2012年 カザフスタンの労働事情

2012年12月14日 講演録

カザフスタン労働組合連合FTURK
Ms.リタ・アグニヤゾヴァ

 

1.労働情勢(全般)

 カザフスタン共和国の15歳以上の労働人口は890万人。国内経済における就業者は850万人。2012年の失業率は5.5%・47万2000人で、新規雇用が増えている。国内の労働組合員数は200万人以上である。就業者中、雇用労働者数は560万人、自営業者数は270万人で33.3%以上を占める。
 カザフスタン共和国においては、国民の労働の諸権利尊重に大きな注意が払われている。労働者や全国民にとり大きな意味を持ったのが、カザフスタンによる経済・社会・文化の諸権利に関する国際条約批准である。社会・労働関係分野における国内法の改定が続いている。その一環として、カザフスタン共和国『国民雇用法』が改定された。改定の一つに、社会的雇用制度の導入があり、これは年金受給開始前年齢者や障害者、在外帰還カザフ人、21歳以下の若者などのグループの雇用増につながる。
 また、政府により2011年3月、安定した有効な雇用を支援することによる、国民の収入水準引き上げを目的とした2020年雇用プログラムが承認された。雇用プログラムは、カザフスタン国民で自営業者、失業者、低所得者を対象としている。本プログラムは2011年7月1日に実施が始まった。プログラムは次の三つの分野からなっている。

  1. 職業教育およびその後の就職斡旋
  2. 特に農村をはじめとする企業支援
  3. 居住地で就職やビジネス発展の見通しが無い場合、プログラムは、より発展した地域への移住を提案する。それにより労働資源の移動も活発になる。
 2016年に向けてのプログラムでは、国内の50万人までをカバーする計画である。貧困率を人口の6%までに低減し、失業レベルが5.5%を超えないように保つという課題が掲げられている。
 現在、地域の専門職協会によって、2020年雇用プログラムの参加者である自営業者や失業者・貧困層の労働組合への加盟を促進する作業が行なわれている。また、農村部においても、熟練度向上や職務教育に関するモニタリングや新プログラム実施に関する情報提供・説明作業が行なわれている。
 効力を発したカザフスタン共和国の『労働法』は、その構造と内容によって、労務関係の構築や管理を文明的に秩序立てていくことを保証するものとなった。『労働法』は充分に国際的基準にかなっており、経営者と労働者の利益の均衡を可能とするものであり、労働組合に対し、労働者の法的権利と利益を遵守する機能を果たすために必要な権限と保証を提供するものある。2012年、『カザフスタン共和国労働法への改正と補完について』という法律が採択された。この法律に準拠し、労使関係のシステムは実質的に以下3点の主な方向性で開発されていく。[1]労働協約システムの拡大[2]労働の標準化の促進[3]労働保護管理システムの改革。
 プログラム「カザフスタンの社会的近代化:労働のユニバーサル社会への20のステップ」において、現在、「カザフスタン法『労働組合に関して』に対する変更と補完について」という法案に関する作業が行なわれている。労働組合の代表は、その作業に積極的に参加をしている。

2.労働組合が現在直面している課題

 労働者の権利侵害は、依然として広く行なわれている。その罪はまず何よりも経営者にあると言える。FTURKの見解によれば、法への知識が不足しているのではなく、意識的に違反し、法を無視しているということである。
 毎年、国家労働検査によってだけでも、10万件以上のさまざまな労働法違反が明らかにされている。数万の違反行為は検察によって検挙されるが、その中には、外国資本企業による5000件もの違反行為が含まれている。
 生産現場での事故による死亡者数の増加、民間企業の全体の賃金未払い、違法解雇や同じスキルの仕事に対する外国人専門家と国内労働者の賃金差別がしばしば見受けられる。
 これらの問題を解決する新しいモデル構築へのポイントは、社会的パートナーシップの発展と交渉の潜在能力の向上である。

3.課題解決に向けた取り組み

 FTURKは常に労働市場に大きな注意を払っている。労働組合の要請により、2012~2014年の一般的労働協約には、労働市場および雇用を規制し、失業を減らすための当事者の義務についての項目が盛り込まれている。労働組合の参加を得て、雇用の創出と保全、人材教育と再教育、熟練向上教育、余剰労働者の再職業訓練、労働力移動への規制などを目的とした雇用プログラムが作成された。
 共和国内では、現在も労働者の賃金支払い遅延や未払いが根絶されていない。これに関連して、国民の労働の自由と保護という憲法上の権利を保護し、給料未払いを回避し、労働者権利を保護するための法整備に関する諸問題における協力関係を構築するためにFTURKは、カザフスタン共和国検事総庁との間で覚え書きを締結した。
  現在、市民生活の質的向上のために、新しい基準が必要となり、そのために労働組合は現実的な最低生活費のレベルに基づいて貧困層の現状を把握するための指標を定義し、また、消費バスケットの実際の構造や構成を考慮して、その方法論を改善しなくてはならない。
 その他、正当な賃金獲得への闘いにおける重要な役割を果たすのは、最低賃金の増額であり、賃金支払いに対する国による保証である。

4.ナショナルセンターと政府との関係

 労働組合は、カザフスタン共和国政府と恒常的に建設的な対話を行ない、社会パートナーシップ制度の発展のために多くのことがなされてきた。長年にわたり労働協約や産業・地域協約が締結され、機能してきた。今日、労働協約は労働組合が機能しているほぼすべての企業で締結されている。
 政府は雇用者と労働組合とともに、労働協約が国の社会的・経済的な生活において実質的な意義を持つように方策を講じている。
 財政危機後の今日、社会的パートナーは協力し、ディーセントワークや社会的課題に関する問題を実現し、カザフスタン国内の安定を保つための努力を続けるという課題を掲げている。

5.多国籍企業の進出状況と労使紛争

 カザフスタンの石油ガス業界では、膨大な数の労働法違反を見いだせる。それはまず賃金支払いシステムが統一されていないことであり、同じ職務を行なう外国人とカザフスタン人労働者の賃金格差である。また経営者は、より新しく安全な技術を導入し、生産の近代化を行なうことに無関心で、何よりも利潤の追求のみを目的としている。
 これらは、さまざまな地域や産業でのすべて社会の緊張と労働紛争を生み出す要因となっている。また、労働者と経営者は、常に建設的な社会的対話、現実的な団体交渉の実施に対する準備ができていないことも要因の一つである。
 この問題について2010年11月、カザフスタンの主要な港湾都市でカスピ海に面したアティラウ州の州都であるアトゥラウで、われわれのイニシアチブにより石油・鉱山業者のフォーラムを開催し、政府とともに詳細な問題に至るまで協議を行なった。さらに石油業界から発せられている社会的な問題の肯定的な解決のために政府と今後も交渉を続けていく。代議士や政府機関代表者とともに、「団体労働争議と紛争:その予防とコントロールへの道」という会議を開催した。
 FTURKは、今後も社会的パートナーとともに、社会的紛争を未然に防ぐための効果的なシステムの開発、協議や交渉の実施、労働基準違反のリスクをコントロールし、労働の安全を保護するためのシステムの改善、職務の熟練度を向上するための国レベルでのシステム導入に向けて交渉を続けていく。