少なくなり、作業場での危険を避けることができ、国が平和になり、より一層の発展が得られる。国内の労働者、農民の生活が向上して、初めて国内の需要と供給が伸び、経済が繁栄するようになる。この結果、国家の収入も増加し、近代的国家になることができる。

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
ミン ミン ラット (Mr. Min Min Lat )

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)組織担当

 

1. 労働情勢(全般)

 ミャンマー国内では、労働者に対する長時間労働、差別的扱い、賃金の搾取、低賃金、作業場での高い危険性、労働者保護が不十分な労働法などのために、労働者が非常に厳しい状況に置かれている。また事業主も労働者に対して十分な保護を与えず、奴隷制度のように労働者を働かせ、管理している。ミャンマーでは、雇用の機会が少ないため、失業者が多く、政府の発表によればミャンマーの人口6000万人のうち、労働力人口は3300万人となっている。

2. 労働組合が現在直面している課題

 ミャンマーにおける労働力人口3300万人のうち、労働組合の数は1099組織である。政府はILO87号条約(結社の自由及び団結権の保護に関する条約)に署名しており、我々は労働組合結成の権利を得た。しかし、さまざまな法律が制定され、労働組合の結成に困難が生じることにつながっている。30人以上の組合員がいれば労働組合を結成することができるが、同じ事業所で同じ仕事をしている30人以上が参加するという制限があり、団結権の保障、労働組合の結成を促進することにはなっていない。また組合費は収入の2%以内と法律で決められていること、さらにストやデモなど団体行動を行なう場合、14日前(注)に政府に通告し許可を得なければならず、許可されても罪に問われる可能性があることなど、さまざまな問題がある。
 事業主も労働組合を結成する許可を与えず、法律に違反している。労働組合の力が弱いため、組織の行使できる権利、権力も同様に弱い。そのため、組織力強化が最大の課題となっている。

(注)公益事業は14日前までに通知し、公益事業以外では3日前までに通知しなければ違法スト(罰金あり)となる。公益事業の場合は、人の生命等にかかわる業務のストは禁止されている。また、病院、学校、駅、バスターミナル、軍、警察等の公共施設の500ヤード以内のデモは禁止されている。

3.課題解決に向けた取り組み

 これらの課題を解決する場合、まずは労働組合結成の妨げになっている法律を修正しなければならない。そのためには、労働者と現在組織されている組合が団結することが必要である。FTUMは、労働組合には組合員個人の自由意思で加盟するものであり、労働組合は政府、使用者、政党から独立した自由なもので、民主的な組織で民主的に運営されるべきものであると考えている。

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
ミン ウー (Mr. Myint Oo)

ボードイン鉱山労働組合委員長

 

1. 労働情勢(全般)

ミャンマーの労働者の状況
 労働者に貧困が多いのは、労働者という基礎階層に対する関心の無さに始まっている。
 基本月給の少なさは特に重要な問題で、社会階層差別の助長は労働者たちの士気を衰えさせる。努力をもって仕事をしたいと思っても、賃金の支給が乏しい状態で、貧しいまま現状を乗り越えていかなければならない。社会関係についての知識、現場での仕事の知識、健康についての知識などを習得する権利が抑制された状態で、多くのことを学ばなければならない。自由に発言し議論できる権利は、工場や作業場での生産力を発展増大させることを可能にする。従って、労働者と政府が協力して議論していくことが重要である。
 鉱山労働者は、地上と地下で作業する危険に直面しながら働かなければならない。特に、地下で作業をする労働者は、土砂崩れによる死亡という危険の発生以前に、火薬での爆破作業、機械での掘削作業など、命の危険を冒して作業しなければならない。労働者に対する知識付与、危険を予防する道具等を身に着け利用させる講習、指導などが不足している。健康な状態で生産に従事できるよう、食事と栄養をバランスよく摂取し、生活する指導もしていかなければならない。労働者に健康な生活をさせるためにも、賃金の改善が必要である。
 荷役労働者は、健康で力強く仕事できることが重要である。家族を養うのに十分な賃金があれば、健康で荷役労働をしっかりと行なうことができる。
 縫製業の労働者は、寒さや暑さなどの季節による大きな変化なしに作業できることが重要である。風通しを良くすることのほか、きちんと作業ができるように明るさを必要に応じて調節し、労働者の目や身体に影響を及ぼさないようにすることである。縫製業の女性労働者についても、手に負えないほどの業務を与えたり、深夜まで作業させたりしないよう注意するべきである。
 漁業関連の荷役作業労働者は、命に危険が及ぶような状況になりうること以外でも、商品に損害を与える可能性があることに対して、講習を行なって指導すべきである。
 漁業従事者の業務の性質から考えて、水中、水上での漁業関連作業に熟練していることが必要なほか、注意深く作業することも重視しなければならない。水中に入って作業しなければならない場合、耳栓など必要なものを教えて作業させることで、仕事の成功を導かなければならない。
 船乗りの場合は、言葉の問題にぶつかることを重視し、支援するべきである。そのほか、国際線の航空業界の場合、外国の危険(武装組織)を乗り越えられるように、技術指導などをしておくべきである。
 農業労働者の場合は、農業技術指導のほかに、水田の外の状況を知ることができるよう、そして気候によって身体に及ぶ危険を予測して仕事ができるよう、特に重視して講習を実施するべきである。そのほか、虫や動物による危険にも注意して作業を行なうよう講習を継続していかなければならない。学校教育を受けていない農業従事者に対しては、簡単に作業できるような指導や講習を重視して行なうべきである。そしてはじめて、生産者の努力が国民に効果を示すことになる。
 教育事業に従事する労働者は、努力し、資質に満ちた人になるような講習を常に行なうべきである。教育従事者の賃金は、他の労働者の賃金より多く与えられるべきであるが、資質を満たさない人に対しては講習で教え、協力してレベルを引き上げなければならない。それでも追い付けない人たちには、別の仕事で生計を立てるよう指導するべきである。
 保健医療従事者が仕事をするにあたっても、国際的な水準で競っていけることを重視するべきである。
 通信技術事業関連の労働者も、作業場で満足して仕事ができるようになるには、基本給と関係がある。
 運輸業の運転手も満足に業務に従事するためには基本給の低さが主な課題に含まれる。
 労働者、農民、国民などが安心して生活できるように、開発局公務員の役割が非常に重要である。このように重要な役割に関心を持って指導するとともに、講習会などで教育するべきである。
 日雇い労働者は、知識不足を含め、雇用が少ないという困った状況にある。このような状況から抜け出し、日雇い労働者にきちんとした仕事についてもらえるよう、団結して支えていく必要がある。
 電力事業従事者は、分野ごとに、安全で危険なく仕事をするような注意付与の指導と講習を継続して行なうべきである。また、電力事業従事者の知識が向上すれば、電力を使用する国民が危険の無いよう、その労働者たちから指導を受けることができると思う。
 ホテル従業員および観光ガイドも、労働力の搾取が起こらないよう教育しなければならない。女性に対して、安易に搾取することができるような事業では、人権侵害から守ることが特に必要である。
 鉱工業の経営状況は、自然環境に反した悪い状況にある。鉱産物精製において、酸、化学物質を作ることによって発生する悪臭、汚染水、気体について、どの程度、どの規模まで浄化したのかを説明できる会社は一つも存在しない。
 生産を行なっている間に遭遇する可能性のある危険を含め、健康被害についての言及がないことについて、それを説明できる会社は一つも無いほどである。雇用の無い状況にある底辺の弱い立場の労働者に対し、工場や作業場の所有者はさまざまな方法で圧力をかけ、差別している。それは現場での労働力の損失や生産力の低下につながるため、最大の危険である。
 自然環境に関する事業を含むそれぞれの分野の事業主や政府としては、真面目に努力をしている労働者が弱点を抱え、不安に思いながら仕事をしている状況に対して、それを利用することなく、教育、指導によって協力していくべきである。
 ここまで、ミャンマーの労働者に対する見方を示し、また工場など現場での弱点が多いことを自分の視点から報告した。

ミャンマー労働組合連盟(FTUM)
ゾウ ミン ウィン (Mr. Zaw Min Win)

ミンゲー貨物車両製造・整備労働組合財務担当

 

1. 労働情勢(全般)

  • 労働者の生活向上が可能となるような状況下にはない。
  • 長期に生活していける保障が無い。
  • 失業者数が増加している。
  • 民間の労働者は低賃金であり、時間外労働が多い。しかし、労働に見合った賃金が得られない。
  • 休日がきちんと設けられていないため、労使間で問題がたびたび発生し、安定した労働者としての生活が送れない。
  • 労賃として月給6万チャット(約6000円)しか得られず、現在の物価に見合わない。
  • 作業現場では、時代遅れの機械と技術のみを使用して行なわなければならない。
  • 労働者の権利が十分に与えられず、作業場の危険防止と健康への留意が必要である。

2. 労働組合が現在直面している課題

 政府は憲法に従い、労働組合を結成する権利を与えている。しかし、法律や法規がしっかりしておらず、事業主も法律を尊重せず従わないため、労働組合はまだ堅固なものになっていない。

3.課題解決に向けた取り組み

 現在は、労働組合と政府、事業主が継続して協議を行ない、解決に向けて努力している。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 労働者、農民のよりどころとなる国家であるためには、労働者、農民の生活を長期にわたって成り立たせることができるような生活保障がある国家の基本方針、法律を制定する。また、しっかりした憲法へ改正を行なうべきである。
 労働者らが退職後も生活できるよう住宅を準備していくべきである。

*1チャット=0.10円(2014年8月19日現在)