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No.439(2017/2/10)
カザフスタンで全国労組の登録をめぐる紛争が激化
カザフスタン・労組支援のアピール

 中央アジアのカザフスタンでは、昨年より、ITUC(国際労働組合総連合)に加盟する全国労組・CNTUK(カザフスタン独立労働組合総連合)の登録をめぐる紛争が激化している。政府は強権的ともいえる姿勢で同労組の活動を制限する方向であるが、今年に入り、裁判所が政府登録を取消す決定を行ったことを受けて、ITUC(国際労働組合総連合)やGUF(国際産業別労組)が大統領への抗議レターを送る運動などの国際的なキャンペーンに乗り出す事態となっている。

 カザフスタンでは、最大の全国労働団体は、ITUCに加盟するFPRK(カザフスタン労働組合連合)である。1990年の「旧ソ連」崩壊に伴い、自由で民主的な運動を理念とする組織が結成したもので、PERC(ITUC汎ヨーロッパ評議会)にも加盟し、活動を続けてきた。また、昨年2月には、長期にわたる審査を経て、上記のCNTUKの政府登録が認められた。しかし、同組織が政治への批判を強めたことなどもあり、昨年11月、政府は登録等に違法があったとして経済裁判所に取消しを求める訴えを起こし、今年の1月4日にそれが認められた。今後、登録問題は上級審で扱われることが想定されている。また、CNTUKの副委員長が違法な争議に関与したとして逮捕されたこともあり、西カザフスタンの石油産業労組は1月5日からストライキに入った。

 カザフスタンのこのような情勢を憂慮したITUC(国際労働組合総連合)は、1月23日、シャラン・バロウ書記長が声明を発表し、「カザフスタン政府による労働組合の抑圧は、同国が批准しているILO第87号条約(結社の自由)に違反するものである。また、ILOの委員会が求めている労働組合法の登録条項の修正もまだ実現していない。政府はただちに裁判所での争いを取り下げ、国際的に確立している労働者の権利を保障すべきである」と述べた。製造業の国際産別であるインダストリオールはバルター・サンチェス書記長が、「カザフスタンの労組が解体の危機に直面している」として、支援の活動を強める意向を表明した。

 カザフスタンは、1991年末の旧ソビエト連邦崩壊に伴い独立の共和国となり、それから今日までの25年間、ナザルバエフ大統領のもと、社会の安定と経済の発展をめざしてきた。経済は、石油や鉱物の生産などに支えられて成長が続き、2015年には一人当たりGDP(国民総生産)が10426米ドルに達し(IMF推計値)、旧ソ連圏によるCIS(独立国家共同体)では盟主であるロシアを上回った。一方では、労働組合やNGO/NPOなどの市民団体から強権政治による民主主義の抑圧が強まっているとの指摘がある。また、この間の憲法改正による大統領再選禁止の例外措置、与党に有利な選挙運営などにより、政府への批判はさらに強まっている。

 カザフスタンは石油、天然ガス、ウランなどの鉱物資源が豊富であり、またクロムの産出量が世界トップであるなどレアメタルの産出地でもある。このこともあり、日本政府は連携を深める姿勢であり、2015年10月には両国間の投資協定が発効し、昨年11月にはナザルバエフ大統領が訪日している。しかしながら、このところの政府と全国労組の紛争の激化は、経済成長が続く社会で民主主義を求める国民のニーズの高まりを示すものといえる。中央アジアの中心に位置する資源大国での産業や社会の安定的な発展は各方面から期待されるところであり、政労使の建設的な対話の実現に向けての取組みとそれに対する支援が求められているといえよう。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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