バックナンバー

No.488(2018/1/22)
アメリカ・南アメリカの労働事情

【アルゼンチンに年金改革反対のゼネスト】
 2001年-02年のアルゼンチンの国際債務不履行から15年、2015年の就任から経済建て直しに取り組むマクリ大統領は公務員の削減や公共料金補助の減額を行い、2017年10月の上院・下院の中間選挙ではより厳しい税制改革と労働改革を公約して勝利した。
 マクリ大統領が今取り組んでいるのが年金改革で、物価にリンクさせるこの法案はすでに上院の承認を経て下院でも127−117で通過した。

 しかし年金減額を予測する最大労組のアルゼンチン労働総同盟(CGT)は改定に反対してゼネストを展開し、多くの航空便も停止させたが、デモ隊の投石やガソリン爆弾、警官隊の催涙ガスやゴム弾で150人の怪我人を出し、60人が逮捕された。

 大統領は経済再建を政策の柱に、年金改革でも$34億の節減を計画しているが、労働組合の反対について「私の経済改革が良くないと信じる人の存在も尊重する。全員一致も無理なことだ。ただ、私は改革が皆を助けると確信しており、私についてきて欲しい」と述べている。

【サンパウロ郊外の巨大貧困地帯と“ホームレス労働者運動”】

 ブラジル・サンパウロの高層マンションとスエーデンのトラック/エンジン・メーカー、スカニア工場の間にサッカー競技場10か所ほどの貧困地帯が広がっている。
 ここを占拠しているのは8,000軒に上るプラスティック・テントやべニアの家で、“恐れを知らぬ人”と呼ばれる最貧困層であり、読み書きができない人も多い。住人の42%は失業者でブラジルの平均失業率の30%以上高い。月収は$350程度、15歳から17歳までの若者の17%は学校へ行かず家族のために働いている。彼らは電気も無く、土の上の薄いマットレスに寝起きしている。

 不法占拠を組織しているのが“ホームレス労働者運動”と呼ばれる団体で、過去20年間、使われていない建物や土地を占拠して、貧しい労働者の住宅として政府や会社と交渉してきた。ある識者は「この情景がブラジル最貧困層の姿だ。社会政策への投資を怠り、最低賃金も無い。その数はますます増加している」と語る。

 高層マンションと隣り合わせのこの極端な貧富の分極化の中で、12月10日には歌手や俳優がチャリティー・コンサートを開催して資金集めに協力したが、近隣の住民からは騒音で眠れないなどの苦情が殺到し、最近では貧困地帯に銃弾が撃たれて1名が負傷した。
 一方、こうした事件をきっかけにホームレス運動への注目も集まり、そのリーダー、ボウロス氏の来年の大統領選挙出馬が話題に上っているが、同じ左翼で汚職疑惑の起きているルラ・ダシルバ前大統領再出馬との票の取り合いが予測される。

 この占拠地帯も立ち退きを迫られているが、話し合いが続く4ヶ月間は居住できるという。そうした間、仕事探しに数日留守したテントには、外部の者がキッチンやトイレを使うなどして住み着いている。

【マリファナ労働者100,000名の組織化に労組の競合】
 カリフォルニア州では住民投票による賛成で、21歳以上についての娯楽用マリファナが薬用同様に許可される。販売は21歳以上を対象に2018年から始まる。
 そこでマリファナ関連の労働者100,000人余りについて、全米農業労組(UFW)、チームスターズ労組、食品商業労組(UFCW)による激しい組織化の競合が起きている。
 UFWは「マリファナが農業栽培による産物」だとし、UFCWは「野菜業や小売業を管轄とする」という理由、チームスターズ労組は「小規模企業の労働者が多い分野ではどの労働組合にも参入の余地がある」としての競合である。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.