2017年 カザフスタンの労働事情

2017年7月28日 講演録

【カザフスタン労働組合連合(FPRK)】

アイジャン サディコバ(Ms. Aizhan Sadykova)
(東カザフスタン地域労働組合センター 会長)

カイラクバイ ジャナベーコフ(Mr. Kairakbay Zhanabekov)
(マンギスタウ地域労働組合センター 会長)

タフミナ クバーシェヴァ(Ms. Takhmina Kubasheva)
(カザフスタン労働組合連合 国際局長)

 

1.労働情勢

 実質GDPは、2015年が1.5%、2016年が1.0%、2017年(見通し)が1.9%となっている。
 物価上昇率は、2015年が6.7%、2016年が14.6%、2017年(見通し)が8.0%となっている(「IMF-World Economic Outlook Databases」より引用)。
 失業率は、2015年が5%、2016年が4.9%、2017年(見通し)が4.8%である。
 最低賃金(月額)は、2015年が21,364テンゲ、2016年が22,859テンゲ、2017年が24,459テンゲである。なお、現在の為替レートで10,000テンゲは概ね3,413円である。
 法定労働時間は、1日8時間、週40時間である。

2.カザフスタンの労働法制の特徴

 カザフスタンは独立後25年経過し、独自の労使関係の効果的なモデルが構築されている。また、憲法により、労働の自由、安全・衛生の要件を満たす労働条件、いかなる差別もない労働報酬、失業に対する社会保護を受ける権利が規定されている。
 そして、労働分野に関して、新しい労働法が起草され、この労働法では、労使関係分野における様々な保障、個別労働契約および集団的労働協約の締結手順、労使双方の基本的権利および義務が明確化されている。新しい労働法には社会的パートナーシップ制度を形成することがうたわれ、その原則や関連機関、団体交渉のメカニズムなどが規定されている。この新しい労働法は2017年に施行され、国の社会的パートナーシップのスキームが大変効果的に機能している。
 こうした中、国内の社会経済改革が進められ、その過程でダイナミックに発展する労働市場が形成されてきており、経済活動が活発化し国民の雇用レベルも順調に推移している。ちなみに2016年の失業率は4.9%であるが、1999年当時の13.5%に比べて大幅に改善している。また月当たりの平均賃金は、同様に1999年比で13倍にアップしている。

3.非正規労働など不安定雇用に関する問題

 解決が急がれる問題の一つに派遣労働(私たちはアウトスタッフィングと呼んでいる)があり、労働組合は、派遣労働の活用に対して懸念を抱いている。それは、正規雇用に影響を与えるとともに派遣労働者の労働条件そのものにも影響を及ぼすからである。
 派遣労働者を雇用している使用者の多くは、労働法規が定める労働者に対する義務を避け、産別や地域別の合意や労働協約が及ばないようにしている。
 カザフスタン労働組合連合(FPRK)は政府の労働・国民社会保護省に対して、派遣労働の実情に関する全面的な調査を行い、派遣労働に対する経済政策のための実践的勧告を作成すること、など幾つかの提案を行い、現在、同省のもとにワーキンググループが設置され、この問題の検討が行われている。

4.ナショナルセンターが直面している課題

(1)適正な賃金の達成
 低賃金労働者としては、郵便関係労働者、農業部門、就学前教育労働者の一部、下級医療機関従事職員、などがあげられる。現在、危機が続いている状況下にあるが、危機後には真っ先に低賃金労働者の賃金を改善するよう訴えている。また、カザフスタン労働組合連合(FPRK)では、2016年にマーケットバスケット方式による最低生活費の調査を行っており、2018年の政府の最低生活費算出に際しては、労働組合が行ったこのマーケットバスケット方式による調査・分析結果を活用し、最低生活費を見直すよう提案している。

(2)安全・衛生基準の確保
 カザフスタン共和国統計委員会のデータによると、労働者の7人に1人が安全・衛生基準に満たない有害かつ危険な労働条件のもとで仕事をしており、その4分の1は女性である。全体として安全・衛生の状況は厳しく、毎年600人以上が労働災害でけがをしている状況だ。カザフスタン労働組合連合(FPRK)は政府(労働省)に対して、労働環境整備のための具体的方策について提案している。

(3)労使紛争への対応
 新しい労働組合法(2014年採択)ができ、労働組合を近代化させ、労働組合の地方組織も設立できるようになった。今日、地方組織は地方自治体や使用者とともに労使紛争に迅速に対応し、解決を図っている。このように社会的パートナーが協力して解決にあたっており、ちなみに過去3年間は労働組合のある企業の労使紛争件数は半減している。