2010年 タンザニアの労働事情

2010年10月8日 講演録

タンザニア労働組合会議(TUCTA)
ザムダ・マソード・ムファウム(Ms. Zamda Masoud Mfaume)

タンザニア工業・商業労働組合(TUICO)中央執行委員 

 

1.労働事情

 タンザニアには、2つの労働法がある。1つは、2004年の雇用・労使関係法第6号、もう1つは、2004年の労働機関法第7号である。労働法は、各経営者、労働組合、経営者団体、労働組合連合体が雇用における機会均等を推進し、あらゆる雇用政策や慣行において差別を撤廃することを要求している。労働者は、雇用されている部門によって、それぞれ異なる賃金や報酬を支払われる。雇用・労使関係法では、雇用されている様々な部門に関する8つの賃金委員会に言及している。紛争は、法に規定されている手続、規則、規定に則って解決される。

2.労働組合が直面する課題

 労働組合はたくさんの課題を抱えているが、現在の緊急課題は次のようなものである。
 第1に、最低賃金は非常に不十分な水準にあること。第2に、定年退職した労働者に支払われる退職金や年金などの老齢給付金が不十分であること。第3に、労働者の賃金に賦課される税率が高いこと。第4に、労働法のいくつかの項目の変更や修正、例えばストライキ関連でピケを禁止している項目を修正すること。第5に、経営者が活動の一部を他の会社に下請に出す外注の問題。第6に、HIV/エイズが蔓延していること、などの問題である。

3.課題解決のための労働組合の活動

 ナショナルセンターであるタンザニア労働組合会議(TUCTA)とその加盟組織は、最低賃金を引き上げるために、政府と交渉している。同時に、加盟組織も団体交渉を通じて、経営者に従業員の賃金を引き上げるように働きかけている。
 年金基金に関し、ナショナルセンターは、年金基金計画を監督、調整する調整官(regulator)を任命するよう政府に働きかけている。
 労働法のいくつかの項目を修正するため、労働組合は現存する複数の機関、例えば労働経済社会審議会(LESCO)などを利用している。
 HIV/エイズの蔓延に関し、労働組合は労働者の意識向上キャンペーンを実施するとともに、組合員の研修活動を企画、開催している。

4.労働組合と政府との関係

 ナショナルセンターと政府の関係は、2004年の労働機関法7号の規定に従って独立諮問三者機関としての労働経済社会審議会(LESCO)が設立されている。この審議会は労働省を通じて政府に助言することができ、その機能を果たすに当たって、規則や手続を自ら決める権限を与えられている。ナショナルセンターと政府の間に紛争が生じた場合には、この審議会がすべての紛争の解決に当たる。

5.多国籍業問題

 1990年代初頭に政府が採用した構造調整計画は経済に多くの変化をもたらした。多くの国営企業が民営化され、外国投資家によって買収され、その時点から多国籍企業が操業を開始した。多国籍企業はすべての労働法及び規則を遵守するよう法律で義務づけられている。多国籍企業は結社の自由及び労働組合の諸権利を尊重しなければならない。さらに、発生した労使紛争は、現存する労働法、規則、手続に則って処理されなければならない。