2001年 ウガンダの労働事情

2001年7月25日 講演録

ウガンダ全国労働組合会議(NOTU)
デヴィッドバリレーン

運輸・一般合同労働者組合 事務局長

 

NOTUの歴史

 労働組合運動を簡単に説明すると、日本の労働組合運動と似通った点があります。例えば、1968年までに2つの労働組合がウガンダには存在しました。東西の対立が影響し、1つの労働組合は西側、そして、もう1つは東側を支持していました。西側諸国を支持していた労働組合は、そのとき政権についていた与党を支持していました。そして、東側諸国を応援していた労働組合は野党を支持してい
ました。その政党が一番強い政党でした。
 結果としては、2つあった労働組合は両方とも禁止されてしまいました。しかし、この2つの労組合が禁止されても、それぞれの個々の組合は、それぞれの活動を展開し続けました。その後、アミン氏が政権をとり、大統領になりました。彼が政権の座についたことで、禁止されたり、分裂していた労働組合が1つにまとまりました。
 しかし、93年になってからは、NOTUがウガンダの唯一のナショナルセンターであるべきだという発表がされました。民主主義のもとでも、単純な独裁主義があっても機能するのかもしれないことを示しているかもしれません。すなわち、すべてのウガンダの労働組合はNOTUの加盟組織でなければならないということです。ただ、学者の中には、基本的に労働者に対して結社の自由があるのであれば、必ずNOTUに加盟しなければいけないというのはおかしいのではないかという声も出てきています。

NOTUの状況

 現在、19の加盟組織があります。そして、99年12月の段階で組合員は、12万人でした。そのうち、7万1,903人が男性で、70.5%です。3万111人が女性で29.5%を占めています。もちろん男女平等を図るためにも、規約に義務付けられている女性の割合の3割を目指して、組織拡大を図り、より多くの女性を組合員としていきたいと思っています。19の加盟組織のうち、事務局長は、女性が1人しかいません。ほかの18名は全部男性です。これは会長を見ても同じ状況です。19の組織のトップは男性です。財政担当も、18名が男性、女性は1人です。そして、NOTUの事務局は、6名いる執行員のうち、女性はゼロです。
 最近になって、議会選挙がありました。そして、選出された議員は全部男性でした。何カ月、何年かかるかわかりませんが、次回選挙のときには女性が1人ぐらい選出されることを願っています。そして、労働者代表の議員は5名います。
 組合員に関しての調査で、既婚か、未婚かも調査しました。12万人いるうち8万9,019人が既婚、全体の87.3%です。ウガンダでの出生率は非常に高く、そういった背景も1つ適切な教育を組合員に対して行っていくことが必要です。全体の組合員のうち1万979人は独身で、10.8%です。
 医療手当に関して調査をするときに、どれだけ独身者がいるかということも役に立ちます。独身者には、会社から彼らに医療手当を払わなくてよく、逆に既婚で、家族がいる場16合は、彼らに対して医療手当を会社が出さなければいけないという状況になります。このようなこともあって、個人的なことについての調査をしたわけです。離婚や別居している組合員は全体の1.7%、1,782人。夫、妻に先立たれた人は234名、全体の0.2%です。

ウガンダの政治状況

 ウガンダでは政党の存在は許されていません。ですから、無政党状態です。政治に参加したい場合は、政党ベースではなくて、個人として政治に参加することになります。政治運動制度と呼ばれています。社会主義であれ、民主主義であれ、何であれ、政党じゃなくて一個人としての参加になります。
 ですから、選挙に立候補するとなると、候補者がどの政党に属しているかではなくて、その一個人がどういったプログラムを考えているのか、それにみんな着目します。この制度はいいと思いますが、ただ、デメリットもあります。
 95年に新憲法が公布されました。これによって労働者に自由が与えられました。第29条e項によると、自身の選択によってすべての労働者は労働組合を結成できる自由が認められてます。第40条の3には、経済権利、経済権というものが書かれています。労働者に対して直接経済的な恩恵が与えられることが規定されています。団体交渉や組合を結成することが労働者に認められているということです。そして、公正な待遇を受けること。そして、意見をみんなに聞いてもらえるということ。雇用があればの話ですが、雇用に対して自分がその雇用の恩恵を受ける権利もある。そして、健全な労働環境というか、働く環境というものを受ける権利も規定されています。
 もう1つの権利は、ストライキ権です。これが最終的な、究極の権利と言えると思います。というのも、もちろん結成時からストライキという言葉を使いたくないし、ストライキという言葉は嫌いであるというわけで、法律家がうまくそれをまとめるような言葉を思いつき、労働撤退権と名づけました。ただ、現実的には、それはストライキ権と同じことです。
 新憲法はまた、アファーマティブアクション、つまり、差別をなくすということに関して、労働者を代表する者は自分の議席を、もしくは立場を10年間確保して、その間に、労働者のための差別を撤廃する活動を行う権利が新憲法のもとに設けられました。
 96年から2001年まで、議会に送り込まれた労働者の代表は3名しかいませんでした。今年の6月の選挙で労働者によって直接選ばれた議員が5名になりました。任期が10年ですから、2010年に終わります。
 現在、直面している問題は、構造調整計画によって、多くの組合員数が減少したことです。また、エイズによっても組合員数の数が減りました。ですから、組織率が低下しています。職場によっては、1日3名から5名の人が失業、もしくは死亡しています。
 もう1つの問題は、現状にそぐわなくなった労働法です。政府としては、もちろん経済成長を推進していますので、結局、投資家の側につくようです。政府はどちらかというと、労働者の味方ではなく、投資家の味方です。組合が組織として認められるのが非常に難しくなっています。
 もう1つの問題は児童労働です。この背景には2つの理由があります。1つはエイズです。家族中でエイズによって亡くなった人が多いと、その家族の中で一番の年長者が、場合によっては、12歳の子供ということもあります。その12歳の子供は自分が家庭を支えているんだという考えのもと、外に出て、生活費を稼いでくるという形になります。
 もう1つの要因は、経済は農業に依存していることです。ウガンダの農業は大体小作農によって構成されています。小作農として働いている人は、朝に今日やる仕事を与えられます。与えられた時間まで与えられた仕事をやらなければいけません。それには、例えば家の両親のみならず、子供までが駆り出されるという状況があります。非常にみじめな状況です。
 失業率が高いということをお話しします。賃金は非常に低く、貧困はあちらこちらに見られます。ウガンダの最低賃金はほとんど存在しないといっていいと思います。大統領は「経済が自由化されると、価格やコスト、は需要によって決められる」と言っています。その労働にかかるコスト、賃金も需要によって決められるべきだということになります。
 インフォーマルセクターの問題もあります。インフォーマルセクターを出たり入ったりする、それが人員削減、解雇によって行われています。また、新しい技術、それも問題になっています。新しい技術によって、人員が削減されることにつながっています。また、新しい経営スタイルは雇用の問題につながっています。いわゆるパーマネント、常用的な雇用ではなくて、非常に臨時的な雇用形態になっているということです。
 また、ウガンダでは人々は雇用者として働いているのに、雇用方針がありません。政府は、数年後に雇用政策を打ち出すと言っています。
 もう1つの問題は、加盟組織というよりは、労働組合そのものに関しての問題です。つまり、労働組合の構造の中に女性の参加が問題の1つになります。大抵の組合の規約には、男女の割合を均等化させることを規定していません。女性のことは忘れられています。ただ、公布された新憲法のもとでは、どういった組織形態であれ、少なくともそこにいる人の3割は女性でなければいけないという規定があります。これが1つの問題になっています。女性自身もいろんな問題に直面しています。

NOTUの行動方

 労働組合運動を強化することです。具体的には、できるだけ多くの人を組合に巻き込んでいくこと。そして、現状とそぐわない古い労働法を改正すること。組合活動をだんだんと統合化していくこと。例えば、国際組織で活動している組合が複数あるのであれば、ばらばらに活動するのではなく、一緒にやっていくということです。そして、組合の組織構造の中に女性を参加させていくこと。エイズに関しては、いわゆる職場レベルにおいて教育ができるような人たちが研修していくことです。
 また、民間部門において労働組合が認められるような努力もしています。そして、労働組合に関する教育も広げていこうとしています。組合員に対しての基本的な教育。また、一般市民に対しては、労働組合に対する理解を深めてもらい、労働組合法を理解してもらうこと。よく誤解があるので、それを是正するための努力もしています。