2012年 スリランカの労働事情

2012年6月8日 講演録

セイロン労働者会議(CWC)
パラニアンディ ピトカムトゥ

ヌワラエリヤ地域代表

 

1.労働情勢(全般)

 600万人の労働力人口のうち約400万人が民間部門に属する。労働力人口の20~25%が労働組合に組織化されている。スリランカはILOの中核的労働基準を全て批准しているが、公共部門の労働者には労働協約の交渉権が与えられていない。労働組合運動は分裂している。労働協約は組織労働者の全体を示唆するものではない。自由貿易地域(EPZ)では結社の自由に制限がある。

2.労働組合が現在直面している課題

  1. 労働組合の細分化
  2. 自由貿易地域における労働者の状況
  3. 移民労働者(国内を移動して働く人たち)に関連する問題
  4. 公共部門、商業部門および農園部門での母性保護に関する法律における差別
  5. 農園で働く労働者の賃金引き上げの労働協約が、2年に1度、労働者を代表してセイロン労働者会議(CWC)とスリランカ農園関連労働組合(LJEWU)、経営者側を代表してセイロン経営者連盟ならびに22の農園の企業の会長との間に締結される。しかし労働協約が締結されても、経営者側は、特に農園で働く労働者たちに対して、賃金引き上げは対象にはならないという場合がある。

 3ヵ月前、ある農園で、経営者が労働者側ならびに労働組合と協議をせずに、一方的に仕事のノルマを増やすことを決定した。農園で働く労働者には、賃金に関しての専門知識がなく、そのためCWCが経営者側と論議を行なったが、経営者側は、CWCの言うことを聞く必要はないと突っぱねた。経営者の言い分では、労働者の仕事の進め方が遅過ぎるということであった。そこでCWCはこの問題を全国労働諮問協議会に持ち込み決着をみることにした。

3.その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか

 これらの問題はすべて、政府によって労働省の下に設立された三者構成の最高機関である全国労働諮問評議会で追求されている。

4.あなたのナショナルセンターと政府との関係について説明してください

  CWCは労働組合であると同時に政党でもある。現在、CWCの事務局長は閣僚を、会長は副大臣を務め、CWCは政府の一部となっている。したがって政府との関係は良好であるが、そのことは特別な問題に関してCWCがストライキに訴えることを妨げる理由とはなっていない。

5.あなたの国の多国籍企業の進出状況について、また多国籍企業における労使紛争があればその内容についてお知らせください

  多国籍企業の大半は、労働者に労働組合の結成の自由が認めない自由貿易地域に位置している。

スリランカ全国労働組合連盟(NTUF)
シヴァプラカサム・サナシー

スリランカ農園関連労働組合・労使関係部長

 

1.労働情勢(全般)

 スリランカでは労働組合が乱立し、その交渉力は弱体化している。一つの事業体で労働者の組織率が40%を超える労働組合のみが団体交渉権を認められ、それ以下は認めないため多くの使用者は労働組合を承認していない。同様に、チェックオフ制度について定めた法律も存在しない。
 スリランカは第87条条約および第98号条約を始めとするすべてのILOの中核的労働基準を批准している。それにも拘らず、労働組合への抑圧が生じている。例えば、コロンボ港で17の労働組合が「順法闘争」キャンペーンを実施した際、最高裁はこれを違法行為と宣言した。このため、労働組合はキャンペーン中止を余儀なくされた。また、教職員組合が中等教育上級課程修了試験(G C E. A/L)の答案用紙の採点拒否を行なったとき、5人の組合指導者が逮捕された。
 2011年には、カツナヤカで年金制度改悪法案への反対デモを繰り広げた労働者数名に向けて警察官が発砲し、1人の若者が死亡、負傷者は100名以上に及んだ。この法案は後に廃止された。

 政府は投資家に対し、輸出加工区(EPZs)内では労働法を適用しないと口頭で約束した。

2.労働組合が現在直面している課題

 第一に広大なインフォーマル部門の労働者の組織化が大変困難な点である。
 公共部門の労働組合もさまざまな制約に直面している。例えば、司法官や刑務所職員、軍隊は労働組合結成が禁止されている。
 公共部門の労働組合は、他の公共部門の労働組合と連合体を結成するのを禁止されており、民間部門の労働組合との連合体結成も禁止されている。
 法的根拠を持つチェックオフ制度が存在しない。
 組織率40%を超える労働組合のみ、使用者によって団体交渉の権利を認められる。
 政府は近年、労働組合を抑圧している。コロンボ港で17の組合が順法闘争キャンペーンを行なった際、最高裁はこれを違法行為と宣言し、労働組合はキャンペーン中止に追い込まれた。

3.その課題解決に向け、どのように取り組もうとしているのか

 NTUFの構成組織は全国労働諮問評議会のメンバーであり、組織率40%という基準値の引き下げ、もしくは職場で各労働組合が合わせて40%の組織率を持つならば労働組合を承認するよう当局に要求している。
 労働組合への抑圧に関しては、NTUFは、ILOやITUC、 BWI(国際建設・林業労働組合連盟)などの国際機関や国際労働組合組織からの連帯支援を求めてきた。
 困難な状況にも拘らず、私たちは輸出加工区(EPZs)内でいくつかの労働組合結成にこぎつけた。
 移民労働者の要求に対応する専門機関として、NTUFの特別部門を立ち上げ、クルネガラやバドゥラ、ヌワラエリヤで情報・救援センターを開設した。

4.あなたのナショナルセンターと政府との関係について説明してください

 NTUFは独立の労働組合組織であり、いかなるナショナルセンター又は政府とも連携していない。
 しかし、法律の規定に従って、NTUFは労働省に労働組合として登録を行なっている。NTUFは、すべての労働問題に関する最高諮問機関である全国労働諮問評議会にも属している。

5.あなたの国の多国籍企業の進出状況について、また多国籍企業における労使紛争があればその内容についてお知らせください

  スリランカには、バータ・レバーブラザーズなど、少数の多国籍企業が存在する。労働条件は、それ以外の条件と比べて少々上回る。しかし、労働者への嫌がらせや生産目標達成の強要など、これらの企業にはいくつかの問題が見受けられる。
 特にEPZ内においては、多国籍企業は労働組合を容認しておらず、労働法が労働省によって実行されていない。労働組合員はEPZに立ち入ることができない。作業場に入る際には、労働監督官でさえ事前許可を得ることが求められる。