2009年 セネガルの労働事情

2009年1月28日 講演録

セネガル全国独立労働組織(UNSAS)
モー・ンジャーイェ

ネスレセネガル労働組合書記長兼UNSAS執行委員

 

1. 労働情勢

 セネガルでの労働運動の起源は20世紀初頭までさかのぼり、近く100年を迎える。アフリカ8カ国の主権がフランスから回復された1959年まで首都ダカールはフランス領アフリカの中心都市であった。特に、1921年から1937年にかけて労働組合の自由、団結権などをめぐって展開された闘争の先頭に立ち、徐々にではあるが労働者の権利を勝ち取ることに大いに貢献した。こうした闘争により1952年12月、遂にフランス領アフリカにおいて適用される労働法典の制定に至った。
 1960年の独立から今日まで労働運動は大いなる発展を遂げ、1976年に政権が代わり、民主的国家が誕生し、多くのナショナルセンター(現在18団体で、有力なのはUNSAS、CNTS)や新しい労働組合が設立された。また、2000年3月19日にはついに政権交代を実現した。
 確かに、政府が行った構造改革は正規雇用や労働組合の足並みに深刻な打撃を与えたが、労働組合は正面から困難に立ち向かい、労働運動を弱体化しようとする政治状況を乗り越えるのである。かくして、沸騰する社会戦線の最前線に立ち、労働者の権利、勝ち取った社会的権益や雇用の維持、保護について質的かつ量的要求を労働闘争に掲げ前進するのである。

2. 現在直面している課題

 経済的、社会的、構造的な3つの局面で労働運動が直面する課題は、以下の通りである。

  • 経済的課題:労働組合は組合員を増加し、組織拡大することによって財政基盤を強化し、積極的、自主的に労働者の懸念に対してその能力を発揮し、闘うことができる
  • 社会的課題:食料や原料、生活必需品、特に原油の突然の高騰による世界的な経済状況の悪化に対しての労働組合の取り組み
  • 構造的課題:UNSAS、CNTSという二大ナショナルセンターがあるにも関わらず、労働者の力を分散させ、労働者の利益を省みず要求行動の効果を減少させようとする動きがあること

3. 課題解決に向けた取り組み

 UNSASにとって最も重要なことは労働運動の制度的強化を図り、経済運営と発展のプロセスにおいて、国家指導によるのではなく市民社会の牽引車としての役割を果たし、共闘から始まる統一行動を構築することである。
 そのためにも労働組合の統一こそが重要で、これらの課題に対峙するため共同綱領を通じて、総合的な要求を打ち出すことを可能にするのである。
 現在、UNSASは、[1]女性リーダー育成、[2]労働組合若手指導者の育成、[3]社会・経済的活動により社会経済の構成員の必要を満たすための手段の構築、[4]制度的強化、[4]直面する新しい問題に対応できる新しいタイプの組織のあり方の開発と将来の課題への対応、などの問題に積極的に取り組んでいる。
 それぞれのセクターにおいて総合的な行動計画をナショナルセンターの協力の下に策定し、実施することで、それぞれのセクターで、特に経営者が頑迷なセクターにおいて労働運動を統一的に展開することで譲歩を得ることができる。

4. ナショナルセンターと政府の関係

 セネガルはILO第98号条約を批准したにもかかわらず、ナショナルセンターと政府との関係は明らかに政治的なものとなっている。   
  これは団体交渉についての制度的、法的、規約的枠組みの欠如に起因するものであるが、団体交渉とは本来、当事者(雇用者である国家、企業と労働者側)の自由意志、自主性に基づいて行われるべきものである。
  実際、ストに関するセネガルの法律は時代錯誤的であり、日々新しくなり、かつ進歩を続ける労働界の実情や、今日ますます高度化する教育に対応できていないことは明らかである。
  こうして、労働に関する法制度の不備により労使関係は対立を和らげるための斡旋、仲裁、調停といった機能を発揮できないでいる。
  現在、問題となっているのは行政、また労使紛争を予防し解決するための労働監督署が無能なため、労働者と企業との間でストや紛争が絶えないことである。
  こうした状況から、経営者側(国家、企業)に立つ労働組合と我々の労働組合との間に亀裂が生じ、本来、労働者の基本的利益を追求するべき労働組合にとっては異常なことだが、政治的活動に重点を置く組織が現れることにもなった。ある意味では、こうした亀裂は特に労働者の闘争や要求に悪影響を与えている。

5. 多国籍企業の進出状況

 セネガルでの多国籍企業の進出は植民地時代の農業・食品産業にまでさかのぼる。1970年代には加えてNESTLE、COSPERAL(食品)、ESSO、及び、IRANSAN-SHELL(石油)、AIR-AFRIQUE(航空輸送)、BATA(靴)などが進出してきた。
 世銀から政府に課せられた新産業政策は民間部門に構造調整を強い、多くの企業が閉鎖に追い込まれた。
 にもかかわらず、セネガル政府は2000年から企業誘致政策を取り、多くの多国籍企業が特に第三次産業に進出してきた。フィリップモリス(タバコ)、ATTIJARI BANK(金融)、AXA ASSURANCE(保険-再保険)FRANCE TELECOM/ORANGE 、WILCOM(通信-電話)、DUBAI・PORT WORLD(港湾作業)、MITTAL/ARCELOR(鉱業・地下資源調査)、その他、ホテル、カジノ、旅行観光産業などである。