2002年 ネパールの労働事情

2002年10月2日 講演録

ネパール労働組合会議(NTUC)
ラム チャンドラ シャー

保健関連労働組合 事務局長

 

NTUCの状況

 NTUCの本部は、カトマンズのラリクプルにあります。会長の名前は、ラックスマン・バスネットで、事務局長は、プシュカール・アーチャリアです。
 NTUCの加盟組合員数は約14万人です。その内女性が約30%を占めています。中央執行委員の数は20名で、加盟している産業別組織は20組織です。ネパールの75郡のうち、65の郡に地方支部があります。
 全国大会は4年に一度開催されています。本年2002年に開催予定でしたが、マオイスト問題により国家非常事態の中、2003年2月、ビラトナガルにおいて開催することに決定しました。NTUCは国際的にICFTUとICFTU-APROに加盟しています。
 現在のネパール政府との関係は、現在の政府が本来のネパール国民会議派から分裂した勢力による政府になっているので、現在、それほど友好的な関係とは言えません。使用者団体との関係ですが、ほぼ友好的な関係にはありますが、幾つかの点では意見の相違が見られます。
 NTUC以外に4つのナショナルセンターがあります。そのうち共産党系のGEFONTという組織がありますが、この組織とは、いくつか意見の相違はありますが、いろいろな点で協同行動を行ってきました。
 NTUCは、ネパール国民会議派を支持しています。月刊誌『TRADEUNIONSAMACHAR』という定期刊行物を発行しています。
 ネパールの労働組合運動の歴史は、およそ62年前から始まりました。当時、南アジア全体で、反植民地主義運動が展開されていましたが、1943年イアトナガル・ジュート工場の労働者が、ネパールで最初の労働運動を起こしました。その結果、ネパール・マジュドゥールサムと名のネパールで最初の労働組合が、ギリジャ・プラサッド・コイララ前首相の指導の下に組織されました。現在のように自由な労働組合を組織できるようになったのは12年前です。それ以前はバンチャヤ党体制の下で、自由な労働組合活動はできませんでした。NTUCは、民営化に反対し、労働者の権利、社会保障、女性の権利、性差別問題、児童労働、また職業安全衛生などの問題について活動しています。現在直面している深刻な問題として、マオイストによる襲撃によって、NTUCの組合員、主に学校の先生ですが71名が殺害されていることでがあります。
 ネパールの労働者の賃金はとても低く、日給は、US1ドルにも満たない74ネパール・ルピーに過ぎません。月額賃金で2,160ルピーが最低賃金です。ネパールには、労働法や労働組合法がありますが、その実施や内容は満足のいくものではありません。そのため、労働者は非常な被害をこうむっています。また、民営化に関しては、NTUCは政労使の三者協議の上で法改正の手続をとるように要求しています。およそ1,000万人の賃金労働者のうち、50万人ほどのみが組織化されています。そのうち、NTUCの組合員は約20万人であります。
 最後にネパールの国自体について少々お話ししたいと思います。ネパールには海がありません。5つの開発地区に分かれており、その中で14の県と75の郡に分かれています。また、ネパールは気候的に3つの気候帯に分けられます。ヒマラヤ地帯、中部山岳地帯、そして低地帯です。
 現在はマオイスト問題によって、人々の生活が脅かされています。そのためにネパールの民主主義も危機に瀕しています。