中国 中華全国総工会(ACFTU)/JILAF労使関係・労働政策セミナー(IR)の開催

 
 6月6日、8日と2都市(中華人民共和国・北京市/江蘇省南京市)2回にわたり、国際労働財団(JILAF)と中華全国総工会(ACFTU)との共催で、「労使関係・労働政策セミナー(IR)」を開催した。セミナーには、北京においては産業別中央組織等の指導層他の計31名(うち女性:9名、現地日系企業工会構成員参加者内数:1名)、江蘇省南京市においては、日系企業に組織された工会(労働組合)も含めた参加者計24名(女性内数:6名、現地日系企業工会構成員参加者内数:11名)が参加した。

1.中華全国総工会とのセミナー(北京市)
 
 まず、6月6日の北京市におけるセミナーであるが、冒頭、主催者を代表して江広平中華全国総工会副主席、南雲弘行理事長それぞれより挨拶があり、江副主席はこれまで約20年にわたり積み上げてきた両組織の協力関係について触れられたほか、「市場経済下での日本の労使関係の経験について学ぶ機会としたい」とするとともに、「民間外交の役割を果たしたい」と述べた。南雲理事長は、「グローバル化における持続的成長に必要な『人』への投資の重要性を共有しつつ、直面する課題を明確にすることは、建設的労使関係の構築や持続可能な成長に寄与する。そのためのよき学び合いの場としたい」と述べた。

 つづいて、労使関係をめぐる現状と課題について講義が行なわれ、JILAFからは南雲理事長が日本の建設的労使関係を支える法制度や、労使関係をとり巻く現状と課題、労働組合の建設的労使関係を保つ基本理念と実際の取り組みについて概説するとともに、安建華ACFTU国際連絡部長からは、中国のこれまでの経済発展と現状をふまえ、今後の「調和のとれた発展と労使関係」についての考え方や具体的方策等に関する報告がなされた。質疑では、日本での企業別労働組合活動が中国の当該日系多国籍企業の労使関係に及ぼす影響のほか、中国の「成長鈍化」については、「量より質重視の成長転換が重要であり、高付加価値創造のための人材育成と公正な配分をめざしていく」との労働政策に関する言及などがあった。

 次のセッションでは、塩田正行事務長から、日本の労働組合の組織構造や役割、紛争処理制度等とともに、とりわけ日本の労使協議制に関しの機能や特徴等について共有した。続いて、日系電子部品メーカーに組織された工会の参加者から、「民主的管理体制」としての工会の意見集約メカニズムや労使対話制度とともに、技能向上・福利厚生面を中心に諸制度を積み上げてきた実績について発表があった。参加者による質疑、意見交換では、日本における賃金、労働条件決定メカニズム下での産業別組織の役割(立法、交渉等)に関心が集中した。
 
 続いて「労使紛争の未然防止のための労働組合の役割」、「組織拡大・強化への課題とそれへの対応」「理想的な労働協約とその考え方」のテーマにつき、グループ討議が行われ、中国が持続的成長を成し遂げる上で、国内経済格差の解消は無論、出稼ぎ層であるいわゆる「農民工」をいかに労働者の組織としてカバーするか、また、経済成長に伴う産業の高度化や多様な雇用/勤務形態の出現に伴う苦情・紛争の多様化等に如何に対処するか等の意見が出された。

 その後、南雲理事長は、「労働組合員だけでなく、地域や世論に訴え、全体の底上げを図ることこそがナショナルセンターや産業別組織の役割」と述べ、安国際連絡部長は、「グローバル化の進展と産業構造の変化で調和のとれた労使関係の構築の新しい挑戦が求められているなかで、非常に有用であった」と総括し、本セミナーを終了した。

2.江蘇省総工会とのセミナー(南京市)
 
 つづいて6月8日の南京市におけるセミナーでは、主催者を代表して王愛平江蘇省総工会副主席、南雲理事長よりそれぞれ挨拶があった。王副主席は、同省と日本との強い経済・文化的繋がりを共有するとともに、工会をとりまく現状と取り組みの方向性について言及し、「現実的利益の追求と対話による課題解消による労使ウィン・ウィンの関係をめざしたい」と述べた。これを受け南雲理事長は、日系進出企業の進出が多い同省において、「均衡ある社会経済の発展のためには、職場を基盤とした労使関係の健全化と労働運動の強化による建設的労使関係の構築が不可欠と認識することから、これに資するセミナーとしたい」と挨拶した。

 つづいて講義、事例発表では、塩田事務長が日本の賃金要求と交渉・労使協議制、各級労働組合の役割等に関して概括的に説明した後、日系企業工会(重電メーカー)の参加者から「積極対話・共に創る調和のとれた労使関係」とのテーマで、事例報告があった。

 続いて行われた「労使紛争の未然防止のための労働組合の役割」について2つのグループに分かれ、討議を行った。なかでは、「紛争未然防止は、労働者の権利や利益保護の上で重要」「紛争の公的仲裁機構が備わってはいるが、現場を熟知する組織(工会)が自ら課題の解消にのり出すことが重要」「経済低成長の環境下で紛争も増加しており、工会は、意見をまとめ、従業員と政府、そして企業との架け橋として機能することが重要」との意見が出された。

 その後、南雲理事長、李暁波ACFTU国際連絡部副部長がそれぞれセミナーを総括し、南雲理事長からは、「大きく変化する現状において、契約・勤務形態や個人の価値観の多様化に対応する必要性が双方で共有できた」とし、李副部長からは、「企業の発展なくして労働者の生活向上はなく、工会幹部による自社の経営状況の把握とそれに基づく取り組みを進めていきたい」と締めくくった。

日程

月日内容
06月06日中華全国総工会とのセミナー
06月07日移動 
06月08日江蘇省総工会とのセミナー
06月09日蘇州市総工会との対話

参加者の様子

江広平中華全国総工会副主席

南京市でのセミナーの様子

グループ討議の様子