2008年 ベラルーシの労働事情

2008年6月18日 講演録

ベラルーシ民主労働組合会議(BKDP)
イリーナ・ブートグサイム

情報・広報局担当書記兼ウェブサイト編集担当

 

二つのナショナルセンター

 ベラルーシの総人口1000万人中、労働者は約400万人です。そして400万人の労働者の大多数が労組組合員であります。ベラルーシにおける失業率は7~8%以上で、平均賃金は約380ドルです。
 過去7年間に雇用労働者の90%が強制的に、大量に契約雇用、すなわち期限付きの労働契約に移行させられました。その期限は通常1年間です。このベラルーシモデルの契約雇用というのは、労働者の法的立場に否定的な影響を与え、雇用者と当局に完全に依存することになりました。また、ベラルーシにおける労組の活動にも一定のネガティブな影響を与えました。
 現在、ベラルーシには二つのナショナルセンターがあります。それは、ベラルーシ労組連合(FPB)とベラルーシ民主労組会議(BKDP)です。国営企業であるとか、組織の職員の大多数は前者の、ベラルーシ労組連合の組合員です。これはソ連時代と同様、国に完全に従属し、管理されています。
 独立労組運動の国際基準を満たす、国内唯一のナショナルセンターとなったのが、私が所属していますベラルーシ民主労組会議です。今年で結成から15周年ですが、ベラルーシ独立労組(BNP)、自由労組ベラルースキー(SPB)、金属労働者自由労組の三団体からなっています。2003年から国際労連(現在はITUC)に加盟しています。組合員総数は約9000人とあまり規模の大きくない組合連合ですが、全地域で30の単組が入っており、それらの多くが企業労働者の利益を代表し、雇用者と労働協約を締結しています。もっとも数が多いのは、石油化学コンプレックス企業とか金属加工企業の組合です。

民主労組会議(BKDP)の運動

 わが国における独立労組の諸権利の重大な侵害については、2000年以降、国際機関でさまざまに議論がされてきました。一番問題なのは,ILOの主要条約である第87条団結の自由、および第98条団体交渉実施権の侵害です。特に労組の集会、ピケ、ストライキなどの大衆行動を禁じる法律の採択が問題になっています。
 当局は、労組の内部問題に介入し、独立労組組織を崩壊しています。例えば、2003年にはベラルーシ航空管制官労組が理由なく解散を余儀なくされました。労組幹部の一人が解雇され、BKDPのリーダーであるアレクサンドル・ヤロシュークがこの事件を批判する論文をマスコミで発表すると、10日間の拘束を伴う逮捕を宣告されました。労組リーダーの逮捕や解雇、独立労組の一般組合員に対する非常に強い圧力、労組組織の登録拒否、雇用者側から気に入らない労働者に対し契約更新しないとの恐喝・脅迫などが、労働者や所属労組に対する最もよく使われる手段であります。
 2000年以降現在に至るベラルーシの状況は、ジュネーブで開催されているILO会議の枠内の、ILO条約および勧告適用委員会の会議で定期的に論議されています。そしてベラルーシは五度、ILOの特別条項に、労組の諸権利が重大な侵害を受けている国として掲載されました。労組に対する差別の新たな証拠となったのが、BKDP傘下の労組が、その活動場所の賃貸料決定の際、優遇されなくなるとの大統領令です。その結果賃貸料は10倍に増えました。一方、FPB傘下で国の統制を受けている労組は、特別令により賃料不要となっています。
 二年前になりますが、BKDPは労働社会問題国家会議の中に自らの合法的な場所を取り戻しました。それは、政府、雇用者及び労組の代表からなる三者会議で、ベラルーシで社会的対話を実施するものです。長い間、BKDPは社会的対話のプロセスへの参加を許されませんでした。今BKDPはこの会議への参加のおかげで、国内の社会経済政策に影響を与えることができるようになりました。特に、BKDPは会議において、ベラルーシにおける労働の短期契約制度の見直しや国営企業の民営化プロセスへの労組の参加を発議しています。
 BKDPが最近の労組の諸権利擁護分野での肯定的な事実と考えているのは、政府が数年前に起草した労組差別法案の採択プロセスが、目下凍結されていることです。この法案が採択されれば、ベラルーシの独立労組は法的地位を失い、存在しなくなるからです。

多国籍企業の活動

 ベラルーシ国内での多国籍企業はまだ数が少ない状態で、というのは、政府の外資誘致政策が硬直したもので、フレキシブルでないので、外資がなかなか入ってこられない状況です。そのような中で、コカコーラやマクドナルドなどが進出しております。そしてこれらの企業は自社内に労組を作らせない方針です。BKDPはこれらの企業内に下部組織を作ろうとしましたが、失敗に終わりました。昨年、コカコーラで労組を作ろうとした活動家が経営側に解雇されました。今日のベラルーシの条件下では、多国籍企業で働く労働者の権利を守るのは困難です。
 独立労組としては、民営化終了後は国内の多国籍企業数が大幅に増え、当然、それら企業との交渉において労組の役割は強めなければならないと考えています。それらの企業の社員とともに、より活発に粘り強く、彼らの権利や利益を守るため、労組を組織しなければならないと考えています。