インド労使関係・労働政策セミナー

 5月11日と12日の両日にわたり、インド・タミルナドゥ州チェンナイにおいて、インド全国労働組合会議(INTUC)、インド全国労働者連盟(HMS)、国際労働財団(JILAF)の共催による「労使関係・労働政策セミナー」が開催され、各組織のリーダー層約30人が参加した。
 インドでは昨年の10月に続き2回目の開催となる本セミナーでは、「日・印両国における労使関係・労働法制の現状と課題、労働組合の役割等」を主要テーマとし、組織間の論議を深化させた。
 開会式では、ラジャ・スリダールHMS会長、カランINTUCタミルナドゥ州会長、團野JILAF専務理事の挨拶があり、続いて来賓の杉山在チェンナイ日本国総領事館首席領事からは、JILAFのこれまでのインドにおける活動実績に対する賛辞とともに、「多国籍企業の進出目覚ましいインドにおいては、労使関係における課題も多く、INTUC/HMS/ JILAFによるこうしたセミナーを通じて建設的な労使関係が早期に構築されることを望みたい」と挨拶があった。
 初日のセッションでは、團野JILAF専務理事より、「日本の労働・社会法制―労働運動を支える法体系」と題して、①日本の社会労働法制の特徴、②日本の労働運動を支える労働組合法と労働基準法、③雇用・労働市場に関する法律等、④社会保障制度―――に関する説明があった。その後、ランピリヤ・ゴパァラクリシュナン(Ms)マドラス最高裁判所弁護士より、「インドにおける労働法改正」についての講義が行われた。同弁護士は、インドにおける労働市場の変化について説明するとともに、労働組合法、労使紛争法、就業規則法の内容と特徴について解説した。また、これら三法制の内容を網羅した新しい労働法典(労使関係にかかる労働法典)に関する説明もなされ、懸念事項として、①結社の自由が認められていないこと、②ストライキ権に制限がある等を強調した。
 セミナー2日目は、「より良い労使関係の構築に向けて」とのテーマに基づき、①インドの労使関係の改善、②国際労働基準との連携―――にかかるグループディスカッションと発表があり、ムルゲサンINTUCタミルナドゥ州支部書記長他が適宜コメントを付した。
 閉会にあたり、團野JILAF専務理事は、「インドでは労使関係関連法が未整備であるため、労働組合の活動にも制約があることは労働側にとって大きな課題であり、息の長い取り組みを必要とする。建設的労使関係の構築と会社の存続、労働者の生活水準向上、さらには法整備に向けた議会への働きかけには、各級での労働組合の取り組みの糾合、ひいては分立するナショナルセンターの結集が必要であり、JILAFも両組織の連携・取り組みに引き続き協力していく」とまとめ、これに対して、ラジャ・スリダールHMS会長がJILAFへの感謝とともにHMS/INTUC両組織の統一行動の重要性を訴え終了した。
 セミナー終了後、セミナー参加者のコーディネーションのもと、アンドラプラデシュ州グントゥール市(セミナー開催地隣接州)を訪問した。訪問先では同州のINTUC幹部他と意見交換を行い、セミナー内容についてフィードバックするとともに、同州における労使関係や労働事情の現状と課題を聴取した。この中で現地サイドからは、インフォーマルセクター労働者の多い同州同地域においては個別の雇用契約も未確立であり、労使関係をめぐっては、労働者自身も対処の仕方を知らないこと、これが労働者の生活水準や地域経済にも悪影響を及ぼしていること等の課題が述べられた。併せて同州での労使関係・労働政策セミナーの開催要望が提起された。

日程

月日内容
05月11日セミナー1日目
05月12日セミナー2日目
05月13日アンドラプラデシュ州グントゥールでの意見交換

参加者の様子

ラジャ・スリダールHMS会長の挨拶

團野専務理事による講義

ランピリヤ弁護士による講義

ムルゲサンINTUC・タミルナドゥ州支部書記長の発言

意見交換の様子

会場の様子