2003年 スワジランドの労働事情

2003年10月1日 講演録

スワジランド労働組合連盟(SFTU)
シバネ バーンズ ドラミニ

スワジランド農業・農園労働組合 委員長

 

国内の状況

 スワジランドの労働組合運動は、これまで常に思いやりと理解の精神をあまねく浸透させることをテーマ、モットーとしてまいりました。その目的は、我々の愛する祖国であるスワジランドにおいて正しい社会的、そして政治的な風土が醸成されるようにそれを促進していくことにありました。残念ながら我が国の社会経済状況は、その時々の政治権力者たちによって弱体化されてきました。
 現在スワジランドの政治的、経済的、及び社会的な状況について、つまり3つの主要な要素についてお話をいたします。ここで申し上げておきたいことは、どのような国におきましても政治状況が社会的、経済的状況の度合いを決定するということであります。
 政治状況について申し上げます。私は、今では有名になりましたスワジランド王国から参りました。スワジランドにおきましては、国王が楽々と君臨し支配し続けております。国王はいかなる法律をも超越しています。したがいまして、国王は絶対君主としての地位が保障されています。このように国王が絶対的に支配する国でありますので、行政機関と司法機関の間で明確な権力の分立が全くありません。すべての市民の社会的・経済的状況はそのような状況に直接的な影響を受けます。現在の統治制度によりますと、国家、つまり国王はすべての制度に介入することを許されています。スワジランドは今でも国王による布告によって支配されています。政府は法の支配は尊重しないと堂々と宣言しています。大変残念なことではありますが、スワジランドには最高裁判所もありませんし、控訴裁判所もありません。民主主義は我が国には存在しません。しかし現在、憲法制定過程が進行中です。しかし、憲法制定のために任命された者は主に王子や族長であります。市民社会はこの過程から除外されています。そのため我々は何度も嘆願を繰り返してきたのですが、そのたびに無視されました。このように憲法制定過程にはすべての関係者が入っていませんので、その意味で我々は疑問を持っております。
 次に経済状況についてお話しいたします。スワジランドは非常に小さな国です。それでも世界市場で他の国と競争していくだけの十分な資源を持っています。しかし、もし現在の政治制度が権力を乱用し、また財政の無規律等を許すならば、我が国の経済は沈滞への道をたどることは間違いありません。我が国には4つの主要な収入源があります。砂糖産業、パルプ産業、鉱山業、そしてスワジランド鉄道です。そうは言いながら今挙げた産業はすべて、現在国際市場においてさまざまな挑戦を受けております。その中で一番最近のものは砂糖産業であります。2006年からスワジランドのほとんどの砂糖は、特恵待遇を受ける市場ではなくて、世界市場において売られることになるでしょう。この理由は、2000年6月に調印されましたコントナス協定、あるいはフェニン協定と呼ばれていますが、その協定が更新されなかったからです。現在6%という驚くべき赤字になっています。これは、5億エマランゲーニ以上となります。そこで、IMFが監査のために介入してくることになりました。
 わが国の通貨エマランゲーニは、南アフリカの通貨ランドと1対1の関係にあります。政府は膨大な財政赤字を抱えているために、公務員に支払う給与を中央銀行から借りています。状況はいい筋書き、いい見通しとはとても言えません。特に我が国の自然資源の大きさから考えますと、とてもいい状況とは言えません。
 労働組合運動にとっての関心事、憂慮していることは人口の35%以上が失業状態になっていることで、大変心配しております。ここで申し上げておきたいことは、確かに経済は急落しつつありますけれども、その主な原因は非常にまずい統治の仕方にあり、権威ある人たちがお金の使い方について財政的無規律状態にあるからであります。
 次に社会状況です。人口の66%以上が貧困ライン以下で暮らしております。もう一つ大きな問題は、エイズという広範囲の感染症、流行病の影響を受けている点であります。38.6%以上の人たちがHIV・エイズに罹患しています。30万人以上の人たちが飢えに苦しみ、食料援助を必要としています。我が国には無料の教育はありません。それから、病院にある薬は限られています。セーフティーネットとなるべき社会保障制度はありません。これまで大幅な税金の引き上げが行われましたが、それにもかかわらず基本的な社会的ニーズは満たされていません。その根本的な原因は、劣悪な統治であると言えます。

SFTUの活動方針

 次に、我々の組織の2003年の活動方針について申し上げます。労働組合運動は、共通の関心事に関して政府と適切でかつ徹底的な2者間の対話を行うのがよいと信じてまいりました。我々は一貫して政府に対して対話を申し込んできました。しかし、政府との合意事項の実施に関しましてはかなりの問題を抱えています。それは政府の無知によることもありました。
 労働組合運動は、また、同じような目標を持つすべての市民社会の団体と連携を組み、労働組合としての声のベースを広げてまいりました。その目的は政府に対する圧力をできるだけ大きくするためであります。今年だけでも、労働組合は2つの全国的な職場放棄とデモを組織しました。そして、国際社会に対しても、我々は要請を行っております。
 労働組合はまた国民集会(議会)に参加してきました。この集会(議会)はすべての社会の関係団体が入れるような制憲議会をつくるためのものです。制憲議会の主な任務は、先ほど申しました憲法草案の短所を見つけて、それについて話し合いをし、その結果として、スワジランドのすべての人々が受け入れられる、そして歓迎できるような憲法を提案するということです。結局、憲法というのは、国民による国民のためのものであるからです。

SFTUの具体的な活動

 最後にSFTUの具体的な運動について申し上げます。SFTUは、定期的に国際メディアを含む、すべての国際的な人権及び社会正義擁護団体に情報を提供してきました。また、多くの市民社会団体との連帯を訴えてきました。我が国の一番大きな障害は、すべてのメディアが反体制側の声を取り上げないということです。従って効果的な運動を行うためには、私たちが物理的に大衆のほうに出かけていって働きかけをしなければなりません。それは我々にとって大きな財政上の負担になっています。