1999年 韓国の労働事情

1999年2月25日 講演録

オー・メングン
韓国全国自動車労連 政策・計画委員

 

構造調整下の韓国社会

 98年の韓国の政治経済状況を一言で申し上げるならば、非常に大きく急変したということが言えると思います。1948年に韓国政府が樹立されて以来50年ぶりに国民選挙による政権交代が実現しました。長年にわたって民主化闘争を進めてきた金太中氏が大統領に当選し、民主主義と市場経済の並行的な発展を図ることを宣言しました。こうした政策を今日まで推進してきています。しかしながら政府発足以後も、国民会議と自民連の共同政権は、若干不安定な様相も見せています。
 ご承知のように韓国は、97年12月に通貨危機に遭いまして、IMFから救済金融を受けるに至りました。その際、IMFは韓国に対して構造調整、緊縮財政、そして高金利、労働市場の柔軟化などを救済金融の条件として韓国政府との間でその合意を見ました。その後、大企業の不渡りが続出し、休業・廃業が続いており銀行間の統廃合も進んでいます。また、公共部門のリストラが断行され、大企業同士のいわゆるビッグ・ディールと呼ばれる業種交換も進められています。11の財閥が不渡りを出し、5つの銀行が整理させられました。韓国では、「大馬不死」一韓国の財閥が危機に直面してもつぶれることはないという一種の神話がありました。もはやそういうことは通じなくなって、大鳥も続々と屍をさらすような状況になっています。
 そうした状況のもとで98年2月6日、労使政による社会的合意が実現しました。この労使政委員会については後でもう一度申し上げたいと思いますが、この労使政委員会における社会的合意に対する履行の状況ですとか、あるいは第2次の課題等々をめぐりまして非常に大きな問題を抱えています。特に、この労使政委員会の合意をめぐり労働界も労働市場の柔軟性に関するIMFとの間の合意に従い、整理解雇制の導入、また労働者派遣制の導入という結果を見るようになりました。
 98年の国民経済のマクロ指標を若干見てみますと、経済成長率はマイナス約6%、経常収支は399億ドルの黒字を見ました。消費者物価の上昇率は7.5%です。現在の韓国経済に対しては、通貨危機を何とか乗り越えたという評価がなされています。しかし全般的にまだ不安定な状況が続いていることに変わりありません。

労働者を取り巻く厳しい環境

 次に、労働者の生活が非常に悪化しているという点についてお話したいと思います。  第1点は、労働者の実質賃金が大きく下落したという点です。98年の賃金交渉の結果に対する調査を見ますと、100人以上の事業所での妥結賃金引き上げ率はマイナス2.7%になっています。また、98年10万基準で賃金(月収)は全産業に関して140万8,842ウォンとなっていて、これは対前年比3%の下落ということになります。実質賃金の下落に伴って、家計支出も大きく下落しました。昨年の場合は、家計支出は12.4%のマイナスとなっています。
 2番目の現象は、大量失業の発生と雇用不安の深刻化です。98年の年平均失業率は6.8%で、これは97年の2.8%からも4%増加したものです。失業者数は97年の35万2,000人から、98年には146万1,000人と、4倍以上の急増です。直近の失業率の数値としては8%に肉薄しており、失業者数も200万人となっています。こうした公式の失業統計に表れない失業者ですとか不当に解雇されたパートタイマーの失業者を加えますと、さらに高い数値になるわけです。雇用形態で見ると正規労働者が縮小し、臨時労働者や日雇い労働者が拡大するという形で雇用不安が深刻化しています。正規労働者の比率は現在51%と言われていますので、残り49%が臨時労働者等です。
 次に、階層間の所得格差が拡大して、不平等が深刻化しています。この階層間所得格差ですが、いわゆる10等分して上位10分の1と下位10分の1の格差を見た場合に、従来6.9倍だったものが今日9.4倍に拡大したという数値であります。
 以上のように、98年は労働者たちが苦痛の中で送った1年であったのです。
 次に、今年の政治情勢ですが、来年4月に国会議員の総選挙が行われる予定です。この総選挙を前にして政治改革立法あるいは政界改編内閣制のための改憲などが主要な話題です。また、これらが相互に関連し合いながら政治情勢が展開するだろうと思われます。韓国政府は、現在の経済情勢をかなり楽観的に展望しています。しかし、不安定、不確実な点が多いために今のところ楽観も悲観も許さないというところではないかと思います。
 ただ一点、好材料としては金融市場の安定化に伴い、98年11月から生産は回復基調を見せています。韓国政府は、今年の経済成長率を約2%、消費者物価上昇率を3%、経常収支を200億ドルの黒字と見て、失業率は8%内外という展望を示しています。景気回復の展望は研究所によりかなりの差異があります。失業率の上昇という点では各研究機関の見通しは一致しています。
 次に労使関係の展望ですが、まず政府側の事情をお話ししたいと思います。政府は労使関係について、失業対策を中心に、協力的労使関係を構築するための政策を推進していくものと思われます。優先的な政策としては、失業克服を金太中大統領自身が強く強調しています。また、新労使文化の定着ということを掲げながら、経済回復の手がかりにもしていきたいと考えています。
 次に使用者側の問題ですが、使用者団体の1つに経総(経営者総協会)があります。この経総の調査によれば、使用者の69.5%が今年の労使関係は不安定化するという展望を出しています。また、今年の賃金交渉、団体協約交渉で、主要な項目調査では、雇用安定が33.3%、賃上げが21.1%、人事経営権参与が14.7%、退職金中間精算義務化の問題が12.2%という展望が出ています。
 次に労働組合の側面ですが、98年は労働組合側の譲歩交渉によって、賃金が相当に削減されました。したがって、今年の賃上げについては現状回復要求というものが組合員の間から強く出るであろうことが予想されます。同時に先ほどもちょっと申し上げましたが、景気回復に対する期待感から賃金引き上げ要求については組合側の相当な圧力が強くなるものと思われます。同時にこの構造調整、リストラが進む中で雇用確保のための要求は、依然として組合側の主要な要求になるものと思われます。

当面の労働政策課題

 次に当面の主要政策課題ないし懸案についてお話しします。  まず、当面重要な課題としては、今年の賃上げ闘争を成功裏に進めることです。韓国労総は今年の賃上げ要求を5.5%と確定しました。同時に、共同闘争を誘導しながら賃金闘争の時期を集中させて効果的な賃闘を進める方針です。また、使用者側で導入を企図している年俸制の導入に対しては、強く反対していきます。昨年の賃金返納分に対してはこれを取り返していくという方針です。
 2番目の懸案としては、雇用安定の確保という問題です。まず雇用安定協約を締結して雇用安定を確保するという方針があります。この雇用安定協約の内容には整理解雇を行わず、採用に関しては労働組合も参与し、また臨時職については一定の試用期間の後に臨時職を正規職に転換していくということが含まれています。
 3番目の課題は、失業対策の拡充と週40時間労働特別法の制定です。98年、韓国の失業者は想像を絶する急増ぶりを示しました。そして、現在ある雇用保険ではこの大量の失業者を救済することができない状況にあります。したがって、失業対策を拡充することが至急の要請になるわけです。同時に、雇用維持のために労働時間の短縮を通じたワーク・シェアリングが重要になっています。
 4番目は労使政委員会を名実ともに真の社会的合意機関につくり変えていくことです。先ほども触れましたが、98年2月6日に発足した第1期の労使政委員会の合意は、その後きちんと履行されませんでした。また、この労使政委員会という機関そのものの位置づけに問題があって、法律で制度化していくことを要求しているわけです。この労使政委員会は労働組合の代表、使用者側の代表、政府の代表が共同で協議・審議を通じて、第1期の労使政委員会では90項目にわたる合意を見ました。第1期労使政委員会では、第2期の労使政委員会で協議すべき課題についても基本的な合意を見ました。しかしながら、第1期労使政委員会での合意の履行状況が大変不振でしたし、この労使政委員会がその性格上大統領の諮問機関にすぎないということが問題になり、その後、格上げを図る必要が生じたわけです。そこで、私ども韓国労総はこの労使政委員会を法制化することによって、そこでの合意事項を必ず立法化するという方向を目指しています。
 しかし、この点について韓国労総の要求は、まだきちんと反映されていません。したがって、明日から(99年2月26日~27日)ソウルで行われる予定の韓国労総全国代議員大会で、労使政委員会からの正式脱退が決議される可能性が非常に大きい。もし、明日の代議員大会で正式脱会ということになると今後の闘争の水準が非常に高いものになることが予想されます。
 5番目に、団体協約の実効性を確保するための装置づくりの問題があります。従来、韓国の労働法では団体協約を履行しない場合には刑事処罰の対象になると定められていました。ところが、労働法におけるこうした包括的な規定は韓国憲法に違反するという憲法裁判所の判例が下されました。そうした司法の措置によって、団体協約が本来持っていた強制力が失われ、職場では無協約状態が出現して、非常に組合員たちを不利に不安に陥れています。したがって、この問題について法改正の請願が国会に既に提出されています。
 6番目は、労働組合専従者の給与支給に対する処罰条項を削除しようということです。日本とは異なり韓国の場合、労働組合の専従者たちは会社から給与を支給されています。しかし、2002年からは専従者に対する賃金供与は不当労働行為として処罰の対象になる法律が実施されます。この問題は韓国における労働慣行の問題です。したがって、この点につきましても法改正の作業を私たちとしては進めようとしています。
 7番目に、経営参与を拡大する法案を今つくろうとしています。透明な経営と協力的な労使関係の確立のためには経営参与は必ず必要です。したがって、経営参与を拡大する方向を法改正や団体協約を通じて目指そうとしています。

企業別組合から産業別組合への転換

 労働組合の組織形態を産別組織に改編していく問題です。韓国は日本と同じように労組の組織形態が企業別組合の形をとっています。韓国の経済危機の中で組織率は低下の一途をたどっています。と同時に、従来の企業別労組形態では、この深刻な経済危機を乗り越えることができないという意識が労働組合の中に非常に拡散しています。また、より直接的には2002年から組合専従者の給与、賃金が会社側から支給されないということが実際に行われると、生き残る組合はそう多くないという厳しい現実があります。また、そうした消極的な守りの面からだけでなく、より活気のある、活力のある労働組合運動を展開するためには産業別組合体制に移ることが重要だという根強い声があります。この問題につきましては韓国労総を中心として、各産別連盟体が自主的に取り組んでいます。
 韓国労総は明日、全国代議員大会を開催します。役員選挙がありますが、現在の朴仁相委員長が単一候補として立候補していて再選されることはほぼ間違いない(後日再選された)。明日の代議員大会を新たな起点として、今申し上げたような情勢展望のもと、力強い組合運動が展開されるものと信じています。

チェ・スンフェ
韓国民主労働総同盟事務総局 総務局長

 

民主労総の誕生

 民主労総の歴史、民主労総の組織構成、その間の活動及び闘争について。その後、99年の情勢展望、民主労総の事業方向と目標、民主労総の闘争方針等々について報告します。
 民主労総の歴史ですが、1987年の労働者大闘争から始まりました。過去70~80年代、軍事政権のもとで韓国の労働運動は過酷な弾圧を受けました。しかし、87年6月に6月民主抗争が起こりました。その直後、87年7月には蔚山(ウルサン)の現代エンジン、現代重工業、現代自動車などで労働組合が結成され、このストライキ闘争は全国に拡散してきました。87年の7月~9月まで約3,000件に近い労働争議が発生し、数多くの労働組合が結成されました。そのころ、闘争の中心的なスローガンは「賃金引き上げ」ということよりも、「我々も人間らしく生きよう」というスローガンでした。
 次に、自主的労働組合の発展ですが87年労働者大闘争の結果、各地域を中心として活動し始めた地域協議会が全国的な組織としてスタートすることになりました。主に中小の製造業を中心とするものです。これが90年1月に発足した全労協です。次に業種会議がつくられましたが、これは事務職労働組合を中心とした協議体です。内容的には事務金融、建設、言論、出版、そして教員の全教組などです。また、87年労働者大闘争の核心であった現代グループ傘下の労働組合の連合体として、現総連(現代グループ労働組合総連合)ができました。同じように大宇グループの労働組合が大労協をつくって、グループ単位での組合運動を展開しました。
 こうした4つの全国的な組織がつくられて活動してきましたが、その統一、結集を図る必要性が認識され、全労代と呼ばれる全国労働組合代表者会議が93年6月にスタートしました。この全労代でナショナルセンター結成が決議されたのです。その結果、94年11月に民主労総準備委員会が発足し、1年間の準備作業を経た上で95年11月に民主労総が正式に発足しました。民主労総の組織構成は19の産別連盟、組合致は1,420組合、組織人員は49万人です。今季げた数字はこの2月11日の最新の数字ですが、昨年2月と比べますと労働組合致は133組合増えています。しかし、組合員数は3万5,629人減少しています。この人員減少はほとんどが整理解雇によるものです。また、民主労総の組織は全国14の広域市と各道ごとに地域本部が構成されていて、この地域組織への加入が義務づけられています。民主労総内の協議機構として、現代グループ労働組合協議会、大宇グループ労働組合協議会が活動しています。

闘争の歴史

 活動及び闘争についてお話しします。96年12月26日に金泳王政府は、労働法の―ナルチギ(引ったくり、かっぱらいという意味)と呼ばれる国会における不法強行採決を行いました。その日の明け方、労働法が不法に強行採決されたという情報が入るや否や、民主労総の権永吉委員長はゼネスト突入を宣言して、みずからソウル市内の明洞聖堂で座り込み闘争に入りました。そして、97年1月にかけて3班にわたるゼネストを決行しました。このゼネスト闘争は金泳王政権に対する国民的な抵抗を呼び起こしながら、ナルチギによって成立した労働法を無効化することに成功しました。しかし、その後国会に委ねられた労働法の改正問題では整理解雇制、労働者派遣制の一時的な留保ということでとどまってしまいました。
 こうした過程を経ながら、民主労総としては労働組合の政治勢力化の必要性ということを切実に感じるようになりました。そのこともあって、97年12月の大統領選挙には権永書初代委員長が出馬することになりました。国民勝利21という組織を通じて立候補しました。しかしながら、韓国における固執的な地域感情や政権交代を望む声も強く、所期の成果をおさめることはできませんでした。
 金太中政権がスタートした後、第1期の労使政委員会が設置されることになりました。ここには民主労総の代表も参加して、90条項目にわたる合意を見ました。しかし、この合意案に対しては民主労総の代議員大会で否決されて、民主労総指導部が総辞退をするという事態に至りました。これが1年前の状況です。
 そして、3月31に第2期の指導部には委員長に現総連出身の李甲用委員長、事務総長にはコ・ミョンスさんが選出されました。この第2期の指導部を選出するや否や、民主労総は非常に苦しい闘争の中に突入していくことになりました。雇用不安が深刻化する中で5月1日の労働節街頭闘争を行いましたし、5月末にはゼネスト闘争にも入りました。6月には、金融労働者、退出企業労働者、起亜自動車労働者の生存権死守闘争が展開されました。7月には、公共部門労働者の構造調整反対闘争が続きます。7月~8月にかけては現代自動車と自動車部品の大企業である万部機械の労働者の整理解雇反対闘争がありました。現代自動車の闘争においては会社の一方的な整理解雇に反対して、36日間の全面ストで対時しました。家族も同伴する形で家族ぐるみの形でテント篭城闘争などを行いました。また、前委員長たちの煙突篭城闘争などもこのときに行われました。そうした闘争を経て、8月24日に暫定合意を見ました。そのときの合意内容としては277名の整理解雇、1,200余名の1年6ヵ月間の無給休業などです。
 しかし、この合意を見た後に14人が拘束されましたし、156人が懲戒、告訴、告発あるいは財産横流に処せられました。万部機械の場合には会社と組合が雇用協約を結んで、まだ2~3ヵ月しかたたない状況でした。しかしながら、関連の深い現代自動車で整理解雇が進展するや、会社側は雇用協約を結んだにもかかわらず、一方的に1,129名に対して整理解雇通告を出してきたわけです。万部機械は現代自動車とは違って、全国に7つの工場に分散しています。8月18日~19日にかけて、そのうちの1つ大田(テジョン)工場に終結する終結闘争を展開しました。しかし9月3日には、全国7つの工場のストを弾圧するために1万7,000人の警官隊が投入されました。その弾圧の過程で2,500名が連行され、41名が拘束されました。
 韓国の労働者の状況がいかに厳しかったかということはこうした闘争の激しさが物語っているのではないでしょうか。
 次に、先ほど韓国労総の代表の方から今年の情勢展望についての報告がかなり詳しくありました。ですから、ここで改めて繰り返さないことにしたいと思います。ただ、1点補足しておきたいことは失業率の把握の問題です。政府統計では98年末段階で7.9%とあるのですが、私たち民主労総の推定値としては17%、400万人を超えると見ています。

運動方針について

 民主労総の事業方向と目標、さらに闘争の方針等について何よりも重要なのは雇用及び賃金の安定確保です。昨年、政府と資本は労働市場柔軟化の第1段階として、整理解雇を大々的に断行しました。今年は労働市場柔軟化戦略が一層総体的進められるものと予想されます。まず、労働市場の柔軟化の第1段階である整理解雇については5大財閥の一方的な構造調整により、大企業工場、下請業者、労働者に対する大規模な整理解雇が行われるものと思われます。また、99年の国家予算に反映された公共部門労働者に対する整理解雇も予想されます。また、第2段階の労働市場柔軟化政策としての非正規織化―正規職を非正規職に置きかえていくことは音もなく進行していくものと思われます。大規模整理解雇の後、正社員の空席分を非正規職で代替していく。正規職労働者を解雇するかわりに契約労働者、非正規職労働者に転化させていくことが進むものと思われます。労働市場柔軟化の第3段階としては労働者に対する資本家の統制が強化されるとともに、IMF体制のもとで減少した賃金水準を制度化するために、成果給制度や年俸制の導入が具体化していくものと予想されます。今年は政権と資本の総体的な労働市場柔軟化攻勢を阻止して、雇用と賃金の安定化を戦い取ることが最大の課題となるわけです。
 次の変化としては社会改革の課題です。労働者、大衆の生存権の危機、所得格差の深化、社会安全体制の不在などが現実化する中で社会改革への流れが雇用・賃金安定化を補完しながら進むものと思われますし、さらに進んで政治経済体制の根本的な改革という次元に発展していくものと考えられます。
 次の社会改革は産別労総の設立と、組織の拡大強化です。韓国労働組合の低い組織率を根本的に克服するためには、産別原理に立脚した組織化が推進される必要があると考えます。そのために、多様な形態の未組織労働者たちを実情に合わせながら産別組織に包括していかなければならないと考えます。
 もうひとつの社会改革としては労働者の政治勢力化と民衆連帯戦線の強化です。労働者が社会の中心としてきちんと確保されていくためには労働者の大衆組織並びに大衆闘争の力量を高めることが必要で、こうした成果を土台に労働者の政治力量の強化が必須です。IMF体制下で、保守的な政治圏の反労働者的な政策が一層露骨化していくものと予想されます。また、今後展開されます政治勢力の改編期に際して、一層高揚するであろう既存政治体制に対する国民の不信は新しい代案を強く求めていくものと思われます。このために民主労総は労働者中心の進歩政党を建設する上で先頭に立たなければならないと思っています。また、大衆を中心に立てでさまざまな市民団体を包み込む民衆連帯戦線の強化が必要だと考えています。
 次に国際交流の問題です。多国籍資本の新自由主義の攻勢に対抗する労働者の国際連帯は一層重要性を増すと思われます。単純な交流レベルの国際連帯を超えて、資本の新自由主義的な攻勢に具体的に対抗することができる、そうした連帯活動の展開が求められていると考えます。
 最後に、こうした民主労総の運動方針や目標を達成するための99年の民主労総の闘争方針について、若干お話したいと思います。まず、99年上半期の主要な闘争要求は次のような事柄であります。
 まず、生存権を剥奪する構造調整と整理解雇の中断。2番目に、労働時間の短縮による雇用の保障。参考までに申し上げますと、民主労総は法定労働時間を週40時間にすることを打ち出しています。そして退職金制度の解約と年俸制導入の中断、また団体協約の一方的な停止条項の削除もこれに含まれます。今のは上半期に集中される雇用不安に対応する民主労総の要求ですが、下半期99年を通じての要求としては大衆生存権の保障のための社会改革。2番目に財閥改革と政治体制改革。さらに労働基本権の補強などが要求として入っています。

闘争方針について

 次に闘争の時期の問題ですが、韓国政府は既に予算編成の指針で公共部門の労働者の賃金を4.5%削減しました。この公共部門の賃金削減の予算指針は必ず民間部分にも影響を与えていくと思われます。それから、自動車産業などを中心とした5大財閥の構造調整も進むものと思われます。また、ソウルの地下鉄や韓国通信の構造調整も大心的に行われると予想されています。病院労連に所属している国立大学病院の構造調整も進むと思われます。こうした民主労総の主要な労働組合が直面している構造調整の攻勢に対して十分に対抗できない場合、99年の労働者の闘争戦線はもう瓦解するしかない、そういう厳しい状況に直面しています。したがって、民主労総の総力闘争戦線というものを3月に構築して賃金団体交渉戦線を最大限に前倒しする、そういうふうに結合する戦略で望もうとしています。
 次に闘争の強度ですが、構造調整に関連する産別連盟また事業所は3月の時期にストライキ闘争を組む総力闘争を展開し、この闘争に同じような水位で参加できない組織については総会闘争、集会闘争を集中的に行う予定です。
 次に交渉対象の問題ですが、きのう民主労総の代議員大会が開かれました。そこで労使政委員会からの公式脱退を決議しました。構造調整問題、整理解雇問題は単位労働組合の力をもってしては解決しがたい問題であるために、単位労働組合は連盟に交渉権を委任して産別連盟とナショナルセンターがともに対政府交渉、対使用者団体交渉を推進することを決議しました。
 今回、滞日中にさまざまな組織、団体を訪問しながら感じたことがあります。日本と韓国は労働組合の体系や運動の流れが非常に似ている反面、単位事業所における労使解決関係という点では随分大きく違うということを強く感じます。まだ、労働者を経済の主体として認めるということに対しては非常に反対姿勢にあり、企業、会社が一方的に力ずくで労働者を押え込もうとする慣行が韓国の現場ではまだまだ多く存在しています。したがって、私たち民主労総は労働者が生産の主体として、使用者側と対等な立場で対話していきながら、問題を解決できるようになるまで戦わざるを得ないわけです。同時に民主労総は国民とともにする労働運動を目指して努力します。また、さまざまな誤った社会・政治的な慣行に対してはこれを果敢に改めていく、社会改革活動でも力を尽くしていく所存です。