2008年 インドネシアの労働事情

2008年10月30日 講演録

インドネシア労働組合総連合(CITU)
全インドネシア労働組合総連合(KSPSI)

 

1.国の労働事情

インドネシアの人口は約2億2400万人。国民は33の州、365の県および都市に住む。

労働力人口(2007年) 約1億813万1千人
労働人口 約9,758万3千人
フォーマル部門 約3,604万8千人
インフォーマル部門 約6,153万5千人
(農村に約4,500万人、都市部に約1,600万人)
失業者 約1,054万8千人(うち35%は女性)
労働組合 3つのナショナルセンターと90の全国レベルの産別労組がある
KSPSI(全インドネシア労働組合総連合) 1,657,224人
CITU(インドネシア労働組合総連合) 793,874人
KSBSI(インドネシア福祉労働組合総連合) 227,806人

2.直面している課題

  • 雇用問題
  • 技能の向上と開発 労働力の質の向上
  • 契約労働者とアウトソーシングの出現による労働者の保護と権利の低下
  • 労働者の基本権の保障 労働環境の悪化
  • 社会保障制度の改革 労働者の福祉、失業給付の充実
  • 労働者の購買力の低下 相応な生活を営むための賃金確保

3.その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているか

  • 国内投資及び外国資本の導入を助けるような税制、インフラなどの環境を整備し、経済発展を進めて雇用機会を創出する
  • 自営業を推進するためのグループ教育、技能向上と指導の供与
  • 国民の繁栄のためにポテンシャルな天然資源の活性化をはかる
  • 労働者の需要と供給をスムースに調整する制度の確立、労働者の能力開発
  • 社会保障法の改革について失業中の保障と年金について規定するよう政府への働きかけ、労働者社会保障法(1993年第3号法律)を改正し保険料を国営企業が管理するのではなく信託基金の形にするよう政府へ働きかけ
  • 労働組合の重要さに関する企業家への啓発、契約労働とアウトソーシングを法律(労働に関する2002年第13号法律、雇用の自由化を規定)からの削除
  • 政府、企業家および関係者と直面する課題について協議と調整を行う社会対話(Social Dialog)を行う
  • 労働者が1か月に受け取る賃金でどのくらいの購買力があるかを調査し、その結果を賃上げの基礎とする

4.ナショナルセンターと政府との関係について

 中央レベルでの政府と労組の関係はうまくいっている。双方とも互いに相手の権利と義務を尊重し、民主主義を進める原動力となっている。政府との関係では以下のような機関を通じて行われている。

  1. 三者協力機構(政府、労働、使用者とも同数)
  2. 労働安全及び衛生審議会
  3. 賃金審議会
  4. 労働裁判所
  5. 生産性審議会
  6. 労働研修審議会

 このほか、国家企画庁、女性省、教育省、スポーツ省と積極的な社会対話(Social Dialog)を行う

5.多国籍企業の進出状況について

 現在、インドネシアではサービス・流通部門で事業が発展している。それを牽引しているのがCarrefour、Giant、Alfamartで、ほとんどの都市でショッピングセンターがある。
 米国はインドネシア最大の投資国であり、民間会社がインドネシア政府との協力で石油、ガス等の天然資源の開発及び鉱業分野に進出している。また日本は米国に次ぐ投資国であり、機械、自動車等製造分野に進出している。中国も製造業、農業ビジネス、少しであるが石油、ガス等への投資、一般貿易での攻勢では他国に負けていない。
 インドネシアの政治状況は、改革後の民主主義を尊重し、投資の効率化を図ってインドネシア内外からの投資に関する規制の改革が行われ、さらに国の安全、安定が図られている。そのためインドネシアへの投資は、農業ビジネス、農園業等でまだチャンスがある。

失業問題と労働法の整備

 インドネシアでは、政府、企業、労働者が1つの地域を指定して、その地域にあった産業を発展させる試みがされ、それに必要なマンパワーのスキルを上げる訓練が地方自治体と一緒になって行われている。

労働者の権利を守るための法整備や福祉の充実

 10名いれば労働組合を結成することができるという「結社の自由に関する法律」「労働に関する法律」「労働争議に関する法律」の3つの新しい法律ができたが、10名で組合が結成できれば1つの会社に複数の組合ができてしまうため、組合結成の数、組合数を制限してはどうかとの提案が使用者側から出ている。1つの企業における複数組合の結成をめぐっては、1つの企業に1つの組合だけを認める法律ができれば、それまで分散されていた使用者の関与が1つの組合に集中してしまうということが懸念される。

雇用形態

 インドネシアの雇用形態は常用雇用と有期雇用の二つのタイプがあります。有期雇用形態において、労働者は雇用契約を何度も繰り返して長期に働くことができます。現在われわれは、雇用契約期間を5年間にするように政府に申し入れています。それによって労働者は技能を取得できると考えています。

労使紛争の解決について

 インドネシアでは労使によって斡旋と仲裁の2つが行われる。そこで両者の合意が得られなかった場合労働裁判に持ち込まれるが、その前に必ず労働省にあげ、政府による調停が行われる。それを両者とも受け入れられない場合に労働裁判所にいく。労働裁判でも不満の場合は最終的には最高裁判所までいくことになる。最高裁では222日までに解決しなければならない。