バングラデシュITUC-BC/JILAF労使関係・労働政策セミナー(IR)を開催

セミナー前の黙祷(ダッカ・レストラン襲撃事件の犠牲者に対して)

 国際労働財団(JILAF)は、国際労働組合連合バングラデシュ協議会(ITUC-BC)と共催で、「健全な労使関係の構築と雇用安定」を主要テーマとし、労使関係・労働政策セミナーを11月23~24日、バングラデシュ・ダッカで開き、労働組合指導者53人(うち、女性9名、日系事業所所属組合役員2名)が参加した。さらに、労働者の生活改善を目的とした、労使による相互扶助制度の運営等に関する日本の経験を全労済協会より講師を招き共有した。なお、今回の出張は、邦人が犠牲となった7月のダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件を受け、現地組織を通じ治安当局に最大限のセキュリティ確保等を要請した上で実施した。

 セミナーは、(1)日本の労働組合と労使関係、(2)労働者の生活向上に向けた労働組合の役割、(3)労働組合の結成から登録――などのセッションを中心に構成し、グループ討議や発表などを通じて労働組合の取り組むべき課題を共有した。
 冒頭、カーンITUC-BC事務局長の呼びかけにより、本年7月のダッカ・レストラン襲撃人質テロの犠牲者に会場全体で黙祷を捧げた。次にバングラデシュ政労使を代表して、ホサインITUC-BC議長(BSSF会長)から、JILAFおよび日本国政府の継続的な支援・協力に心から謝意を表しつつ、「7月の事件以降、国際労働組織でいち早くバングラデシュに戻ってきてくれたJILAFに感謝したい旨、挨拶があった。
 続いて、齋藤副事務長より「日本の建設的労使関係と無用な労使紛争の未然防止」を主眼とする講義を行ない、会場からは、「グローバル化により労使関係が複雑化する中にあって、日本的労使関係の構築こそが労使双方にとって有益である」との共通意見に加え、ア)労働者軽視(使用者重視)の労働法制や労使紛争解決メカニズム、イ)使用者側の労働組合軽視姿勢・怨嗟、ウ)女性・移民労働者の人権蹂躙、エ)縫製業界における不公正な労働者配分(一部企業利益の政府への上納義務等)、オ)日本の正規労働者と非正規労働者の定義――などの意見・質問等が複数出されたことから、齋藤副事務長より生産性三原則に基づく労使の信頼と建設的関係、団体交渉と労使協議の棲み分け等をあらためて補足しつつ、JILAFとしての認識を答弁した。
 
 その後、全労済協会小笠原調査研究部部長および嶋崎同共済保険部部長より、労働者福祉の観点から、日本における共済事業の経験等を共有した。とりわけ共助の精神と労使の取り組み、加入組合員のオーナーシップなどについて説明し、バングラデシュにおける相互扶助組織の強化に向け参加者の意欲を後押しした。質疑応答では、ア)全労済と連合、日本国政府との関係、イ)全労済加入組合員の内訳、ウ)共済と保険の差異、エ)全労済と労働金庫の任務・役割、オ)個人・外国籍在住者の全労済加入可否、カ)出資金および掛金の考え方と保障、キ)全労済組合員の男女比および女性役員の登用状況――などに関する質問が出されたことから、全労済協会から適宜見解等を答弁した。
 また、現地講師によるバングラデシュの雇用・労使関係および協同組合の現状と課題に関する講義有り、初日のセミナーを終了した。

 二日目は、カーンITUC-BC事務局長より、「バングラデシュ労働運動の現状と健全且つ建設的労使関係の構築に向けた課題・解決策」と題する提起の後、参加者は3グループ(6ナショナルセンター混合)に分散し、「建設的な労使関係の構築および労働者保護に向けて」のテーマで論議・相互発表を行なった。
 各グループからのポイントとして、(1)敵対的労使関係を改善すべく、労働組合の生産性向上への貢献と使用者側の建設的労使関係構築に向けた理解・協力、(2)前(1)をふまえた労使協議の導入、(3)Oneナショナルセンターに向けたロードマップ、(4)労働者(とりわけ女性)およびインフォーマルセクター従事者の組織化(労働組合への包摂)、ITUC-BCとしての政府対応(社会対話他)、(5)ILO中核的労働基準(とりわけ第87、98号)を尊重した改正労働法などが指摘・提言されたことから、ブイヤンITUC-BC執行委員(BMSF事務局長)他より適宜見解等を答弁した。
 前(4)をふまえ、齋藤副事務長は、二日間にわたる参加者の熱心な参画に敬意を表すとともに、「企業内において建設的な労使関係を築くためには、使用者との信頼関係の構築はもとより、職場組合員との日頃からの密なるコミュニケーションが重要となる。また、労使対等・自治の原則からも、ナショナルセンター同士のさらなる連携や組合費収入に基づく財政基盤の確立が重要」と訴え、二日間に亘るセミナーを閉会した。

日程

月日内容
11月23日セミナー1日目
11月24日セミナー2日目

参加者の様子

齋藤副事務長の講義

全労済小笠原部長の講義

グループワークの様子