2016年 バングラデシュの労働事情

2016年7月29日 講演録

ITUCバングラデシュ協議会(ITUC-BC)
プロミラ・ポッダー
ジャティオ・スラミク・リーグ(JSL)女性委員会教育担当
ジャキール・ホサイン

バングラデシュ民族主義労働組合連合(BJSD)バングラデシュ銀行労組連盟会長 ソナリ銀行労働組合委員長
シャヒヌール・アクテール
バングラデシュ自由労働組合会議(BFTUC)組織化担当 衣料産業組合組織化担当

ムハンマド・タリク・ホサイン・カーン
バングラデシュ労働連盟(BLF)バングラデシュジャナサディン衣料労働組合連盟執行委員

ムハンマド・シーリアル・イスラーム
バングラデシュ自由労働組合連盟(BMSF)青年委員会委員長補佐 サッタールニット染色会社労働組合事務局長補佐

ソルワール・ジャーン
バングラデシュ・サンジュクタ組合連盟(BSSF)青年労働者センタージャマルプール支部 運営協議会委員 

 

1. バングラデシュの労働情勢

  2014年 2015年 2016年(見通し)
実質GDP(%)
(出典元)
6.12%
(世界銀行)
6.51%
(世界銀行)
6.7% 予想
(アジア開発銀行)
物価上昇率(%)
(出典元)
7.2%
(世界銀行)
6.2%
(世界銀行)
5.61%
(世界銀行)
最低賃金
(出典元)
繊維・衣服産業
日額 220.83タカ
月額 5,300タカ
(最低賃金評議会)
繊維・衣服産業
日額 220.83タカ
月額 5,300タカ
(最低賃金評議会)
繊維・衣服産業
日額 220.83タカ
月額 5,300タカ
(最低賃金評議会)
労使紛争件数
(出典元)
246
(ビルス新聞の調査)
148
(ビルス新聞の調査)
52(2016年5月現在)
(ビルス新聞の調査)
失業者数
(出典元)
430万人
(バングラデシュ統計局)
436万人
(Ieconomics.com)
440万人
(Ieconomics.com)
法定労働時間
(出典元)
8-10時間/日
(2013年労働法第100条)
48時間/週
(2013年労働法第102条)
時間外/割増率
2倍
(2013年労働法第108条)

 バングラデシュ経済の80%以上がインフォーマル経済であり、安い賃金、過度の残業、危険な職場がインフォーマルセクターの現実である。派遣労働、日雇労働など、仕事は不安定で、社会保障もない。バングラデシュの労働法では、インフォーマルセクターで働く大半の人たちを労働者とみなしていない。そのため、全労働人口のほとんどが、労働法で定められた権利を享受できないでいる。しかも、このような職場にはほとんど労働組合がない。
 バングラデシュでは国として全労働者を対象とした最低賃金が定められていない。また、最低賃金評議会はこれまでに42の産業で最低賃金を発表しているが、賃金の不払いや賃金の不当減額が発生しており、労働紛争の主な原因となっている。

2. 労働組合の直面する課題

 労働組合組織のあるフォーマルセクター労働者が減少し、インフォーマルセンクター労働者が急増している。グローバル化による企業競争が激化する中で、これまでフォーマルセクターの労働者が行っていた仕事が、労働法に違反してアウトソーシング(外部委託)される例が増えている。
 非正規労働者が非常に多い中で、労働組合はいくつもの組織に分かれている。ナショナルセンターだけでも32組織ある。組合を登録しようとすると政府や使用者から妨害を受ける。一般の労働者は自分たちの権利について知らない。このため、労働組合の組織率は3-4%と言われており、労働組合が労働者の権利を守る役割を果たせていない。また、政治的圧力が強く、国会議員からの干渉もある。
 したがって、労働組合間の溝を埋め、共通の主張をすることで労働組合の交渉力を強化し、新しい組合員を加入させることが最大の目標である。

3. 解決に向けた取組み

 労働者の組織化をすることが重要であり、労働者が自分の権利について知るための研修や集会などを開催すると同時に、組合役員の能力向上のための訓練も行っている。また、労働組合登録手続きの簡素化を要求している。
 組織化のための活動としては、組合役員が労働者の家庭を1軒1軒訪ね、労働組合のことを詳しく伝え、その仕組みを教えている。具体的には、個人の自宅に数名の労働者を招き、お茶を飲みながら世間話をしてリラックスしたところで労働組合の話をしている。そして、労働組合を通して、賃金引き上げやボーナスの支給、職場の環境改善などが実現できることを説明している。特に、女性労働者には保育施設についても触れている。また、リーダーの素質のある人を見つけ、研修プログラムに参加する機会も提供している。
 組織率が低く、労働組合が分立する中で、労働組合間の協力のための組織として、1981年に14のナショナルセンターが参加する労働者共闘プラットフォームSKOP(Sramik Karmachari Oikko Parishad)ができた。SKOPはITUC、全国労働者教育調整委員会NCCWE(National Coordination Committee for Workers Education)などの協力を得て、労使関係や労働安全衛生に関する研修を実施している。
 現在、ITUCやJILAFのサポートを受け、ITUC-BCの結束をさらに強くすることに力を入れている。具体的には、本年7月にも6組織合同の会議を開催した他、女性や青年を中心とした教育・訓練活動が共同で行われている。