2000年 タンザニアの労働事情

2000年8月2日 講演録

ブカリ・ラマダーニ・センブア
情報通信・運輸従業員組地域副書記長

 

TFTU について

 はじめに労働組合のいわゆる成立状況に絡めて言いますと、3 つの時代もしくは3 つの違った段階があると言えます。まず、政治的にはニエレレ大統領が行った社会主義に基づく政策が第1 段階目です。2 番目は、今度は社会主義から資本主義への移行のもと図られた政策、政治といったもの、そして3 段階目としましては、大統領もしくはその議会選挙において労働組合もいろいろな活動を行い、参加をするといった、その3 つの段階に分けられるかと思います。
 TFTU の構成組織ですけれども、全部で11 の組織がこのTFTU に加盟しております。これらは、まず運輸・コミュニケーション関連の労働団体、次に商業の団体、研究または学問関連に従事している労働者の団体、教職員の組合、地方レベルでの職員・労働者の組合、公民及び健康関連の組合、海員組合、鉱山・建設に従事している労働者をまとめる団体、家内労働(ドメスティック・ワーカー)やその関連の労働者をまとめる団体、プランテーションに働く労働者の団体、最後に鉄道の組合といったものがTFTU に加盟しています。国際的な活動ですが、TFTU はもちろんILO の一員としての活動をしております。また、OATUU 、ICFTU の加盟組織でもありますし、また、地域的なレベルでは、南部アフリカ労働組合評議会(SATUCC)と呼ばれているところや、東アフリカ労働組合評議会(EATUC )といったところにも加盟しています。
 国・政府との関係ですが、TFTU と政府との関係は、いわゆるTFTU は自由な労働?11組合活動を行っております。次に、使用者団体との関係ですけれども、これは対立した関係もしくは敵対した関係ではありません。実際に三者評議会ですとか、もしくは対話を行うような場所でも、使用者団体との交流が行われております。
 次に、他国のナショナルセンターとの関係ですが、近隣国のナショナルセンターとの良好な関係を維持しております。二国間レベルもしくは多角的なレベルでも、そういった良好な関係がございます。よい例としましては、ウガンダのNOTU (ウガンダ全国労働組合組織)や、ケニアのCOTUK (ケニア労働組合中央組織)といったところが挙げられます。支持する政党はどこかということですが、特定の政党を支持しているということはありません。
 歴史についてですが、植民地主義が到来し、タンザニアにおいて換金作物を中心とした経済ができたことにより、労働組合が次第に結成され始めました。初めに設立されたナショナルセンターは、TFL (TanganyikaFederationofLabor )で、これは1955 年にできています。このTFL は1964 年までは円滑に活動を続けていたわけですが、1964 年に政府により解散を強いられました。代わって、NUTA (NationalUnionofTanzaniaWorkers =タンガニーカ労働者全国組合)というものが設立され、すなわち、このNUTAは、その当時の支配政党のいわゆるプロパガンダ機構にその役割を果たしたということになります。その後、NUTA は1978 年に名前を変え、JUWATA というものに変わりました。1991 年に、アフリカ大陸で民主化運動が盛んになり、その結果、1995 年にこのナショナルセンターが名前を変え、JUWATAからOTTU としたのですが、さらに現在のTFTU (タンザニア自由労働組合同盟)と名前を変えて現在に至ります。
 次に、TFTU が直面している現在の課題です。1 点目としては、組織人員が低下しているということ、これは、いわゆる民営化によって組織人員が減ってきて、そして収入も減ってきているということであります。これは、民営化のみならず、公共そして民間部門両方において大規模での人員整理が行われていることも理由として挙げられます。2 点目の課題ですけれども、もう時代にそぐわないような古い法律を撤去して、そして新しい法律を施行することが1 つの課題目標であります。ただし、1998 年に新しい労働組合法が施行され、それに伴い労働組合が新しく登録する場合、登録制度が必要になっています。
 ただ、最新の状況で、今年の7 月にタンザニアの労働大臣が予算演説の中で1 つの発表で、これはもちろん政府の立場ですけれども、新しく施行されている労働組合法のもとで新しいナショナルセンターを設立すると言っています。すなわち今既存しているこの11 の構成組織を有しているこのTFTU は存在しないと言っているのも同じです。ですから、実際にTFTU というナショナルセンターが存在しながらも、新しく施行している労働組合法で新たにまたナショナルセンターをつくるということで、今既存しているナショナルセンターの存在を認めたくないと宣言したわけであります。
 次の課題として、児童労働をなくしていくために労働組合が活発に参加するということであります。特に、農業、鉱山、家内労働において、児童労働を撲滅していくということです。なかでも鉱山などにおいては児童労働が多いわけで、ほかのアフリカ諸国の方もご存知のように、地下をくぐって仕事をして出てくる、ニックネームとして「へび」とよく言われているのですが、その児童労働をなくすことがひとつ課題になっております。
 もう一つ課題としては選挙があります。これは、今年2000 年の10 月に選挙がいろいろなレベルで行われるということです。まず、TFTU の構成組織である労働組合においても、選挙が行われますし、また、ナショナルセンターでも選挙が行われます。また同時に、タンザニアの議会選挙並びに大統領選挙が2000年10 月に行われる予定になっております。
 次の課題ですけれども、すべてのレベルにおいて労働組合のリーダー、そして組合員たちに教育研修を行うということです。といいますのは、新しく選出されたやはり役員やリーダーたちが労働組合においてどういった形でリーダーとしての役割を果たすのか、そういったことがやはりきちんと教育されていないと役割を果たすことはできないということで、教育研修が大きな課題になっています。
 最後の課題としては、ILO の条約すべてをタンザニア政府が批准するように圧力をかけていくということです。最後のポイントとして指摘しておきたいのは、最近になり、団体交渉で取り決められたこと、すなわち労使間で取り決められたことが実際には実行されないということが起きてきています。すなわち、交渉を張って、団体交渉で妥結されたことが例えば投資家からのプレッシャーによって実行されないといったことが起きておりますので、これに関して、やはり状況を改善するように政府に私どもとしては働きかけておりますし、要求もしています。以上が私の報告でして、最後に、個人的にも、そして組織を代表しましても、JILAF の皆さんに今回の招聘をしてくださいましたことを感謝申し上げたいと思います。今回日本で学んだことを国に持ち帰って、そしてさらに組織活動を強化していく力としたいと思います。ありがとうございました。