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No.426(2016/11/17)
スリランカの労働事情

 10月21日に行なわれた南アジア女性チームの労働事情を聴く会から、スリランカの労働事情について報告する。スリランカからは、セイロン労働者会議(CWC)とスリランカ全国労働組合連盟(NTUF)、スリランカ・ニダハス・セワカ・サンガマヤ(SLNSS)から各1人が参加した。

 2009年に26年にわたる内戦が終結したスリランカ経済は順調に拡大し、6~8%台の成長が4年続いた。実質GDPは2014年には4.9%、2015年が4.8%と下がったが、失業率は4%程度と低水準にある。
 スリランカの総人口は2050万人で、このうち労働人口が840万人となっている。労働力人口の65%がインフォーマルセクターに属している。近年、インフォーマルセクターの中でも特に家政婦として中東に行く人が増えている。一部、香港あるいは韓国に行く者もいるが、ほとんどは中東の国々に移住して働く。このような労働者は、労働時間においても、あるいは賃金についても権利を主張することができない。そこで組織化して状況を変えたいと考えている。しかし、中東、特に湾岸諸国は、労働組合に対してあまりいい感情を持っていない国が多い。賃金などの労働条件を解決するために、中東に出稼ぎに行ったスリランカ人を組織化しようとしても難しい。一部のリベラルな国、例えばレバノンは、スリランカと覚書を交わしている。

 主要産業である茶園などのプランテーション分野、プランテーショクセクターにおいて現在直面している課題は、賃金の改定問題である。主要な顧客先が中東で、中東の情勢が低迷しているということで、ビジネスがあまりうまくいってないため改訂できないというのがプランテーション側の言い分である。直近の団体協約が、2015年3月31日に失効して以来、新たな労働協約が締結できていない。この問題に対し、労働省に介入してほしいということで、政府に対してロビー活動をしたり、訴えを起こしたりしている。

 また、妊娠・出産など女性の保護に関して、法律上、公務部門と民間部門・プランテーション部門で働く女性労働者の間に大きな差別が存在する。さまざまな給付について、公務部門で働く女性は、民間部門・プランテーション部門で働く女性労働者よりも、大きな手当を受けている。これについては全国労働諮問委員会を通して問題の解決を図っておりますけれども、具体的にはまだ解決するには至っていないのが現状である。

 スリランカでは労働組合が乱立し、その交渉力は弱体化している。一つの事業体で労働者の組織率が40%を超える労働組合のみが団体交渉権を認められ、それ以下は認めないため多くの使用者は労働組合を承認していない。外部委託や請負業務に頼る使用者の数が増え、そのためにインフォーマル部門を組織化することができないでいる現状にある。組織率40%という基準値の引き下げ、もしくは職場で各労働組合が合わせて40%の組織率を持つならば労働組合を承認するよう当局に要求している。同様に、チェックオフ制度について定めた法律も存在しない。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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