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No.390(2016/4/21)
パキスタンの炭鉱、またも爆発事故

 インダストリオールニュースによると、パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州(州都ペシャワール)オラクザイ地区ドリのシェラズ石炭社が所有する炭鉱で2016年4月2日、メタンガス爆発事故が起き5人が死亡、8人の負傷者が出た。メルマガ383号で報じたように、これまで何回か労働組合が警告していた事故で、避けられたはずのものであるだけに残念だ。

 インダストリオールは2016年3月12日に同地域で同様の事故により10人が死亡したことを報じた。その後、ドリで2016年3月20日更に事故が起き、7人が死亡し、多くの負傷者がでた。そのため、ドリの鉱山は閉鎖されたが、炭鉱の所有者は正式な許可を得ることなく違法に操業を再開していた。メタンガスが爆発した時には13人の労働者が坑内に閉じ込められており、自治体と第一線救助隊による救助で8人は病院に担ぎ込まれたが、5人は死体で運び出された。
 報告によると、鉱山の所有者、請負業者、監督者は逮捕され、同社の採掘許可は取り消された。また許可なく炭鉱を操業していた別の6人の鉱山所有者も逮捕された。
 事故調査報告によると、2010年以降少なくとも240人の労働者が40件の事故で亡くなっている。今年2016年に入り4か月に満たない間でパキスタンの鉱山は30人の人命を奪ったことになる。
 インダストリオールの鉱山部門責任者グレン・ムプファンは「こんな短期間に避けられたはずの事故が起きることは政府と雇用者が鉱山における安全に如何に無神経かを示している。我々は失わずに済んだ人命に対する無関心を非難するとともに、パキスタン政府がただちに鉱山における安全衛生を規定するILO176号条約を批准することを再び要求する。政府は犠牲者にはきちんとした補償を、また負傷者には医療施設が提供されることを確約し、無責任な経営者には厳しい制裁を科すべきだ」と言明した。

 インダストリオールはILO176号条約を批准することが鉱山における安全文化を確立する鍵と考えている。また炭鉱の安全衛生に関する専門家会議が推奨するように、政府は早急に炭鉱におけるILO安全衛生行動基準を実行する必要があると考えている。176号条約の批准は鉱山事故に対処すべく労働者が知識や教育と親身な相談を受け、安全衛生対策に参加するという安全文化をもたらすとともに、経営者には、鉱山事故への予防と保護対策の必要性そして安全衛生対策に向けて、危険性を除去ないし最小化する全ての施策が必要と印象づける。鉱山における安全文化の確立にむけ、政労使で取り組んでいく必要があろう。

発行:公益財団法人 国際労働財団  http://www.jilaf.or.jp/
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