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No.458(2017/6/16)
中国の労働事情

 5月19日に行われた中国・インドネシアチームの労働事情を聴く会から、中華全国総工会(ACFTU )の報告の一部を紹介する。

中国の労働情勢の全体状況
 労働情勢の概況については、2016年末で雇用者人口7億7600万人、都市部の雇用者数は4億1400万人で、昨年、都市部で新たに1,314万人の雇用者が増加したものの、失業率は4.02%となっている。年間所得は都市部で6万2000元(2015年)、賃金伸び率は8.5%であり、最低賃金は各地域で大きく異なり、月1000から2190元まで幅広い状況である。昨年、中国において「労働争議」として立件された件数は、82万9000件で、政府の監督機関の調査では190万件を超えている。はそしてこの年度内に解決した案件数は82万8000件(99.9%)だった。「労働争議」の仲裁制度があり、今年末までに解決率を90%に引き上げたいというのが課題である。

労働法制・社会保障の状況
 労働法制・社会保障の状況としては、労働法はかなり整備されてきているが、現在、労働組合としては、迅速に、賃金法、そして労働協約法、民主管理法、年金保険条例、健康保険条例などの制定を加速化させようと呼びかけている。現行の労働法並びに労働契約法の改正も進めている。しかし、社会保険は全国一律ではなく、現在、省単位で統一化を図っているが、中国においても高齢化が進んでおり、今後、年金保険の保険金給付のプレッシャーがどんどん高まるとともに、介護保険制度についてはまだ成立していない状況にある。また、社会保障制度にカバーされていない人々も多く、社会保険料で徴収された資金の運用についても強化が必要である。

非正規雇用、それから派遣労働者の問題または新しい雇用形態
 労働派遣が抱えている課題は日本と同じで契約未締結や仕事上の差別、正職員・正社員との賃金格差、キャリア形成などの問題である。また、従来からの派遣労働者(アウトソーシング)の問題以外に、デジタル経済化の進展において、新たに生まれた雇用形態ということもでてきている(アリババなど)。これまで柔軟な働き方だったが、今は新しい就労形態という言葉ができた。[1]労働者自らが起業したケース、[2]フリーランスの労働者、[3]シェアリングエコノミーの下で働く人である。

総工会としての課題
 総工会の課題としては、生産過剰のなかで雇用過剰の圧力がまだ大きく、毎年2500万人の人のための就職先を探し続けなければならない状況にある。また、農民工などの技能格差、所得格差の問題もある。さらに社会保険料の未払い問題もある。サンプル調査を格差の大きいとされる東北地方で行ったが、解消はなかなか難しい状況にある。農民工の数は2億8200万に上る。シェアリングエコノミー下の新しい就労形態などへの対応もある。まだまだ総工会の課題は多い。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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