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No.431(2016/12/9)
共和党新政権が公務員制度の大幅改革を計画

 トランプ次期大統領と上院・下院ともに過半数を占めた共和党議員が公務員の処遇について大幅改革を考えはじめた。
 目指すところは公務員の官僚主義排除、無能公務員の解雇、賃金諸手当の引き下げなどだが、新規採用の停止、自動昇給の廃止、勤務時間中の有給組合活動の禁止、確定拠出型年金への移行などが改革として挙げられている。
 トランプ氏は選挙中から政府機構の無駄の排除や汚職、職権乱用を厳しく非難してきたが、共和党はこうした主張を今回のトランプ政権実現を好機に一気に成し遂げようとしている。
 トランプ政権への移行準備を主導しているギングリッチ前下院議長は「公務員の問題がいかに深刻かつ甚大なものかを知らしめる必要がある。膨大な人件費を削減し、生涯雇用制度を廃止して、過大になりすぎた政府機構を縮小することが急務だ」と述べ、「また政府内に広がる汚職とえこひいきの横行も撲滅しなければならない。ウイスコンシン州が立法化した団体交渉権の制限も連邦段階で取り上げたい」と語る。
 さらに、下院政府改革委員会議長のシャフェッツ共和党下院議員(ユタ州)は「多くの公務員は良い仕事をしているが、中には勤務中にポルノを見ている者がいる。責任を持たせなければならない。また今の確定給付年金を民間と同じように拠出型に変える必要がある」と言う。またインディアナ州知事だったペンス次期副大統領も「知事時代に業績給制度の導入で労働組合と対立したが、今の年功賃金制度ではだめだ」と指摘する。こうした中で、民主党関係者は共和党に気に入られようとする風潮の広がりを警戒する。
 トランプ次期大統領は「就任後100日間は退職公務員の補充を行わない。しかし軍隊と公共医療機関、安全保障の分野は例外だ。さらに移民対策と国境警備には大幅増員を約束する」と言明している。採用停止などの措置は議会の承認を必要とせず、大統領の行政命令で実施できる。
 こうして、公務員労働組合は大きな逆流に曝されることになるが、3大公務員労組の一つ、全国連邦公務員連合会(NFFE)のドーガン会長は「少なくとも2-3年は防戦に追われることになる。政府機構の縮小と言うがレイオフなのか、省庁廃止なのか、自然退職によるのか?」と懸念を語りつつ、「公務員が特権階級だとか官僚主義の蔓延ということはない。誤ったイージを持たないでほしい」と言う。
 他方、連邦公務員の採用や昇進、懲罰などの処遇については、何らかの変更が必要だとする認識が共和、民主両党にもある。しかし実情は、規則違反の公務員がいても処遇が決まるまで数年間を費やすケースが多く、その間有給で自宅待機している。業績評価も大半が「期待以上、ないし優秀」とされてその意味が冗談視され、低評価の公務員も解雇は極めて稀で、その数は毎年0.5%しかない。
 採用削減については過去レーガン時代に決められたことがあったが、国防の必要などで長続きせず、クリントン時代に公務員数は縮小したが、ブッシュ、オバマ時代には増加した。
 一つの試みとしては、国防省が行っている2年間の試用期間があるが、管理職はその間に新人の能力の適否を判断する。
 共和党はまた、給与支給対象の公式勤務時間内に組合活動を行う、いわゆる“オフィシャル・タイム”の廃止を計画しているが、こうした変更に労働組合は強力な抵抗活動を展開する構えである。

サンフランシスコの教員組合がトランプ副読本を推奨

 トランプ氏の大統領当選を受けて、サンフランシスコの教員組合、統一サンフランシスコ教員組合(UESF)が同氏を「人種差別、女性差別主義者」だとする副読本を用意し、組合員6,000名にニュースレターで送付した。採否は担当教師の判断だが、学校区には57,000名の生徒が存在する。
 副読本は「社会」担当のフクラ・シャー先生が、生徒から出されたトランプ次期大統領についての多くの質問や疑問に答える必要に迫られて書いたもので、広く頒布されるとは思っていなかったという。
 先生は「多くの生徒が“どう考えたらよいの? どう言ったらよいの?と質問してきて、選挙後のヘイト・クライムの多発に戸惑っている。トランプが次期大統領ならば憎しみや人種差別をしないよう要求してゆかねばならないと思う。生徒に心配を率直に表現させ、希望を持たせて、他の土地ではともかく、少なくともこの学校では抑圧を許さないために戦うと、教える必要があると思う」と語る。
 サンフランシスコでは先週、約2,000名の生徒によるトランプ抗議の授業ボイコットが起きたが、リー市長は「全ての移民、宗教、ゲイ・レスビアンといった少数派生徒の安全を守る」と言明した。ブラン教員組合委員長も「立ち上がって、少数派のために発言し、彼らを守らねばならない」と述べた。
 これに対し、サンフランシスコ共和党のディロン委員長は「内容すべてが不穏当だ。当選者のトランプだけでなく、彼に投票した有権者にも不公正な宣伝だ」と強く批判した。

アルゼンチン実業界が来年3月までのレイオフ中止を約束

 アルゼンチンが長引く不況の中、今年第2四半期には失業率が9.3%を記録した。
 こうした中で行われた連邦政府調停による労使協議の中で、実業界は労働組合に対し、来年3月まではレイオフを行わないとする合意に署名した。
 アルゼンチンでは約10年にわたる企業経営介入政策により海外投資の減少を招いていたが、その間、政府が統計数字を不当に操作していたとの疑惑も広がっていた。
 昨年12月に成立した中道右派のマクリ大統領政権は従来の政策を変更して、市場経済政策を推し進めているが、なかなか投資は戻らない。
 第2四半期の数字は同政権最初のもので第3四半期は間もなく発表されるが、今年の経済成長率の落ち込みも予測され、インフレも40%に達する勢いにあり、労働者のデモが相次いでいる。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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