2004年 マリの労働事情

2004年7月14日 講演録

マリ全国労働組合(UNTM)
マウルー ベン カトラ

教育・文化全国労働組合教育担当局長

 

UNTMの概要と活動

 マリ全国労働組合(UNTM)は、1963年に設立されました。官公部門、半官半民部門、そして民間部門を統合したもので、組合員数は15万人です。綱領として3つの標語があります。統一、連帯、そして行動です。加盟組織は13組織で、地方組織および8つの地域組織から構成されています。これらの地方・地域組織は日本の地方連合会のようなものを考えていただければよいと思います。地方組織は55の県で組織しています。労働組合の組織は横断的、また垂直的な組織構造になっています。
 UNTMの最高決議機関は大会です。次の決議機関として中央委員会があり、2年に1度の頻度で行われています。もちろんその間に、臨時大会が開かれることもあります。また、横断的組織として、県レベルあるいは県の下の段階になる地域組合などが設立されています。
 UNTMのさまざまな取り組みですが、まず5つの課題を抱えています。政治的な活動、経済、社会、そして教育であります。
 まず、第1に政治活動ですが、2つの大きな課題があります。マリの労働組合運動の歴史ですが、1960年のマリの独立の年から90年までは中央集権主義とでもいいますか、労働組合運動は10の政党の活動に組み込まれていました。
 1960年から90年まで労働組合は政党に支配され、政党の1機関として活動していました。1990年に民主主義が導入されました。そこで、90年に臨時大会が開かれ、91年に本来の意味でのナショナルセンターが設立されました。労働組合運動の革命と私たちは呼んでいます。その年から、マリで本来の意味での複数政党主義と複数労働組合主義、あるいは民主主義が導入されたわけです。
 しかしながら、他のアフリカの国と違って、マリにはナショナルセンターが2つしかありません。中でもUNTMが最も代表的なナショナルセンターです。1991年のUNTMの設立以来、政治的な綱領として私たちが特に遵守しているのは、労働組合活動と政治的活動を厳密に区別していることです。すなわち労働組合役員を兼ねて政治家になることはないということです。労働組合役員として活動するか、あるいは政治家として活動するか、どちらか1つを選ばなくてはいけないということです。
 しかしながら、政治に関して意見を出さないということではありません。私たちは政治的な意見を発表しています。そのために政府や政党との対話はよく進めています。ですから選挙の際には、各候補者に対して私どもの質問を投げかけたり、あるいは要求を打ち出したりしています。また、ヨーロッパやアジアなどの多くのナショナルセンターとの関係もあります。
 組合財政について申し上げますと、基本的な財源は組合費です。ただ、組合費を徴収することは、財政的には大変大きな困難を抱えています。91年の労働運動の解放以来、直接給与から組合費を集めることができなくなりました。すなわち、組合費を納めるのは自由意思によるものです。それからもう1つの財源は、国からの補助金や使用者団体あるいは企業からの補助金です。労働組合の財源を確保するために、私たちはGIEという経済利益団体を設立しました。農業関係についてイタリアからの援助を受けています。イタリアからの援助を受けて、そうした農業生産を財源確保のために行っているのです。
 労働者教育について申し上げますと、労働者教育委員会が設置されており、私自身がそこの委員長をしています。毎年末にさまざまな地域、あるいは地方における労働組合教育に必要なものをリストアップし公表しています。重要なテーマとしては、労働組合リーダーの養成、女性労働者の労働運動への参画、職場の安全衛生、特にインフーォマルセクターにおける職場の安全衛生、あるいは労働者教育に重点を置いています。
 また、アフリカ開発会議への参画を図っています。特に協定については、欧米やその他の国々の労働組合からの参加もあり、マリの労働組合関係者としては大きな強い関心を持っています。
 社会面ですが、1990年以来、私どもの国は政治・経済的には比較的安定しています。三者構成主義も導入されていますし、労使協議制あるいは政府を含めての協議会も普及しています。1990年以来、社会対話も頻繁に行われています。労働協約も毎年更新されています。
 社会的な活動について強調しておきたいのは、社会経済諮問委員会への労働組合代表者の参加です。政府の中に退職者基金諮問委員会への労働組合としての参加も図られています。そして2001年、連帯と団結についての協定を結ぶことができました。これは社会経済に関連するすべての問題に対処するための協定です。そのために、私たちの大きな課題である給与、賃金の引き上げにも資することになると思います。